帝国憲法が現存している
と聞いて驚く人もいるもやしれない。
しかしこれ事実です。

結論から言うと、
サンフランシスコ講和条約を締結して戦争を終結させた歴史的事実が帝国憲法が現存している理由
です。

サンフランシスコ講和条約締結時、確かに日本国憲法が施行されていました。
依って日本国憲法第73条によりこの講和条約を締結したと考える人もいるようだが、それは不可能です。


はじめに。
国家の条約権は2種類存在します。
帝国憲法第13条に明確に記載されているように、通常条約締結権講和条約締結権です。

通常条約権はその名の通り、通常の条約を締結する権限を指します。しかし条件として国家が独立状態であるという事が前提となります。
これは国際的にみて非独立国が他の独立国と条約を締結することはできないということです。

次に講和条約権ですが。
これは戦争状態を終結させる講和条約を締結する権限です。
講和条約権は通常条約権と異なり独立・非独立に関係なく国家が有する権限です。
講和条約権を独立国家にのみ限定してしまうと、占領や併合において独立を奪われている国家は永久的に独立できないことになってしまいます。それを防ぐために非独立国家においても講和条約権は国際的に認められています。



それを踏まえて日本国憲法第73条に話をもどします。

日本国憲法第73条の条約締結権は通常条約を締結する権限であす。上記のように通常条約権は非独立時には行使できません
サンフランシスコ講和条約が締結されるまでは、戦争状態であり占領状態です。占領軍による占領によって日本国の独立は奪われた状態です。
よってサンフランシスコ講和条約を日本国憲法第73条によって締結することはできない。

それならば日本国憲法に講和条約を締結する権限は他に見出すことはできないのか?
それは不可能です。

日本国憲法に講和条約権を見出すところか、日本国憲法は講和条約権を否定しています。
日本国憲法第9条第2項で交戦権の否定しています。
交戦権とは宣戦権、統帥権、講和権の総称です。
戦争を始め、戦争を遂行し、戦争を終える。この一連の行為の権限である交戦権を日本国憲法は否定しているのです。

「第9条の第2項は侵略戦争の交戦権を否定してるのであって自衛戦争の交戦権まで否定してるわけではない。」という主張もありますが、同時期に行われた東京裁判は日本の行った戦争は侵略戦争だという理由で断罪しています。連合軍は日本が侵略戦争をしたという主張です。その戦争(大東亜戦争)を終結するのに自衛戦争の交戦権という解釈は不可能です。

そもそも第9条第1項において戦争そのものを放棄しているので、第2項の解釈に拘わらず日本国憲法は講和条約権を否定していることにかわりはありません。


上記の結果サンフランシスコ講和条約を締結する権限は帝国憲法第13条に求める他ないのです。
これが帝国憲法が現存している理由です。


           参照 占領憲法の正體