皇統問題と聞くと即座に
今まで男系のみによって皇位継承をしてきたのだ、女系に移ったら皇統断絶だ。だから男系継承以外認めない』と豪語する者がいます。また、『皇統が断絶したら意味がない。女系容認だ!』という主張をする者もいます。
一体誰が誰に向かって言ってるのでしょうか?

もちろんここで皇統問題に言及し男系固執が正しい!女系容認するべきだ!などと主張しようという意図は全くありません。

問題としているのは、そのように皇統問題に対して国民が主張することは本当に正しいのか?ということです。

皇統問題という言葉を初めて聞いたとき、直感的に『それは国民が議論していい問題なのか?』という疑問を抱きました。
そして今の現状を見るとき、その直感が遠からずとも正確だったと確信しています。


帝国憲法義解を読んだ事があるでしょうか?
帝国憲法義解とは帝国憲法の解説書という位置づけですがが、皇統の条項について
『皇統に臣民が干渉することを要せず』
とあります。

臣民とは天皇陛下の民、公民という意味であり、今でいう国民となります。
つまり
『皇統問題に国民が干渉してはいけない』
ということです。

これに正反対の記述がある。
『皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めところにより、これを継承する。』

皇室会議は、議員十人でこれを組織する。
議員は、皇族二人、衆議院及び参議院の議長及び副議長、內閣総理大臣、宮内庁の長並びに最高裁判所の長たる裁判官及びその他の裁判官一人を以て、これに充てる。

日本国憲法第2条皇室典範第28条です。


皇位継承を決める皇室典範は国会で決められる。つまり皇室典範は国会で決めた法律という位置づけです。

皇統問題を決める皇室会議は、皇族は二人だけであとは全部国民で構成されます。
つまり皇統問題は、国民が主体となって決めるということになるのです。これでは皇室会議と銘打ってはいますが実質は国民会議です

この日本国憲法と皇室典範が日本人自身が作ったのならまだ分かります。しかし実際はGHQが作ったモノであるというのが史実です。
言うならばGHQが作ったルールなのです。

さて、帝国憲法第3条にはこうある。
『天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス』
皇統問題は次の天皇を決めることである、世俗にまみれた国民が侵してはいけないのです。

だからこそ、正統皇室典範には以下のようにあります。

第五十五條 『皇族會議ハ成年以上ノ皇族男子ヲ以テ組織シ內大臣樞密院議長宮內大臣司法大臣大審院長ヲ以テ參列セシム』

第五十六條 『天皇ハ皇族會議ニ親臨シ又ハ皇族中ノ一員ニ命シテ議長タラシム』

つまり皇統問題とは天皇陛下が親臨して皇族中心の会議で決めるのが正統です。国民の代表である大臣たちはただ参列するだけです。
これが本来の姿であり国民はどんな形にしろ皇統問題に干渉してはならないのです

このように皇室会議(実質は国民会議)と皇族会議の構成員の違いを比べてみると、国民が皇統問題に干渉するという行為がどれだけ不敬かというのが見えてきます。


男系固執・女系容認どちらにせよ、偉そうに皇統問題に口出ししている人をみると
日本国憲法第1条の
第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。』
という
『天皇と皇室は主人である国民の言う事を聞け!』

『次の天皇は、主人である国民が決めるから天皇と皇室は口出しするな』
という邪悪な思想が意識的にしろ無意識的にしろ根底に流れているのを露骨に感じます。

日本国憲法と皇室典範はGHQが作ったモノです。また『国民主権について』

にも記したように国民主権とはGHQから与えられたものです。GHQの作ったモノに乗っかって皇室を貶めるとは、なんたる不敬な行為であるか!今一度よく考えてみましょう。

本来憲法と同位である皇室典範は日本国憲法によって法律に格下げされています。
これは『日本国憲法を改正しても無意味な理由』にも記したように、日本国憲法を改正すれば皇室典範を憲法の位置に引き上げられるというものではありません。
日本国憲法を改正しても皇室典範は憲法にはならないのです。

それでも皇統について心から深い憂慮を抱く者が多くあります。皇室を想う尊皇心がある臣民です。その志があるならば皇統に干渉するのではなく「正統皇室典範奉還」に尽力するべきではないのでしょうか?

当然ですが皇統について最も御憂慮されているのは天皇陛下御自身です
国民ごときが口を挟む余地は全くありません。

皇統問題は皇族会議で決めて頂くのがこの国の『正統なる路』なのです。
天皇陛下がこの『正統なる路』を御存知ないことなどありえません。

繰り返しになりますが皇統問題は国民が議論するものではないのです。
法律に貶められた皇室典範での皇室会議では、実質国民会議です。
しかも日本国憲法を改正しても皇室典範は法律のままです。

日本を正統なる姿に戻すため、尊皇心を胸日本国憲法を無効宣言し、正統皇室典範を奉還皇族会議で決められた皇統を祝福とともに受け入れようではありませんか!