ピンクのポンポン★80(80-130)
※阪神・淡路大震災を源とする物語(フィクション)です
尚、ピンクのポンポンの時計は、今も去年の夏の代々木体育館で止まったままなので、登場人物が過去の出来事を考える時、1年の時差が生じますので、ご了承下さい。
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秋の彼岸を過ぎた頃、本格的に母の再婚話が進み始めた。
転校と、姓名が変わっても今の学校へ通い続けるのと、どちらが良いか?と選択を求められたので、私と妹とで話し合うことになった。
転校する場合、転校の理由をどうするのか?を訊くと、継父は、結婚と同時に新居を購入したいとのことだった。
私と妹は、母が再婚であることを、周囲に説明することが面倒に思えた。母子家庭になった時、父が居ない理由をストレートに訊かれることが何度かあった。それだけなら我慢できたけど、妹は父が借金を作ったから離婚したとか、他の女性と結婚するために母と離婚したのだとからかわれたことがあった。
からかった子の中には、交通事故で父親を亡くした子も居て、「生きているのに、会うこともできない方が変だ」とまで、言われたとのこともあった。
1時間と話すこともなく、結論が出たので、母に伝えると、
「うん、分かった。また転校だけど、頑張ってね」と私と妹を同時に左右に抱き寄せてくれたのだった。
転校すれば、母も転居先の学校の父兄会や御近所に、「再婚です」とか、「娘達の継父です」と説明する手間が省ける分、少しでも心の荷物を軽くできる筈だった。