ピンクのポンポン★80(80-114)
※阪神・淡路大震災を源とする物語(フィクション)です
尚、ピンクのポンポンの時計は、今も去年の夏の代々木体育館で止まったままなので、登場人物が過去の出来事を考える時、1年の時差が生じますので、ご了承下さい。
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翌日は祖母が、私と妹を動物園へ連れて行ってくれた。帰りには、デパートで新しい服を買って貰った。
物がたくさんあって、昼間でも照明のついている建物へ入るのは、震災前日の三ノ宮のデパート以来の出来事だった。服を買って貰った後も、キョロキョロと見ていた私に、祖母が、
「他に欲しいものがあるの?」と訊いてくれた。
「明るいし、物がようさんあるから」と言うと、妹が、あー!と声を上げた後、、
「ホンマや」と、目を輝かせた。
「大変だったわね……」と、祖母の声が声を詰まらせて、俯いた。祖母と手を繋ぎ、
「おばあちゃん、ごめん」と声を掛けるとと、妹も私を真似た。
帰宅時間が遅くなり、夕方のラッシュに揉まれて、電車に乗った。