ピンクのポンポン★80(80-113)
※阪神・淡路大震災を源とする物語(フィクション)です
尚、ピンクのポンポンの時計は、今も去年の夏の代々木体育館で止まったままなので、登場人物が過去の出来事を考える時、1年の時差が生じますので、ご了承下さい。
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東京駅で新幹線を降りると、母は公衆電話に向かい、電話を2本掛けていた。1本目が父宛で、2本目が東京の祖父母の家だった。
2本目の電話の方が時間がかかったけれど、
「本当に東京駅なの。夕飯もお風呂も要らないから、お布団だけお願いします」
そう言い終えると、母は電話を切り、
「さっ、行こうか」と言い、私達に前を歩くように促した。
幾つか電車を乗り換えて、見覚えのある母の実家の最寄駅に着くと、改札の外に祖父と伯父が迎えにきてくれたいて、伯父が母の旅行鞄を持ってくれた。
「暫く、お世話になります」
母が頭を下げると、
「まぁ、少しゆっくりすれば良いよ」と、伯父が母の肩を叩き、祖父が私と妹の手をとって歩き出したのだった。
母の実家へ着くと、祖母がお風呂の用意をしておいてくれた。祖母は母に先に一人で入浴するように促すと、その間に私と妹にお茶とお菓子を出してくれた。
そして、母がお風呂から出ると、入れ替わりで、私と妹と二人でお風呂に入ったのだった。
歯ブラシもパジャマも以前に泊まった時のものが用意されていた。