長い時間の流れの中で【25】 1・17 震災の日 | ぴかるんのブログ

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ピンクのポンポン

ピンクのポンポン★80(80-25)



※阪神・淡路大震災を源とする物語(フィクション)です

 尚、ピンクのポンポンの時計は、今も去年の夏の代々木体育館で止まったままなので、登場人物が過去の出来事を考える時、1年の時差が生じますので、ご了承下さい。


§☆§★§☆ V⌒⊥⌒V ☆§ ★§☆§

 母に言われた通り、テーブルの下へ潜り、母はリビングのソファで眠っていた妹を抱いて、リビングの壁側に寄ってしゃがみ込んだけど、何も変化は無かった。目を覚ました妹が昨夜と同様に、御近所のシェパードの鳴き声を恐がって激しく泣き出したけれど、母は暫く、そのままで居た。

 結局、何も起こらないままんま、シェパードは吠え続け、母は妹をソファへ戻し、私をソファへ呼び寄せると、
 「ママ、外を見てくるから、ここで待っていて」と言い、私を妹の隣へ座らせたけれど、妹は泣き止まず、握った母のカーディガンの袖を離そうとはしなかった。母が離そうとすると、余計に泣き声を大きくするばかりで、母が困った顔をした。
 「すぐに戻るから」と母に言われても聞き入れようとはしない妹を見ている間に、私の心にも再び、大きな恐怖心が芽生えていた。

 困った顔をした母が、
 「何もないとは思うんだけど……」と言い、妹に袖を掴まれていない右手で私の頭を撫でてくていた時、急にシェパードの声が大きく聞こえる様に感じた。
 猫がすぐ近くを歩いていても吠えなかったシェパードが大声で吠えて近づいてきたことで、私の恐怖心は一層、大きくなっていた。その時、急に、シェパードの吠える声と共に、外から男性の大声が聞こえた。
 「ガスだ! 逃げろ!」

 母は私と妹をそのまま抱き上げると、階段を駆け下りると、そのまま玄関の外まで私達を運び、
 「ここで待ってなさい!」と言い残すと、シェパードを連れていた年配の男性の所へ駆け寄った。母とほぼ同時に、何人かの近所の人達も、二軒隣の家の前に居た男性の所へ駆け寄っていた。
 「電話、通じへんぞ!」
 「ガス会社来るんか?」
 「逃げといた方がええんちゃあうか?」
 「電気、使われへんし……」
 近所の人達が、どうするか?を相談している中、シェパードは吠えることを止めないでいた。そして、犬を連れた男性が、
 「とりあえず、家、帰るわ。犬のもん(物)、まとめとかんとあかんから」と言い、吠え続けて、その場を去ろうとしない犬のリードを強引に引いて、戻って行くと、母も戻ってきた。そして、私と妹を玄関の中へ入れると、
 「靴、はいてなさい」と言い残し、まとめておいた荷物を一人で二階のリビングから玄関まで下ろすために、階段を何度か往復した。

 その内、何事も無いかの様に外からの声は聞こえなくなった。母は荷物を全て下ろし終えると、私と妹にコートと、前日に買ったばかりのマフラーと帽子と手袋も身に付けさせると、
 「学校へ行くわよ」と言い、玄関の扉を開けた。

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