長い時間の流れの中で【14】 1・17 その時 | ぴかるんのブログ

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ピンクのポンポン

ピンクのポンポン★80(80-14)



※阪神・淡路大震災を源とする物語(フィクション)です

 尚、ピンクのポンポンの時計は、今も去年の夏の代々木体育館で止まったままなので、登場人物が過去の出来事を考える時、1年の時差が生じますので、ご了承下さい。


§☆§★§☆ V⌒⊥⌒V ☆§ ★§☆§

 ***** 今でもそうだけど、妹は他の人が聞こえない物音をよく聞こえている。なので、妹一人がテレビを見ていると、誰もリビングに居ないのではないか?と勘違いしてしまう程に小さな音量でテレビを観ていることがよくあるし、最近でも職場で、
 「交通事故みたいな音、聞こえなかった?」と言うと、他の同僚からは、気のせいでしょと断言されるも、間もなく、会社の前の道をパトカーと救急車が走り、会社から150m程離れた交差点でタクシーが、信号無視をして横断歩道を渡ろうとした自転車を跳ねていた。

 結局、震災の時に家族全員がケガひとつ負わずに済んだのは、恐がりで、耳がよく聞こえる妹のおかげだったと思う。*****

 その後、やっとウトウトしたかなと思っていたら、今度はあちらこちらの御近所の犬の鳴き声が聞こえて、目が覚めた。部屋の電気は消されていて、母も妹も眠っていた。

 犬達の泣き声が止まったと思っていたら、外が静かなせいか、電車の音が聞こえていた。
 一瞬の沈黙の後、また犬達が鳴き始めて、今度は御近所のアパートの赤ちゃんが居る家からも、大きな泣き声が聞こえた。

 それでも、地震の少ない地域で生まれ育った私には、何かに違和感を覚えることはなく、寝不足をした夜でしかなくて、水族館へ連れて行って貰った話と、普段は吠えたりしないシェパードがよく吠えて恐かったと友達に喋ろうと考えていた程だった。だけど、恐くなってパパやママと一緒に寝たことを喋ると、恐がりやなぁと、からかわれてしまいそうで、そのことは黙っていることにした。


 シェパードの家からだろうか? 勢いよく玄関の扉を閉じる音と足音が聞こえて、また電車のガタゴトという音が小さく聞こえてきたと思っていたら、急に、下から突き上げてくるような衝撃と同時に、大きな揺れを感じた。
 「地震!」
 母の声が聞こえた次の瞬間、家中が揺れる音が聞こえた。雨戸も窓もガタガタと音を立てて、隣の子供部屋や二階りのリビングや台所から大きな物音が聞こえてきた。
 母が咄嗟に布団を被ったまま、私達の身体に覆いかぶさったてくれた。その直後、更に重さを感じたので、
 「重い……」と、私が小さな声で言ったけれど、父にも母にも私の声は聞こえていなかった様だった。

 長かった揺れがやっとおさまり、二枚の掛布団から頭を出すと、母の上に父が覆いかぶさる形で、私と妹を護ってくれていたことが分かった。
 「やっと、揺れが止まったな」と言い、父が起き上がって電気のスイッチを入れたけれど、電気はつかなかった。
 「停電しとる」
 そう言うと、父は雨戸まで開けたけれど、一月中旬の夜明けはまだ遅くて、外は真っ暗だった。父は窓とカーテンだけ閉めると、
 「懐中電灯、取ってくる」と言い、セーターを着てから下の階へと下りて行った。

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{ 今月も明日で終わり……
でも、今年も一月中旬には、
二月くらいの感覚でした    ]