長い時間の流れの中で【13】 1・16 カウントダウン | ぴかるんのブログ

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ピンクのポンポン

ピンクのポンポン★80(80-14)



※阪神・淡路大震災を源とする物語(フィクション)です

 尚、ピンクのポンポンの時計は、今も去年の夏の代々木体育館で止まったままなので、登場人物が過去の出来事を考える時、1年の時差が生じますので、ご了承下さい。


§☆§★§☆ V⌒⊥⌒V ☆§ ★§☆§

  足下が温かくなったのと、いつもなら眠っている時間だったせいか、私はすぐに眠りに落ちた。
 両親が何か話をしていたけれど、何を話しているのか、分からなかった。でも、尼崎の社宅の頃の様に、母が既に寝入ってしまっていた私と妹の布団から湯たんぽを外した後、電気が消されて、話し声は聞こえなくなった。
 台風の時なら、母が時々、寝室へ行き、テレビのニュースを観ることもあったけれど、その夜は台風でもなければ、雷の夜でもないので、外も静かだし、母もテレビを見に行くこともなかった。


 その夜、私は夢を見た。尼崎の社宅に住んでいた頃の夢だった。同じ階に、一つ年上の友達が3人居て、いつも3人で遊んでいた。社宅の敷地内にある狭い公園が遊び場で、社宅の子供しか遊べなかったので、サッカーやバドミントンをしても怒られることはなかった。
 ある日、三人の中の一人の女の子が、お父さんが会社を辞めて田舎へ引っ越すことになり、その前日、皆で砂場で遊んだ。でも、翌年には私も神戸の家へ引っ越すことになった。
 最初は電話で話したり、神戸の家へ遊びに来てくれたりしていたけれど、他の一人の男の子も社宅から引っ越してからは、残っていた一人の女の子とも、いつの間にか電話で喋ることもなくなった。きっと、転校先の神戸でも新しい友達ができて、淋しくなくなっていたからだと思う。
 その夜、見た夢は社宅の公園で皆とサッカーをして遊んでいる夢だった。

 サッカーしていた途中、顔を上げると、当時、住んでいた部屋のベランダから母と妹が手を振っていた。

 でも、夕方になって、空が赤くなった途端に、皆、居なくなってしまった。恐くなった私は急いで社宅のエレベーターに乗って、四階へ上がったけれど、呼び出しブザーを何度押しても、玄関の扉が開かれることが無かった。
 泣きそうになった所で目が覚めると、家族の寝息が聞こえて安心した。

 シェパードがまた吠えた。家の中に入れて貰ったのかな?と思う程に、鳴き声は小さめに聞こえていたけれど、さっきよりは吠える声が長い。
 妹がシェパードの鳴き声に反応したせいか、小さな唸り声をあげたけれど、すぐに元の寝息に戻った。
 車やバイクのエンジン音が時々、聞こえる中、私は再び眠りに落ちた。


 「大丈夫! ね?」
 母の大きな声に目を覚ますと、部屋の電気がつけられていて、妹が声を出さずに泣いて布団の上に座っていた母に抱きついていた。
 「どないしたん?」
 私が布団から上体を起こすと、
 「遠くから、何匹も犬の鳴き声が聞こえるらしいの」
 「鳥も啼いとる……」
 「ごめん、私、聞こえへん」と言うと、
 「ほんまに、鳴いとう!」
 「嘘やって、言うてないやん!」
 「二人共、ええ加減にしとき、明日、遅刻すんで」
 父が寝ぼけた声で口を挟んでだかと思うと、掛け布団を引っ張り、頭まで布団の中へ潜った。

 私も父を真似て、横になると頭まで掛布団を被ったけれど、目が冴えて寝付けそうなかった。布団の中で大きな溜息を一つつくと、
 「無理して寝ようとしなくて大丈夫よ、ちゃんと起こしてあげるから」と声を掛けてくれたので、布団から頭を出した。その時、外から野良猫の大きな鳴き声が聞こえた。
 「喧嘩かしらね」
 母が先回りする様に言ったけれど、
 「一匹しか鳴いてへんもん!」と、妹は涙声で言った。

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<(_`_)>
{ どうせなら番(ドラマ)宣で、
3/31未明の特番生放送に二人で出て欲しい
誰か、「呼んで下さい 」って、
葉書を書いてくれないかな?
一応、歌うことにはなるけど、全国ネットだし    ]