❀ 好きになること への自由 ❤ 10 ❀ | ぴかるんのブログ

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ピンクのポンポン

ピンクのポンポン★79(76-2)



※戸籍は男性
 身体は男性でもあり、女性でもある状態
 心は女性

 そんな人を主人公にした物語です。
 先にネタバラシをしてしまうと、『誰が一番かなんて、決められないのぉ』というタイプの人です。


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  『女性』として生きる様になってからは、男性へのスキンシップは減ったけれど、今の方が幸せだなと、久しぶりに履いた足下のショートブーツを眺めながら、考えたりしていた。 髭は出かける直前に丁寧に剃ったけれど、これは普通の男性がよくやっていることだし、今日は普通に男性として家を出たので、電車に乗っても、好奇な視線を向けられることは全く無かった。
 ただ、正直、以前と同様に“男性”として見られることに抵抗を感じて、途中から電車の中では寝たフリをした。家を出た時間が高校生や、私立の中学へ通う中学生達の帰宅と重なってしまうので、仕方がないと言えば、仕方が無かった。

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 銀座で電車を降りると、やっと10代の女性達の視線から解放されてホッとした。
 高校1年の梅雨の頃、生まれて初めて、知らない女性から手紙を渡された時は驚いたけれど、そういう出来事は大学を卒業するまでの間に、月に一度はあった。
 中には、手紙を渡された後で、
 「私の事、分かりますよね?」と、訊かれることもあった。
 最初は正直に知らないと返事をしていたけれど、一度、大泣きされてしまい、周囲から勘違いを受けてから、
 「毎日、同じ電車でしたっけ?」と、逆質問を始めたら、そういうことは2度と起こらなかった分、手紙を受け取った翌日から、堂々と挨拶されたり、どう調べたのか誕生日にプレゼントを渡されることまであった。

 女性のことは見ていなかった。それは恋人として付き合っていた女性に対しても、そうだったと思う。何人もの女性を傷つけたことも、“女性”として生きることを決めた理由でもあった。
 「どうして、愛してくれないの?」
 「どうして、私を見ていてくれないの?」
 「本当に私のこと、好き?」
 「恋愛に何かトラウマでもあるの?」
 付き合った女性の殆どが、これらの言葉の中で複数を口にした。残りの僅かな女性達は、何も告げず、自ら連絡を絶ち、私から去って行ってくれた。

 両親には、それが“軽い態度”に見えていたようで、何度となく、安易に女性を傷つけてはならないと注意はしても、
 「どうして、そんなことをするのか?」という理由を訊かれたことは一度も無かった。
 もしかしたら、当時、既に私の心の本質に気付いていたけれど、男として生き続けて欲しいから黙っていたのか、又は、その内、運命の相手と巡り会えば、そういうこともなくなると信じていたからなのかは、今も分からない。

 姉妹が居なかったので、冗談でも女装したこともなったことに加えて、私自身が自分の本音の部分を否定する気持ちを心の奥に持っていたからかもしれない。
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 つい習慣で、銀座のデパートの女性用アクセサリーのコーナーを覗いていたら、
 「プレゼントですか?」と、女性の店員に声を掛けられて驚いた。そして、
 「母の誕生日が近くて……」と、嘘だけ言い残して、その場を去った。

 化粧品コーナーも男性の美容員が見当たらなくて、やはり“心だけ女性”として生きてゆくことの難しさを感じた。
 他の地域では、デパートによっては、美容員が居るけれど、数は少ないし、彼らは“男性のメーイクアップアーティスト”だった。

 表通りから離れたお店でお茶をすることにした。
 銀座へ一人で来ることも初めてなら、一人でお茶をするこも初めてだった。窓から離れた席に座ったのに、若い店員さん達の視線を浴びることで、
 「いっそのこと、いつもの様に女性として出かけた方が良かったかもしれない……」と思いつつ、珈琲をゆっくりと飲んだ。


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{ やっと、最終回まで書き終えました♫

書き直した日をきっかけに、脱線しまくり……
ちなみに、スタート日の都合で、次回も長編です ]