ピンクのポンポン★79(76-2)
※戸籍は男性
身体は男性でもあり、女性でもある状態
心は女性
そんな人を主人公にした物語です。
先にネタバラシをしてしまうと、『誰が一番かなんて、決められないのぉ』というタイプの人です。
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午後からの営業はいつもと変わらない春休み明けで始まったけれど、18時を過ぎると、新入社員同伴のお客様で店内は混雑した。
翌日も朝早くから出勤しなければならない会社員の方達にとって、鉄板焼きとお好み焼きなら、食事に時間がかからない分、翌朝への負担は少ない。それに、アルコールは置いてあるけれど、大手牛丼チェーンと同じ様に、アルコールの注文に制限を設けているので、多少、話が長くなっても、テーブルに置かれたものが、お茶かお冷だけとなると、皆さん、居心地が悪い様で、無駄に長居されるお客様も少なかった。
忙しく、テーブルとカウンターを行き来していた私に、新入社員さんを連れてきた常連さん達に何度か同じ質問を受けてしまった。
「機嫌が良さそうだけど、何か良いことでもあった?」
そんなつもりはなくても、翌日の楽しみが顔に出ている様子だった。
質問を受ける度に、
「ちょっと、良いことがったんです。でも、内緒!」と言って、ウインクしては、そこで話を打ち切っていた。当時は、まだウインクが気持ち悪いと、言われることがあったので、それを武器に使ったのだった。
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数々の“疑問”をクリアにして、やっと翌日の観劇へ向けての心の準備が整った。
翌日はシフトを変更して貰い、1日、お休みを貰えたこともあり、帰宅後はゆっくりと湯船に浸かった。
お風呂上りには、お気に入りのピンクのバラ模様のパジャマを着て、その上に赤のカーディガンを羽織った。そして、マッサージとパックでお肌を整えて、その後はストレッチで身体の歪みを整えた。
初めて出かけるお芝居に、ドキドキと楽しみの両方を感じて、私はベッドへ潜り込んだ。
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翌朝、時計のアラームは止めていたけれど、いつもの時間に目が覚めた。
お店の勤務には早番と遅番があるけれど、いつも早番出勤の時間に合わせて起きていた。そうしておかないと、何かあった時に間に合わないからだった。と言っても、ピンチヒッターとして出勤することで、月に1~2回の事だった。
そのせいか、お休みの日と同じ様な時間に目が覚めることが多かった。
朝食を摂ったあと、お出かけ用の服を用意することにした。
足下を茶系のショートブーツに決めて、タイトタイプのデニムのパンツを履くことにした。麻はまだ早いかもしれないと思い、ブルーグレーのジャケットを合わせることにした。
学生時代、家庭教師のバイト代で、奮発して買ったジャケットは、着る機会が少ない分だけ、ちょっとしたお出かけに重宝していたので、初めて観劇したあの日から4年が過ぎたけれど、今も処分しないでいる。
胸板が痩せた分だけ、胸が豊かになったので、結局はサイズが変わらないという感じでもある。
ジャケットの中には、淡いピンクのオープンシャツに、叔父から就職祝いに貰った青いスカーフを合わせることにした。スカーフの上にブレスレットとお揃いのネックレスを重ねて合わせてみようか?と考え乍ら、アクセサリーBOXとして使用しているお菓子の空き缶を開けようと手を伸ばした所で携帯電話が鳴った。
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お店で何かあったたのかな?と考えながら、携帯電話を手に取ると、チケットを譲ってくれた若い常連客であるお嬢さんからの着信だった。
「おはようございいます」
『もしもし』の代わりに、起きていたことが相手に伝わる様に電話に出ると、
「おはようございます、起きてらしたんですね」と、電話の向こうから安堵の声が聞こえた。
「何かあった?」
「いえ、今日は宜しくお願いします。それで、あの、今日のお出かけのことなですけれども、私、肝心なことを確認することを忘れていて……」
「どうかしたの?」
「あのね、場所は大丈夫ですか?」
再び、私は絶句してしまっていた。ネットか携帯で探せば何とかなることだけど、何時に家を出れば良いのか?さえも分かっていなかったことも事実だった。
「ありがとう、すっかり忘れていたわ」
正直に本当のことを告げると、彼女が言ってくれた。
「じゃあ、今から地図と、電車の乗り換えデータを携帯へ送りますね。パソコンからのデータって、受信可能ですか?」
「大丈夫。ちゃんと受信できる様に設定してあるから」
「分かりました。じゃあ、もしも5分過ぎても何も届かなければ、連絡下さい」
「はい、お願いします。ありがとう」
「いえ、こちらがお願いしたことですから」
そう言うと、彼女は携帯を切った。
その後、すぐに地図と電車で出かける場合の複数の乗り換え案が届き、その後、最寄駅が新橋ではないことを念押しするメールが届いた。
確かに、歩いたことのないエリアにあったので、何も考えずに新橋へ出ていたら、道に迷っていたかもしれないと思い、彼女にお礼のメールを返した。
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午後、早めに家を出て、街を歩くことにした。
久しぶりにショートブーツを履くと、歩き辛く感じて驚いた。きっと、お店で歩き易い靴に慣れてしまったのかもしれないと考えながら、駅へ向かってゆっくりと歩いた。
このブーツを履いて、何度となく女性とデートしたこともあれば、ホテルへ行ったこともあった。でも、やはり違和感があって、女性が希望する通りの“恋人”にはなれなかった。
そして飲み会だと、二次会のお店へ移動する途中に、
「セクハラにはならないから」と言っては、わざと寄った振りをしては、同級生の首に後ろから抱き着いたり、寄った後輩の肩を抱き寄せて歩いたりして、その方が心がドキドキしたり、キュンキュンしたりしていたことを思い出した。
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{ そう言えば、毎公演、伊勢野三郎と名乗っていたのに、
弁慶は三郎の姓名が言えなかった(笑)
なのに、弁慶は熱いお茶を三郎に要求
少年隊とタキツバ、
今なら二人はどちらを選ぶ??? ]