❀ 好きになること への自由 ❤ 8 ❀ | ぴかるんのブログ

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ピンクのポンポン


ピンクのポンポン★79(76-2)



※戸籍は男性
 身体は男性でもあり、女性でもある状態
 心は女性

 そんな人を主人公にした物語です。
 先にネタバラシをしてしまうと、『誰が一番かなんて、決められないのぉ』というタイプの人です。


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 初めて出かけるお芝居に対して、初めて『抵抗』と『拒否』という気持ちが私の心の中に芽生えた。
 席が良いことで、舞台が良く見える分だけ、舞台からも良く見えていることに気付いたからだった。
 ホルモン療法を受け始めて1年も過ぎていなかった当時は、まだ『男性』の格好をした方が、周囲からは違和感無く見られていることは分かっていた。

 でも、『男性』として観に行くとしても、182cmの身長が災いして目立つ分、
 「男一人で(アイドルの)お芝居を観に来ている」とか、
 「あの男の客、何か様子がおかしくないか?」と、舞台裏でネタにされてしまうのではないか?という被害妄想を抱いてしまったのだった。

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 「あのね、『どういう人が観に来てくれているか?』ではなくて、『お芝居を観て、どういう反応をしてくれるのか?』の方ですから」
 「でも……」
 「面白ければ笑って、凄いな!と思ったら拍手して、心がツーンときたら泣いて下さい。反応が無いことが一番怖い筈ですから」
 「そんなことをしたら、無駄に目立ちそうで……」

 年下の若いお嬢さんが電話の向こう側から、私を励ます様に言った。
 「何も反応しない方が、客席から浮いちゃうと思います。それに、何も反応しないと、黙々と無表情にお好み焼きを食べているお客さんみたいですよ」
 私はやっと、心の中で『舞台側から、(客席での表情を)見られる』という事に納得した。
 でも、もう一つの“悩み”は解決されていなかった。


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 「もしかしたら、近くに芸能人が居るかもしれないから、良い意味で視線が来る様に頑張って、お洒落して出かけて下さいね」
 衝撃的な言葉に、再び、私は沈黙してしまった。
 「もしもし…… あの、また、どうかしました?」
 携帯電話の向こう側から、チケットを譲ってくれた若い常連客であるお嬢さんが、再び、不安そうな声を出して心配してくれるも、私はすぐに返事が出来ずにいた。
 「あのぉ、大丈夫ですか? それとも、お客さんがたくさん来ちゃいました?」
 「違うの……」
 私はやっと返事の言葉を口に出すも、それだけで精一杯だった。お店に近所に住む有名人の方が来られることはあっても、正直な所、皆様、それなりの年齢でいらっしゃるせいか、こちらもそんなに緊張はしない。会話を聞いている限り、ご一緒されているのも、お身内の方か親しいスタッフくらいで、若い方を連れて来られることが無い。そんな状況しか知らない私にとって、『近くの席に芸能人が居るかもしれない』という言葉は、“嬉しい刺激”に感じられたのだった。

 再び、黙ってしまった私の気持ちを想像したのか、彼女が心配そうに言ってくれた。
 「近くに芸能人とか来るの、イヤですか?」
 「ううん、その逆……」
 彼女の口調が一転して、釘を刺してきた。
 「あの、握手とか無理ですからね。客席の照明が消えて、幕が開くギリギリで入場したり、終わる直前に席を立ったり、スタッフが密着していますから、そんなことはできません!」
 「え、そうなの?」
 彼女の言葉に、現実へ引き戻された私は、普通に言葉が話せる状況に戻った。

 「確かに、たまに一人で来て、スタッフも迎えに来なければ、休憩時間に席を立たなかったり、ロビーに出ている人も居るけど、絶対にそんなミーハーなことはしないで下さい!」
 「え、どうして?」
 今度は彼女が沈黙した。黙って彼女が話し出すのを待っていると、とても冷静な口調で、二十歳のお嬢さんの話し方とは思えない様な優しい口調で、私の“心の急所”を爪楊枝で優しく突っついてきた。
 「あの、そんなことをしちゃうと、もしかしたら、目立ってしまって、スタッフの人から注意されて、凄く目立っちゃうかもしれないですよ」
 私が再び沈黙してしまった。
 「だから、近くに芸能人が居ても、眺めるだけにして下さいネ」
 「名刺くらい、渡したかったな…… 来て貰えれば宣伝になるかもしれないし」
 「確かに、お店に来て、ブログに、『こんなお店で食事しました』と書いて貰えれば、繁盛はすると思うけど、ネットで派手に目立つと、常連さん達の居場所がなくなるかもしれませんよ」
 「そっか…… 残念。分かりました、大人しく拝顔するだけにしておきます」
 「はい、宜しくお願いします」
 彼女の口調がっと、普段の明るさを取り戻した。
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 彼女と電話で話している途中に15時を過ぎてしまった。中学生の3人グループが二組お店に来てくれたのが見えていたけれど、お喋りがメインの様で、お好み焼きの注文は、どちらのテーブルも1枚づつだった。
 同じ様な年頃のお子さんを持つパートの女性が、愛想よく二組に声を掛けて、注文を取り、ドリンクを先に出してから、お好み焼きの支度をしていた。

 若い学生さんやフリーターではなく、同世代のお子さんを持つ母親か、子育て経験の女性をこの時間にお店に置いて、変わった様子はないか?と、気をつけてあげること。そして、何かあった時には、そんなパート女性の盾になれる男性が一人は必ず居ること。
 それも、オーナーの考え方だった。
 滅多に笑顔を崩さないオーナーを恐がるお客様もいらっしゃれば、愛想の良さに心が落ち着くと仰るお客様もいらっしゃる。そして、別のお店の店長さんは、ニコニコしていないと、勘違いを招く程に、良い雰囲気のオーラが勝手に出てしまうようなタイプの人だった。 
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「 TV朝日系“信長のシェフ”
まいジャニメンバーで、
なにわ皇子永瀬廉君出演、頑張れ!!! w(^^)w
家が、雨漏り君はもうベテランかと(^_-)-☆ 」