ピンクのポンポン★79(76-2)
※戸籍は男性
身体は男性でもあり、女性でもある状態
心は女性
そんな人を主人公にした物語です。
先にネタバラシをしてしまうと、『誰が一番かなんて、決められないのぉ』というタイプの人です。
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常連の、若くて可愛らしいお客様から買い取ったチケットで、生まれて初めてお芝居を観に行くことになった。今までに、一度もそういうことへのお出かけをしたことが無かった私は、念の為、彼女と連絡先を交換した。
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ちなみに、彼女が同じ日に出かけた公演は、日本人プリマによる外国のバレエ団による公演とのことだった。
後日、お店に来た時、彼女はチケットの買い取りのお礼を言った後、いつもの様に明るい笑顔と楽しそうな口調で、こんな風に説明してくれた。 そのバレエ団は、公演数も少なく、次回の日本公演もいつになるのかが分からないので、毎回、家族で出かけているけれど、かなりのプレミアムチケットで、特にSS席は取れたり、取れなかったりする。それが、今回はSS席のセンターブロックのチケットが届いたので、家族で楽しみにしているとのことだった。
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一応、何かトラブルがあった時のために、連絡交換をした筈だっのに、翌日の朝には、彼女がまだ春休み中だったことが幸いして、何度も彼女の携帯電話へ連絡してしまった。
先ずはチケットの演目と日時しか確認していなかったのに、チケットの右下に女性の名前が印字されていた。オークションで購入したチケットなので、当然、彼女の名前ではなかった。
「チケットに全く知らない女性の名前が書いてあるけれど、大丈夫なの?」
不安一杯の私の声に、彼女はいつもの様に明るい口調で説明してくれた。
「多分、大丈夫です。いつものことですから」
「いつものこと?」
「はい、良くあるんです。申し込んだ日とは違う日のチケットが届いて、都合が悪い時は、掲示板に書き込んで、交換することもありますから」
「そうなの?」
「はい。それに、まずは何も確認されませんから、安心して下さい」
「そう……」
「きっと、他の人の名義のチケットで入場するって、初めてのことだから緊張しちゃうと思うけど、大丈夫、入れますから」
「そうなの?」
「はい、先ずは問題ありませ。だから、私もオークションに入札しましたから」
「そうよね」
彼女の説明にやっと納得できた私は、やっと最初の電話を切ることができた。
確かに、飛行機の国内線だって、本人ではなくても乗ることかが出来るから、『大丈夫!』だわよねと、ちょっと違う角度からも納得したのだった。
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でも、一時間もすると、次の疑問が芽生えた。
当時の私は、まだホルモン療法を受け始めたばかりで、ノーメイクとカツラ無しの時なら、自分で鏡を見ても、普通の男性にしか見えなかった。
「ごめんなさい、くだらない質問かもしれないけれど、男と女、どちらで行った方が良いと思う?」
「……」
「お店だと、お化粧とカツラを使っているけれど、男性の格好の方が、今はまだ自然なのよね……」
「だったら、悩みますよね…… う~ん、どっちかな…… 男性で観に来られている人も居ますよ」
「一人で?」
「エスコートがメインですけど」
「そうよね……」
「……。すみません、一度、考えてさせて貰って良いですか? 後て、お昼の営業が始まる前には連絡しますから」
「じゃあ、お願いね」
「分かりました。責任重大だけど、頑張って考えますね」
そう言うと、彼女は電話を切った。
男一人で観に行っても、女性として観に行っても、周囲に違和感を与えることは、確かだった。
お店に入って暫くは、オーナーが私のことを心配して、必ず、一緒にお店に出てくれた。
大抵のお客様は、入って来られた時だけ驚いた顔をしても、後は何も言わなかった。でも、お昼の営業時間の時には、『親が泣いている』とか、『親が苦しんでいる』と余計な忠告をしてくる人が日に、何人か居た。
その度にオーナーが、
「大丈夫です、彼女の叔父さんが僕の同級生で、頼まれたので預かりました。それに、ちゃんと本当の自分を曝け出せる強い人間ですよ」と、フォローしてくれた。
そして、それでもまだ何か言ってくる人達には、
「じゃあ、話のネタに、次は誰かお友達と一緒にどうぞ。ただ怒らせると、彼女、学生時代にちょっとスポーツやってましたから」と、遠回しに『もう、来て頂かなくて結構です!』と伝えていたのだった。
「社長、あんなことを言って、大丈夫なんですか?」
ある日、私は気になって、訊いてみた。するとオーナーは、笑って言った。
「調度、空気の入れ換えをしたかったから、気にしなくて良い。それよりも、良い常連さんを大切にしてくれ」
叔父からオーナーを紹介されて、面接の時に、採用して貰えると聞かされた時には、“客寄せ”としての採用ではないか?と疑ったし、入店してからも、そんな気持ちがずっと心の奥に、小さくだけど存在していた。
でも、あの時、不快に思われても仕方のない私からの質問に、きちんと答えてくれたオーナーの気持ちをとても嬉しく感じると同時に心の中の小さな疑問も消えた。そして、あの時、自分のためだけではなく、オーナーや、私のことを心配して、仕事を紹介してくれた叔父のためにも、仕事を早く覚えて、一人前になろうと決心したのだった。
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{ 晴れてはいても
空気が乾燥しているせいか、寒いです~~~(辛)
千秋楽、お疲れ様でした
ドームで、出演者全員で組曲やって欲しいなぁ(切実) ]