❀ 好きになること への自由 ❤ 4 ❀ | ぴかるんのブログ

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ピンクのポンポン

ピンクのポンポン★79(76-2)



※戸籍は男性
 身体は男性でもあり、女性でもある状態
 心は女性

 そんな人を主人公にした物語です。
 先にネタバラシをしてしまうと、『誰が一番かなんて、決められないのぉ』というタイプの人です。


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 タッキーの観劇に、男として観に行くべきか? 又は、女として観に行くべきか? きっと、他の人達にとっては、どうでも良さそうなことに悩んだ私は、チケットを譲ってくれた若い常連客であるお嬢さんに、相談の電話を掛けると、彼女も一緒になって、悩んでくれた。  そして、  「分かりました。責任重大だけど、頑張って考えますね」という言葉を信じて、お店へ出勤した。

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 携帯電話で時間を確認すると、11:20だった。
 もうすぐ、お昼の営業開始時間だった。
 出かけるのは、明日のこととは言っても、どうしても気になる。
 携帯電話の画面を見つめて乍ら、大きなため息をついた瞬間、携帯の待ち受け画面が明るくなった。

 「もしもし」
 きっと、彼女の携帯電話では、ワンコールも鳴っていなかったと思う。彼女の声がうわずっていた。
 「すみません、ギリギリになっちゃいました」
 「いいのよ、こちらこそ、難題を押し付けて、ごめんなさいね」
 「いえ、私の責任ですから。それで、質問の答えなんですけど、もしかしたら不本意かもしれませんが、今回は『男』でお願いします」
 「『男』ね。分かった」

 私がコネることもなく返事をすると、彼女は珍しく早口で理由を説明してくれた。
 「いろんな人のフログを観ていたら、エスコートではなくても、男性が来てます。出演者のお友達や親族の可能性も高そうなんですが、男一人で観に来られている人達が居るのら、『今』は、男性の方が余計な視線を受けなくて良いと思います。だから、今回は『男』でお願いします」
 「分かりました。色々と調べてくれたのね、ありがとう」
 「いえ、私の責任ということもありますから。じゃあ、お店、頑張って下さいね」
 そう言うと、彼女は電話を切った。

 心が決まった私は、爪先立ちをすると同時に、両手を高く伸ばして、大きく伸びをした。悩みが解消されて、心がスッキリとしたせいか、間もなく始まるお昼の営業に向けて、頑張ろう!と決心した伸びだった。
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 なのに、お昼の営業が始まった直後に、再び新しい悩みが生じた。
 よく、お昼を食べに来てくれているOLさん四人のグループの会話を聞いた途端、
 「お芝居を観に行くために、そんなことまで悩まなきゃいけないの?」と、驚いた程だった。

 でも、お芝居を観に行くのは初めてのことなので仕方が無い。お昼のお客様が一段落したら、また彼女に連絡しようと思った。
 言い訳ではないけれど、まだまだ心だけは『女性』として生きることを始めてから、一年程しか過ぎていなかったので。

 大学の卒業式は、『男性』としてスーツを着て出席した。その時の写真を一人暮らしを始めてから、部屋に飾っている。一枚はワンショットだけれど、もう一枚は仲の良かった友達グループで撮ったものだった。
 過去を懐かしむためではなく、自分自身を励ますための写真だった。

 「悩み、違和感を感じていた頃の自分が居るから、今の自分が居る。例え身体も戸籍も『男』のままでも、心だけは過去の自分のためにも、『女』として生きよう!」
 毎朝、写真を見つめては、そんな言葉を心の中で繰り返していた。

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