❀ 好きになること への自由 ❤ 1 ❀ | ぴかるんのブログ

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ピンクのポンポン


ピンクのポンポン★79(76-2)



 今日は大丈夫かしら?と思いつつ、出かける前に、もう一度、姿見の大きな鏡で全身をチェツクした。

 長く続けているホルモン療法の効果が、最近、やっと出てくる様になった。
 いろんな選択があるけれど、身体にメスを入れることには抵抗があって、ホルモン療法だけで、何とか女性の身体になりたいと頑張ってはいるものの、お店以外では、道を歩いているだけでも、露骨に避けて通られることが多かった。
 きっと182cmもある身長が周囲に威圧感を与えてしまうこともあると思う。

 大学の卒業を控えて、就職も決まっていたけれど、親から勘当されることを覚悟の上で、女性として生きることを決めた。
 両親は勿論、大反対だったのに、叔父お叔母達が面白がって賛成してくれたおかげで、アパートを借りることもできたし、今もお店の売り上げに貢献に来てくれたりしている。
 お店と言っても、アルコールをメインに取り扱うお店ではなく、叔父の同級生が経営しているお好み焼き屋さんで、毎日、懸命にお好み焼きを焼いていて、今は二店舗の責任者として、新しいメニューを考えたり、新しく入った店員を教育したりと、少しは責任の重い仕事をさせて貰っている分、お給料も良い額を貰えている。

 営業がてら、なるべく同窓会には出席する様にしているけれど、同級生の話を聞いている限り、ちょつと変わった生き方をしていても、自分が周囲の人間に恵まれていることや、仕事にも恵まれて、未来への夢にも恵まれていることがよく分かる。
 ただ、同級生の気を悪くさせないためにも、いつも、自虐ネタだけは忘れなかった。
 例えば、
 「どんなに努力して頑張っても、子供は産めないのよ」とか、
 「結婚なんて出来ないだろうから、私の老後は孤独死に決まっているじゃない」という具合に。

 もっとも、将来は親族の誰かを養子を貰うとか、私みたいな人間でも抵抗のない人達と一緒に暮らせば、孤独死なんて有りない!と思っている。
 あと、お金を貯めるだけ貯めて、アッパークラスの人達しか入れない老人ホームに入居して、優雅に暮らすのも楽しそうだなあ何て事も考えたりしている。
 まだ28歳で家庭を持つことを諦めて、老後のことを考えるのもどうか?とは思うけれど、きっとそれは、自分が今の生活に満足していて、“変化”というものは望んでいないのかもしれないとも思っていた。

§☆§★§☆ ≡⌒⊥⌒≡ §☆§★§☆§

 私がタッキーにはまったのは、女性のお客さんから譲り受けたチケットで、お芝居を観に行ったことがきっかけだった。
 彼女は、私がお店に入る前からの常連さんで、よく家族や同級生とお店に来てくれていた。店にはテーブル席とカウンター席があり、普段はテーブル席が多かったのに、その日はテーブル席が混んでいたので、
 「今日は二人だから、カウンターで良いわよ」と言って、初めてカウンター席に座って貰って以来、よく喋る様になった。

 彼女は母親の影響で、お芝居、ミュージカル、宝塚、オペラ他、劇場へ出かけることが大好きで、そんな彼女のお気に入りリストの中にタッキーも入っていたのだった。

 他の演目の時でもそうだけど、彼女は一度観て気に入ると、同じ作品を何度でも観に行く人だった。加えて、面白いと思った作品の内容について、見所も含めてよく喋ってくれる。そんな彼女の話を聞いていると、観に行っていない私自身が、観に行った様な錯覚を起こすこともあったし、彼女の話を聞いて、
 「面白そう!」と言っていた他のお客様が、後日、
 「本当に面白かったわ」と言いがてら、お店に来てくれて、
 「彼女にお礼を言っておいてね」と、嬉しそうに話しながら、お好み焼きを食べる姿を見ていると、私も幸せな気持ちになれたのだった。

 そんなある日、珍しく、彼女が一人でお店へ来た。しかも、普段はニコニコしている彼女が、珍しく思いつめた様子だった。  近くにお客さんが居る時は話しかけない方が良いと思った私は、暫く時間を置いて、今なら大丈夫!と思った時に、彼女の前へ向かった。

 すると、彼女が、先に声を掛けたきた。
 「あのね、お願いがあるの……」
 私は、彼女に何があったのだろう?と、不安を抱いた。


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