上村文乃&牛田智大デュオ・リサイタル | 私のピアノライフ  with classical music

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ピアノ練習、コンサート等で感じたことを気ままに語っていきます。

6月1日(土)、東京の銀座にあるヤマハホールへ行ってきました。

今まで、ヤマハホールへ行くとき、新橋もしくは地下鉄の銀座駅から歩いていたのですが、グーグルマップで下調べしていたら、東京から歩いても20分ぐらいだと分かり、天気が良ければ歩こうと決めていました。

前日も日曜も天気が崩れたのに、この日は気持ちの良い晴れの日。銀ブラもなかなか楽しかったです。どこに行っても外国人だらけ(デパートや高級店は外国人が半分以上を占めている)でしたが…。

 

ヤマハのビルです。このビル内にホールがあります。席数は333。小さなホールなので、どこの席に座っても演奏者が近く感じられます。音響も良いです。

 

本日の演奏会↓

チェロの上村さんとピアノの牛田さんのでデュオリサイタル。

いろいろ変わった楽器の演奏会(二胡、津軽三味線、バグパイプなど)は聴いたことがあるのですが、なぜかチェロとピアノのデュオは初めて(たぶん)。チェロのソロは聴いたことがある。(バッハの曲)

 

【プログラム】

バッハ:無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調(チェロのソロ)

ブラームス:チェロソナタ 第1番 ホ短調

 

ショパン:2つの夜想曲 第17番 ロ長調(ピアノのソロ)

            第18番 ホ長調

ショパン:チェロソナタ ト短調

 

ソロとデュオでプログラムが作られています。

 

上村さんは、数々のコンクールで優勝、入賞し、日本だけでなく海外でも活躍されている実力者。年は、30代前半。

 

上村さんが登場し、バッハの無伴奏を弾き始めました。豊かな音色がホール中に響き渡って、なんとも心地よい。ヴァイオリンの曲は慣れ親しんでいるが、チェロはあまり聴いていないことに今更ながら気づく。そんなわけで、とても新鮮な体験。

弦楽器はヴァイオリンの次にチェロが人気があるのだけど、私はなんといってもヴィオラが一番しっくりくる。(昔、アマオケで弾いていたから)とは言うもののヴィオラのソロの演奏会は行ったことがない。

ピアノはソロが普通だけど、弦楽器はやっぱりアンサンブルが普通のスタイルだと思う。

上村さんもソロだけでなくトリオやアンサンブルでも活躍中とか。

 

2曲目は、ブラームスのチェロソナタ。予習もなしに聴きましたが、最初の数小節で「ブラームス」とわかる音使いに、ブラームスの偉大さを感じました。若い頃は、嫌いじゃないけど特別好きではなかったブラームスですが、この頃は、聴くと心が落ち着きます。上村さんの豊潤な音と、牛田さんの美しくも懐深い音で繰り広げられるブラームスの世界は素晴らしかったです。デュオでしか味わえない音が体全体に振り降りてくる感じはたまりません!

余分ですが、よく神童がヴァイオリン弾いている動画を見ていると、ピアノ伴奏が物足りなくてヤキモキすることがあります。有名なヴァイオリニストの演奏会でもピアノ伴奏に苦言を呈す投稿をちょくちょく見かけます。

ピアノが伴奏になってしまうと面白くない。

やはりデュオは、ピアノが大事。

ピアノが時に寄り添い、時にチェロと対等に掛け合う面白さを堪能することができました。

 

 

後半、最初の曲はショパンのノクターン。2曲とも後期の作品で、この日のために(?)、私も練習してみました。なんとか音を拾って最後まで通せるぐらいまではいきましたが、上手く表現できない。なので、牛田さんがどんな風に弾くかとても楽しみにしていました。

最初の数小節で、これは普通に上手に弾くレベルではないことに気づきました。音楽の作り方が、とても深い。音楽が流れるというより、音楽の中にドラマがあり、ショパンの心情を語っているかのように感じました。これは、全く真似のできないレベル。(普通に上手に弾いてくれれば参考になったのに…)音符から、どうしてあの奥深い世界を想像し、表現できるのでしょうか。

以前と、表現が変わってきました。若い時にしかできない牛田さんの演奏もよかったけど、今は大人になったんだなあと感じさせる表現でした。ちょっと前までは「僕は、こう思うんだけど…」という言い回しだったのですが、今は「僕はこう思います。」とはっきり示す音楽になってきた感じがしました。声部ごとの音色の使い分けも見事。音楽が自由で大胆だけど、テンポや拍子はきちんと収まっている。ノクターンで、こんな衝撃を受けるとは思っていませんでした。

 

後半2曲目は、ショパンのチェロソナタ。かなり複雑な曲。予習をさぼったので、ちょっと消化不良。ショパンはほとんどピアノ曲ばかり作曲していて(歌曲は作っているが)、弦楽器はこのチェロソナタぐらいしか作っていない。ショパンを慰め励ましてくれたチェリストと合奏するために書かれたそうです。

両楽器の丁々発止のやり取りは、エキサイティング。

 

アンコール曲

 バッハのパストラーレ ヘ長調BWV590より第3曲

 

気分が高揚した後のバッハは、心に沁みました。

 

余分な話

今回2階席から、聴いていたのですが、写真の柵がちょくちょく目に入って気になりました。矢印のような高さのある柵が反対側にもあるのですが、これ、何なんだろう?下の柵はまだわかりますが、上の柵は、演奏者を見るのに邪魔なのよね。

ホールによっては全く演奏者が見えない場所もあるらしいので、これぐらい、目をつぶらなければならないかしら。

 

演奏会終了後、1階の店舗をぶらぶら。

いろどりピアノなるものが置いてあり、鍵盤を弾くと壁の絵に色が塗られていくということなので、近くの人にピアノを弾いてもらい、写真撮影。

         ↓

 

絵は2種類あります。もう一つは

           ↓

 

色がついていく様がなかなか素敵でした。