3月30日、牛田智大ピアノリサイタル高知公演に行ってきました。
高知に行くのは2回目。今回は、前日、香川の小豆島観光し、朝、高松から高知へ向かいました。
高松からは、JRか高速バスで高知へ行くことができるのですが、時間的には変わらない、そして料金はバスの方が安いということもあり、高速バスを使いました。(前日も夜行バスで高松入りしたわ)
高知県立文化ホールは2度目ですが、今回はグリーンホールで開催。
建物の中に入るとポスターが目に入ります。
ホールの入り口が見えます。
ホールのロビーには、花スタンド。どこに行っても、花スタンドを出すファンの方がいる牛田さんって、ほんと、愛されていますよね。
今回、背景のセンスのなさが、写真を撮っていて気になりましたが…。
【プログラム】
モーツァルト:ピアノソナタ 第4番 変ホ長調 K.282
シューマン:クライスレリアーナ Op.16
ショパン:即興曲 第1番~第3番
ショパン:ピアノソナタ 第3番ロ短調 Op.53
ホールは500席のリサイタルにちょうどいい大きさ。音の響きの増幅はあまりなく、ピアノそのものの音がダイレクトに聞こえてきます。
席は9列目の下手側。コンビニで買った(席指定できず)割には、なかなか良い席。手の動きが良く見える。段差のある座席だったので、前の人の頭が目に入らないのでイライラしないですむ。
今シーズン、牛田さんを聴くのは3回目。ほぼ10日ごとに、聴いています。高知は遠いので迷ったのですが、昼公演であるのと、最終公演なので、行かないと後悔すると思い、決行。
ちょっとした間隔をあけて聴くのはなかなか良いです。そして、今回、コンサートは一期一会なんだなと強く感じました。
同じプログラムなのに、前と違った印象を受ける。これは牛田さんだからなのか、他の人でもそうなのかはわかりません。(牛田さん以外で、複数回、聴くことはないので)
今シーズンのプログラムは「クライスレイアーナ」と「ショパンのピアノソナタ 第3番」がメインで他の曲は添え物のように思っていました。
この日、この考えを撤回しました。
モーツァルトのピアノソナタは、可憐で愛らしく丁寧に歌い上げる演奏は、本当に心地よく、すばらしい演奏でした。今まで感じていた重さは感じませんでした。
いったん、舞台袖に引っ込み、再登場し、椅子に座って、いきなり「クライスレリアーナ」が始まったのには驚きました。牛田さんは、たいてい、ピアノの前でしばらく気持ちを落ち着かせてから演奏を始める人だと思っているので、不意打ちを食らった感じです。
激しさと優しさが交互に複雑な音やリズムの中で表現され、この曲を聴くにはエネルギーがいります。もちろん、弾いている本人が一番、身を粉にしていると思われますが…。そして、この曲はけっこう長い。すばらしい音楽の世界に入り込むと同時に、歩きすぎた疲れのせいか、うとうと気味。さすがに、寝落ちする前に、7曲目の冒頭で、衝撃を受け、我に返りました。最終曲の中間部の熱情、前後の静かな語りとのコントラストは見事でした。わっと盛りあがって終わらないのがシューマンらしくて、渋いのですが、このよさがわかるのには、時間がかります。
後半は、ショパン。何気なく美しく弾いていた「即興曲」だと思っていたのですが、今回、より深いところまで表現しているのだなと思いました。たぶん、今シーズンの最初と最後では、解釈も変わってきているのではないかと思いました。最初のうちは、けっこうナーバスだったり、てんぱったりしてるのが、だんだん余裕が出てきて、より自由により大胆になってきているなと感じました。
最後のピアノソナタは、期待を裏切らない素晴らしさ。途中の3楽章で、ペダルの足が気になり、じっと見ていましたが、足は微動だにしません。ペダルを踏みっぱなし?、ペダルなし?、どうなっているんだろうと不思議でした。単に、足の動きが見えていなかったのかもしれませんが…。
3楽章のこの上ない美しい世界から、4楽章の躍動の世界へ。フィニッシュへ向かう流れが本当にわくわくします。フィニッシュはかなり速いテンポ。最後の音が鳴り終わった瞬間って聴いている方も達成感を感じてしまう。ほんと、ショパンって天才だわ。
盛大な拍手とブラヴォーの声。
アンコールは2曲。
ショパン:プレリュードの第4番
シューマン:ピアノソナタ 第1番より 第2楽章
ショパンのもの悲しさ、シューマンのロマンチックで優しさあふれる演奏は、素敵でした。
シューマンを弾き終え、カーテンコールの後、いつものガッツポーズをして袖に引っ込んだので、終了を悟りました。
帰り、先日、豊田でお会いした人を見かけ、また少しだけ話をしました。なんと、全公演(12回)制覇したそうです。
またこの先もどこかの会場でお会いすることになると思います。岐阜にも来ると言っていたなあ。