荒海山の憂鬱 | 降っても晴れても

降っても晴れても

山に登ったり走ったり、東へ西へ・・・

大白森・小白森山に登った翌日は、荒海山を目指します。前回二人で登ったのは12年前だった。そろそろ細かい記憶も失せてきたことだし、また登ってみようと思った。

 

尾根の途中から七ヶ岳が見えた

本日のGPS軌跡、イレギュラーな結果になった。

電子地形図25000(国土地理院)を加工して作成した。

注:この地形図のスケールは編集されています。距離を参照される場合は元のスケールで確認してください。

 

【2024年6月20日(木)】 駐車場6:05~崩壊林道終点6:50~尾根取付7:00~コル7:30~1350m露岩8:25-30~1425m地点撤退8:55~駐車場11:15

 

昨夜泊まった芦ノ牧温泉のホテルは、リーズナブルで部屋が広いのは取り柄だった。しかし夜はいろんな機械音がうるさくて、ほとんど眠れなかった。これにはかなり参った。体も弱くなったもんである。1時間ほど走って、駐車場に到着。一番乗り。

 

12年前のときは家内と二人で、会津高原尾瀬口駅からトレランで荒海山を横断して中三依温泉駅まで走ったものだ。つまり山頂から栃木県側へ廃道的コースを下ったのである。今よりもかなり冒険心が旺盛だった。まず少々、林道を歩いていきます。

 

林道は近年の水害でズタズタになってしまった。どこにどう路盤があったのかさえ、わからなくなっている。凄まじい様相である。

とりあえず迷わない程度に道標があるので、従っていく。何度も渡渉があった。

 

河原を歩いたり、巻道をたどったり。護岸跡も荒廃している。前回は林道を走ったのではなかったか?

越流部なども、軽く渡って。

 

護岸コンクリートの残骸。下部が空洞になって、路床も水に流された。

 

コンクリートの路面が階段状になっているが、まさかこんなふうに作ったのではないだろう?

恐るべし、自然の威力。ここを渡り歩いていく。

 

いちばん奥の遺構がこれです。表面がヌルヌルなので、ロープにつかまって。

 

しばらくは河岸段丘を巻いたり、また河原に出たりする。

もう少し先で左岸の枝沢に入っていく。ここも相当に荒れた状態だ。

 

枝沢に入ってから12分ほどで尾根の取付きに到着。ここからしばらくはズルズルの急登で、ロープにすがることもあり。煩雑な河原歩きが終わっただけでも一歩前進です。

そんな斜面登りも20分ほどで終りとなる。尾根上のコルに着くと、道は落ち着きを取り戻して、少し安堵の気分にもなれるところ。歩きやすいのかな、と期待も抱かせた。さすがに寝不足で、昨日の疲れが抜けきっていない感じがした。

思えば去年の今頃からずっと体のパフォーマンスが低迷して、頭で考えるほどは登れてないのである。体調の波も激しくなってきたし。

 

木でも楽しみながら行くか。

裏から見ると、こんな。

 

ブナが優勢になってきたようで。

 

このブナは以前も写真を撮った。ちっとも変わってない。上には少しは伸びたのかな。

きっと誰しもここで写真を撮るでしょう。

 

そんな気分の良い道は長くは続かなかった。1250mからの急登、木の根もあるし段差もある。

 

邪魔な枯木や枝もたくさんある。前回の記録にも、荒れた道だと自分で書いていた。その頃とあまり変わっていないのだろうか。荒海山は300名山だから、ワイルドだとは言ってもそれなりの登山道だろうと思い込んでいる。しかし一歩間違ったら、という場面がたくさん出てくるのだ。

どこそこの山で転倒して救助を要請した、というニュース。あり得ないことじゃない。

この太い木をまたぐのだって、残せば何十年。切れば一瞬で済むのに。

 

1360m地点の露岩にて、休憩して給水した。いろいろとモヤモヤする道だ。しかし山頂まではあと1時間もかからないだろう。

 

そして歩き始めて1425m地点、最後の大登りにかかった所だった。1.2mほどの手がかりが乏しくて、足場も悪い段差がある。大きな動作で乗り越えようとしたらバランスを崩して、地面に叩きつけられた。久しぶりの大失態。

とりあえず落ち着いてそこを越えて、上を仰いだ。もういいな、今日は帰ろう。

 

しばらく山から離れて、頭と身体を休めたくなった。

荒海山はもういいわ。

 

ゆっくりと下山してきた。林道の残骸を横目に見て。

 

とにかく今日は帰ります。どこにもぶつけようのない腹立たしさを、かなぐり捨てて。

一旦、日常生活に戻ろう。

 

おわり