上武絹の道②深谷宿の深層 | 降っても晴れても

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山に登ったり走ったり、東へ西へ・・・

上武絹の道の序盤をコクーンシティからたどってまいりまして、熊谷の次は深谷宿です。

宿場内には絹の道のキーワードが特にあるわけではないけれど、ここをスルーして行くわけにはいかない。深谷宿は過去にも2回ランニングで通り抜けているが、ざっくりと眺めただけで記憶に刻んでない。

 

深谷駅は驚きの入口だった

 

【2024年2月2日】 さいたま新都心コクーンシティ6:35~武蔵一宮氷川神社~中山道大宮宿==熊谷・片倉シルク記念館+熊谷宿など11:55まで==深谷宿13:45ー16:00=本庄泊まり

 

深谷市にはかつて日本煉瓦製造という企業があった。明治時代にお雇い外国人のエンデ&ベックマンが明治政府に建設を進言し、渋沢栄一が創業に関わった。そして要するに日本煉瓦製造は東京駅の赤レンガを製造して歴史に名をとどめる。深谷駅駅舎は東京駅の赤レンガを模したものであるが、実際は外装タイル張りという仕様になったわけです。

駅前駐車場から午後の部をスタートします。

駅の観光案内所で、「レンガの街さんぽ旅」と「深谷宿観光名所マップ」をゲットしていく。

 

深谷宿の東西入口には常夜灯が残っている。今日はその常夜灯の間を、横8の字を描いて歩きます。北口の右手から駅前通りを北へ進む。足利銀行のある仲町交差点を東へ、です。この道が旧中山道になる。するとさっそく蔵とレンガの町並みが始まります。名称だとか、わからないものも多数あり。

午後の陽射しが、蔵に照りつけていた。

 

左手には埼玉石炭の店舗蔵。二階の窓扉が重厚です。

 

その向かいは、武州近江屋つかもと燃料。大正元年の建造だが、元禄年間に近江から深谷へやってきたという。つまり近江商人だったわけです。深谷市に現存する煉瓦造としては最大規模とのこと。二層を貫くレンガの防火壁が印象的です。

入口には渋沢栄一のポスター、今年の一万円新札の肖像画になるらしい。

妻側の全景、破風のレンガが4段になっているのがすごい。

 

また何か見つけたか。

 

唐沢川を渡ると用品の石川屋が登場する。窓。

正面全景。

 

南側の路地に入って稲荷神社に立ち寄って、街道に戻る。緑道を過ぎた所が、東の常夜灯だ。造立者たちの名前とともに、登山六十六度とか三十三度などと彫ってある。

ここで折り返して、違う道を進みます。

 

常夜灯手前の緑道は、日本煉瓦製造の専用鉄道跡だった。工場と深谷駅を結んでいた。そのくらいの生産量があったということだ。緑道を北へ、R17に出る。

 

今度は国道を西へ。すぐ右手に見えてくるのがこれです。

大正11年建設の登録有形文化財で、これも渋沢栄一が関わった。見学はバーチャルでどうぞ。

https://fukasyo-ch.spec.ed.jp/

 

稲荷町信号を過ぎたら右手奥の稲荷神社へ向かう。手水鉢のきつねが生き生きしている。

 

そのまま唐沢川を渡って、富士浅間神社へ。獅子山の狛犬が一対。

 

まさか本殿脇には何も無いだろうと思ったら、神殿外狛犬が潜んでいた。なかなか見えづらいのだが、

脇から簡単に近寄れましたね。反対側にも居ります。

 

さらに裏道から管領稲荷神社に寄り道して、R17に戻って深谷市役所前。令和2年に落成した新庁舎。深谷駅並みに、レンガ風とまではいかないけれど、それらしい色合いのタイル張りです。コリドーのアーチが連続している。

どこかな、というのが気になるところ。佐藤総合計画の設計でした。床は違う色が良かったのでは?

 

後半は西の常夜灯へ向かっていきます。

深谷交差点から旧中山道へ戻って、西へ。右手の耳鼻咽喉科橋本醫院前をゆく。

横を見たらこんな造り。深谷の敷地はとにかく細長い。そういう空地がたくさん存在する。資金さえあれば、そこに洒落た邸宅を建設できそうだ。

 

七ツ梅、という読み難い看板が懸かる。

空地の奥を覗いてみたら、七ツ梅酒造跡のレンガ建築群だった。煙突もレンガだ。

空地を横切った北側には深谷シネマがある。

 

街道に戻って、ファミマの先に糸屋製菓店。家内の足が躊躇している。

 

おしゃれな店も続いてますが、大正ロマンの建物も。

 

滝澤酒造の菊泉です。ここにも高い煙突が。

 

そしてやっと西の常夜灯に到着。天保11年建立、高さは4mで中山道最大級とか。富士講によって建てられたもので、永代灯明料として田んぼ三反が講の所有となった。東の常夜灯のほうに登山三十三度とか彫られていたのは、やはり富士講だからなのだろう。

 

菊泉の煙突を見上げながら駅へ戻っていきます。

 

地蔵通りから駅へと抜けてく途中、小林商店。ロマンとレトロの折衷。

角度を変えたらまた味がある。

 

深谷市には確かbarakumaさんが住んでたな、などと考えながら深谷駅に着いた。

埼玉県の重伝建は川越だけらしい。私の選んだ裏重伝建(隠れ重伝建)は、深谷宿・本庄宿・行田の足袋蔵が挙げられる。話がだいぶ、絹の道からそれてしまいましたけれど。

もう16時になったので、今日はここでおしまいとします。本庄まで移動して、定番のホテルに泊まります。

 

一日だけでもたっぷりいろんなものを見てきました。明日も、絹の道は続きます。