禿岳パストラル | 降っても晴れても

降っても晴れても

山に登ったり走ったり、東へ西へ・・・

昨日登った須金岳を鬼首カルデラの北の重鎮とすれば、禿(かむろ)岳は西の怪峰といえる。

そこには私の非力な写真技術では伝えきれないものがあるのです。

左回り周回の最終コーナーには、最大のクライマックスが待っていた。

 

花立峠から下ってくると、禿岳東面が全貌を見せ始めた。

新中峰コースを登って花立コースを降りてくる。最後は牧場横断。

電子地形図25000(国土地理院)を加工して作成した。(令和元年手続改正により申請適用外)

注:この地形図のスケールは編集されています。距離を参照される場合は元のスケールで確認してください。

 

【2021年9月12日】  新中峰コース登山口5:55~五合目7:20~禿岳8:15-30~花立峠9:35-45~市営牧場分岐10:45-55~駐車地点11:50   行動時間5時間55分

 

R108羽後街道の田野原の急カーブで、直進する細道に入っていく。ナビまかせの最後に林道Y字路を左へ入れば登山口に到着した。まともな駐車スペースは2台だ。先客はなし(後客も)。

須金岳寒湯コース登山口の案内板と同じデザインだった。

 

まず荒れた林道を15分ほど登る。この道は完全オフロード仕様車でないと無理だ。

禿岳東面が朝日を浴びて、稜線はまだ雲の中。

いよいよ登山道に入ります。のっけからド急登をこなしたら、いったん緩やかになった。

 

すぐまた急になって、稜線までの標高差600mを一気に一直線に登っていく。ブナ林だし、道も良いので気分が盛り上がる。

昨日は快調だったけれど、今日もまず快調といっていいだろう。歳と共に快調の定義がゆるくなっていくようです。

 

四合五勺くらいでまず展望が開けた。稜線のガスが気にかかる。今日はずっと晴れのはずなのに。

そしてすぐに五合目(1020m)です。今日は昨日以上に汗を絞られそうだ。

 

いくら汗をかいたって灼熱地獄ではないし、虫もいないヤブもない。体も普通に動いているってことは幸せというべきか。この上で待望の稜線に飛び出して、左へ直角に曲がる。そこで休憩。

 

ゆるく下ってから八合目に向かうと、ガスも吹き流されていく。風があるから気持ちいい。

道もいいです。二口峠からの小東岳とはえらい違いだ。

 

あとはもうきつい登りもないし、九合目は北の肩あたりだったか。山頂の方から話し声がするから、そこでマスクを出していった。南側の花立コースからの登山者だろう。

 

禿岳山頂です! ここまででコースタイムより1時間縮まった。太い自然石の超立派な山頂標識です。

山によって格差が激しいのはなんなんだろう。

先客は二人。当方の周回コースを説明したら納得して、今度登ってみようかなと言っていた。

まことに残念なことに、まだ雲がまとわりついていた。鳥海山が遠くかすかに写っているのだが。

 

下山は花立コースへと周回していく。こちらのコースは花立峠の駐車場から最短で登ってこれるので、登山者にも出会うことだろう。

まず南峰で、石祠に祀られた不動明王に会っていく。

ちょっと面白い雰囲気を持った不動明王だ。禿岳と関わりがあったのか。

 

東側には急峻な尾根が落ち込んでいる。左手には禿岳ダイレクト尾根もあるが、上からは確認できなかった。

鬼首カルデラと荒雄岳が見えて、下るにつれてすれ違う登山者も多くなってくる。面白いほど次々と登ってくる。こんな普通の残暑の日なのに。(自分はどうなんだ)

 

急斜面はほんの少し。おおむね快適で、走り出したくなるような下山路だった。このまま終わってしまうのではつまらない気もする。それは杞憂となったが。

 

サルノコシカケの一種? それにしては色が鮮やかで若々しい。透き通るようだ。

 

花立峠に着いた。唖然とするほどの車の数。結局登山者は45人ほど登っていったし、まだ車で上がってくる。栗駒山は5倍くらいいるだろうか。我々はまだここから2時間のロード歩きがある。

ちなみに現在は峠から山形側は通行止め。

 

曲がりくねった舗装路を下っていくと、今頃は山頂も展望抜群で30人くらい密集してるのかな。

次第に急峻な東面が見えてくるので、わくわくする。

あちらに真っ平らに見えるのが須金岳。昨日は須金岳で今日は禿岳、というのはまことに理にかなった選択と順序だったと思う。とても対象的な山々だ。

 

県道の最後のヘアピンに向かっていく。今日初めて見る禿岳のこっちの顔だ。まだまだ近づいてくるようだ。

 

1時間歩いた県道と別れて、市営牧場の中の道を進む。牧歌的情景の中の禿岳も悪くない。

 

もうフィナーレの道なのに、禿岳に向かっていくのだ。車で花立峠まで上がってしまったら、こんな風景は見られない。沢筋には小さなスラブが幾つもちりばめられている。右手のスカイラインの一段下がダイレクト尾根だろう。なんという贅沢な眺めだ!

今日半日で、あんなにたくさん歩いたのだな。

 

車道歩きも残りわずか。だいぶ角度が変わって、ダイレクト尾根が牛の背のようにせり上がっている。山肌の傾斜に、なぜか魅力を感じてしまうのだ。

山麓の禿高原では、至る所にソーラーパネルが設置されていた。今も多くが建設中だった。晴れた日に山頂から眺めたら、鬼首カルデラは光の海になってしまいそうだ。

 

久しぶりの山登りで、精神的健康を取り戻せたような二日間でした。

おわり