◆1990年、本格的な美白化粧品時代に突入！
こんにちは、山村です！
今年も「化粧の日本史ブログ」を
よろしくお願い申し上げます
今年、最初のテーマ連載は、
平成の化粧モノがたり。
平成という時代が終わるまであと4か月。
30年の間には、いろんな出来事がありました。
経済面では、バブル崩壊やリーマンショック
などのマイナス要素が山積みで、
失われた20年などと酷評されましたが、
化粧に関してはその逆で、
幅広い年齢層の間で、
化粧に関する興味関心が、
これまでになく高まったのが、
平成という時代でした
「平成の化粧モノがたり」では、
平成の化粧の中から、
社会現象として話題になった商品や、
エポックメイキングな出来事をピックアップして
ご紹介する予定。
不定期連載ですが、いろんな商品や、
化粧に関する話題を載せる予定です
まず最初にとりあげるのは、美白
私はこのところ、
平成の化粧全般について聞かれると、
「平成の化粧は、
美白からはじまってグレイヘアで終わる」
と言っているのですが、
その美白化粧品がブームになりはじめたのが、
平成初期でした。
ちなみに「美白」という言葉が、
新聞紙上に登場したのは明治時代
明治時代から昭和20年代末までの使用例を、
明治・大正・昭和に分けて、
過去のブログで紹介しています。
明治時代の美白について興味のある方は、
下記のブログをご覧ください
さて、この「美白」という言葉ですが、
戦後も化粧品業界や皮膚科医の間では
使われていました。
しかし、辞書に載るような一般的な
用語ではなくて、
普通の女性が「美白」という言葉を
意識するようになったのは、
1990年（平成2）以降と考えていいでしょう。
もちろん、これ以前にも、
美白に相当する商品はありました。
1980年代はビタミンブームが起こり、
「ビタミンC誘導体」を配合した商品が
各社から発売されていますが、
広告では「美白」とはうたっていません。
「美白化粧品」がブレイクしたのは、
1990年1月末に資生堂の
「ホワイテスエッセンス」が発売されてから
「ホワイテスエッセンス」は、
厚生労働省が認可した「アルブチン」という
美白有効成分を配合した
医薬部外品として発売されました。
肌に関する研究が進み、
「美白有効成分」が化粧品に
配合されるようになったことが、
美白化粧品がブームになるベースになっています。
もうひとつ美白が注目された背景には、
昭和50年代末期から平成初期にかけて、
「紫外線は肌に害がある」
と、一般女性の間で認知されたことがあげられます
昭和末期の白肌回帰については、
拙著『化粧の日本史 美意識の移りかわり』
でも少しふれていますが、結果として、
日焼けブームの中心にいた若い女性たちも、
夏に小麦色に肌を焼くのを控えて、
美白に目を向けるるようになったのでした。
下の写真は少しあとのもので、
1994年（平成6）『CREA』10月号の、
資生堂ホワイテスエッセンスNの広告の一部。
商品名の最後にNがついて
処方もリニューアルされ、
発売当初から、微妙に容器のデザインも
変わっています
厚生労働省が承認した美白有効成分が、
医薬部外品の配合範囲内で使われた商品は、
「日焼けによるシミ、ソバカスを防ぐ」とともに、
「美白」という表現が使えます。
ここが大きなポイントで、
「美白有効成分」入りと認められると、
広告表現においても、
アドバンテージがあるのです
たとえば、上記のホワイテスエッセンスNの
広告のコピーは下のように、
「美白」を強調した表現になっています。
1990年には、1月に資生堂が
「ホワイテスエッセンス」を発売しましたが、
他社も数社が、同じ年に「美白化粧品」を
発売しました。
つまり、1990年は美白化粧品の戦国時代が
はじまった年といえるのです
次回は、他社の動向と、
その後の商品の進化について。
1月16日更新予定。