明治時代の化粧品広告 ① 肉体色白剤ってなんだ? | 化粧の日本史ブログ by Yamamura

化粧の日本史ブログ by Yamamura

昔の化粧から今の化粧まで、
化粧と社会、化粧と文化に関する
さまざまな話題をとりあげていきます。









サイト内の文章・写真などの複製、無断転載を禁止します

◆求めるのは白くキメ細かい美肌!


こんにちは、山村です。

 

関東ではようやく梅雨本番

といったところですが、

梅雨が終わると待っているのは

太陽が照りつける暑い夏ビックリマーク

 

「美白(びはく)」化粧品が活躍する

季節がやってきます。

 

そこで今回は、

明治時代の「美白」について爆  笑

 

デジタル大辞泉によると、

美白の定義は

「(特に女性の)肌を白くすること。

また、白さを保つこと。ホワイトニング」

とあります。

 

ちなみに「美白」をGoogleで検索すると、

1億件以上がヒットします。

 

「アンチエイジング」の

2000万件強とくらべて約5倍。

美白市場のすそ野がどれほど広いかわかります。

 

こうした「美白」ブームの陰にあるのは、

日本人の白肌志向です。

 

それもそのはず。

日本では古来より、

肌の白さが美人の条件とされてきました。

 

しかし「美白」という言葉は、

江戸時代を代表する美容書、

『都風俗化粧伝(みやこふうぞくけわいでん)』

には出てきません。

ですが、別の本では化粧品の商品名で出てきます。

 

明治時代になると、

頻度は少ないものの、

商品広告などに次々と「美白」が登場します。

 

「美白」とはいわなくても、

石鹸や化粧水、白粉など、

当時のおもだったスキンケアや

ベースメイク商品の広告には、

「色を白くする」

あるいはそれに類する言葉が、

必ずと言ってよいほど入っていましたビックリマーク

 

たとえば明治27年(1894)に

日新館薬房から発売された

肉体色白新剤(にくたいしきはくしんざい)」。

 

やけにインパクトのある商品名ですが、

広告の表現も強烈!!

下は『風俗画報』7月10日の広告。

 

 

「本剤は、男女とも

身体皮膚(からだはだ)を

白哲艶美(しろくうつくしく)ならしめ

肌理(きめ)を軟密(こまか)にする

峻烈(はげしき)なる特効(ききめ)を有(もっ)す


化粧品なのだから、

はげしい効き目があってはダメだろう、

など突っ込みどころ満載ですが、

明治時代はこの表現でも問題なし爆  笑

 

効果効能からして、

現代の美白化粧品に相当する商品ですキラキラ


イラストの女性が瓶を手にしているので、

化粧水と思われますが、

それにしてもいったいどんな成分が

入っていたものかはてなマーク

残念ながら成分は不明です。

 

美容書の『婦人と化粧』(明治41年刊)は、

皮膚の色白剤を

①石鹸と洗粉などの洗剤、

②化粧水、白粉などの塗剤

のふたつに分類しています。

 

本のなかで、

一般的皮膚色白剤として紹介されているのが

硼砂水(ほうしゃすい)


処方は、ホウ砂(ほうさ)を、

30倍から50倍に水で薄めたものです。

水溶液は弱アルカリ性で、

洗浄・消毒作用がありましたが、

現在では、ホウ砂は化粧水には

使用禁止の成分ですショボーン

 

このほかレモン水も

色白剤として紹介されていました。

今回とりあげた「肉体色白剤」も、

こうした内容物だったのかもしれません。

 

次回は「美白」と明記された

化粧品広告をとりあげますビックリマーク

 

6月25日更新予定。