サブウーファー、パイオニア→JBL、今はBLAM。 | くるまの達人

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とか、タイトルで謳いながら、実はただの日記だったりするけど、いいですか?

皆さんに試聴していただけるよう、大
急ぎで仕上げているポルシェ993です
が、最後の最後の修正に少し時間がか
かっています。



もう付くっちゃ付くんだから、このま
まの図面を製品仕様としてサインオフ
しちゃいなよ、という悪魔の声が聞こ
えてきますが、コンマ5ミリ単位のズ
レを確認しながら図面に落とし込む作
業を1つ、また1つとこなしていま
す。これが終わらないと、シリアルナ
ンバー0000=試作機を組み戻せないん
です。

そういう作業に関係のないところは、
順調に仕上がっています。



順調にとは言っても、こちらはこちら
で、配線の取り回し経路を見つけなが
ら、配線の長さを確定しながら、その
他配線の敷設について気を使いたい細
かなポイントを記録しながらの作業な
ので、サクサクというわけではありま
せんが、確実に前進しているので試聴
会の案内をどうぞ楽しみにお待ち下さ
い。

配線の取り回しについては、また今度
ゆっくりお話します。



今回は、サブウーファーの話。

ポルシェ993には、BLAMというフラン
スのメーカーのパワードサブウーファ
ーを使用します。スペアタイヤのホイ
ールに取り付ける省スペース型のサブ
ウーファーです。

yamaguchiスピーカーシステムでは、
どのモデルでもサブウーファーとの組
み合わせを前提に設計しています。ド
アに取り付けられる程度のサイズのス
ピーカーでどんなに頑張っても、表現
できる低音の厚みなんてしれてると考
えるわけです、それであれば、低音は
サブウーファーに任せて、例えば17セ
ンチのスピーカーが取り付けられる穴
を中高音域の美しい再生に専念させる
仕組みのために活かそう、というのが、
わたしの考え方です。


ホイールインタプのサブウーファーは、
あの頃系メルセデスで最初に使いまし
た。パイオニア製のTS-WX610Aという
モデルを、たくさんのW124やW126、
W201に取り付けました。樹脂製の筐体
でしたが、内部を再生特性の異なる2
つの部屋に分け、それぞれを10センチ
径の小型ウーファーユニットで鳴らす
という凝った設計のサブウーファーで、
とても表現力の豊かな低音再生力を備
えていました。28,000円という価格も、
今思うと破格でしたね。

パイオニアが海外資本の傘下に入り、
カーオーディオからほぼ撤退してしま
い、TS-WX610Aも廃番となってしまい
ました。


パイオニアに代わって、JBL製のBASS
PRO HUBという機材を使うようになり
ました。

アルミキャスト製の密閉型の筐体に、
ドーナツ形状の大径ウーファーユニッ
トをセットするという構成は、TS-
610Aの芸細なやり方と比較すると、ま
ことに大陸的で、ズンドコやかましい
だけのサブウーファーかもしれないと
疑いながらのテスト機購入だったこと
を思い出します。

ものすごいパワー感、ドライブ感、量
感は、これだけでこのサブウーファー
を選ぶ十分な理由でした。心配してい
たほど大雑把な感じもなく、たしかに
うまく調整しないとやや下品なズンズ
ンサウンドな表情を見せるところはあ
りますが、それを超えて余りあるほど
の量感で、DSPを使ったいろいろな設
定が可能になりました。

そのJBLも、日本のカーオーディオ市
場から撤退してしまい、そのわずか後
に、BASS PRO HUBという機材自体が、
世界的に生産終了になってしまいまし
た。55,000円とやや高いと感じる価格
設定でしたが、それでも手に入らなく
なった時の消失感はかなり大きかった
です。あの頃系メルセデスで
yamaguchiスピーカーシステムを楽し
むのは、もう無理かなというほどの一
大事だったんです。


さて、どうしたものかと、W124専用の
ホイールイン型のサブウーファーを開
発しなければならないのかと、そんな
ことを考えていたときに、この機材を
見つけました。


BLAMというフランスのメーカーのCRS
27Aというモデルです。価格は90,000
円。JBL BASS PRO HUBの2倍弱、パイ
オニアTS-610Aの3倍強。高いことに
なってしまいましたが、仕方ないです。
自分で作ることができないし、値段が
下がる可能性はゼロだし、楽しみたい
と思ったら頑張って働いて手に入れる
以外に方法がないです。

で、そのBLAM CRS 27A、どうやらJBL
から筐体の生産ライセンスを手に入れ
て製作しているような気がします。

アルミキャスト製の筐体、JBLのBASS
PRO HUBと細かなデザインこそ違えど、
組み立て用のねじ穴やサイズなど、肝
心なところのカタチはほとんど同じで
す。ユニットを保護するための鉄プレ
ス製のカバーとコントローラーのデザ
インは違いますけどね。

肝心のユニットも異なります。JBL製
では繊維編みの骨格を樹脂で固めた
コーン紙でしたが、BLAM製はアルミ蒸
着された素材(素材が何かは解体して
いないのでわかりません)のコーン紙
を使っています。音質は、BLAM製のほ
うが音楽的な歌い方をする低音だと感
じています。JBL BASS PRO HUBのよう
なパワフルでめっぽう速い立ち上がり
よりも、豊かな情感を含んだ分厚い重
低音が魅力的だなという感じています。


JBL BASS PRO HUB







BLAM CRS 27A









993では、このBLAM CRS 27Aを使い
ます。


そうそう、ポルシェでもW124やロード
スター同様デッドニングは皆無だとお
伝えしていましたが、フロントトラン
クのスペアタイヤの下のパネルだけに
は少しだけデッドニングすることにし
ました。






こんな感じです。不要な共振を止めれ
ばいいだけなので、全面貼り付けみた
いなことはしません。この部分だけ貼
れば、目的は果たせます。ちなみに、
アルミフィルムとブチルゴムを重ねた
構造の制震材を使いますが、四辺は
テープで養生します。切れっ端がけっ
こう鋭利なので、うっかり触れると怪
我をする可能性があるんです。スペア
タイヤを使うときにオーナーが手を差
し込む可能性がありますし、メカニッ
クが整備のために手を突っ込む可能性
があります。大丈夫、怪我をしないよ
うに養生しておきますから。

ときにBLAM CRS 27A、ネットショップ
とかで買うと80,000円くらいです。わ
たしから買うと定価の90,000円になり
ます。ウチ、量販店じゃないので仕方
ないです。ただ、持ち込みの機材を使
った取り付けや、セッティングは行い
ません。どうして? とか、訊かない
でください。わたしも生きてゆかなけ
ればならない、ということです。

その代わり、茅ヶ崎ガレージでヤマス
ピを取り付けるということは、前回紹
介した戸袋内の純正制震シートの貼り
替え
や、神経質すぎるほど気を遣った
配線の取り回しや、分電クリップでボ
ロボロになった純正配線の改修や、車
内に遺された昔の機材の不要配線の除
去や、そんなこんなが当たり前のよう
に付いてきます。

もう1つ言うと、例えば今回のサブウ
ーファーのようなメーカー製の機材、
増し締めをしておいたほうが良さそう
ところは、必ずこのくらいまで分解し
て増し締めしてます。W124のときの
JBLも、NAロードスターのときのキッ
カー製サブウーファーも、いちいち報
告はしてませんでしたが、組み付ける
前に、あるいはキットとして発送する
前に必ずやっています。組み立て面に
挟む緩衝材の馴染みで90度くらい回る
くらいほぼ間違いなく緩んでいます。
そして、こういう緩みのような不確定
さを取り除いてやることが、機材が持
っている本来の実力を発揮させるうえ
で……簡単に言うと音と寿命にガッツ
リ影響することを経験則として知って
いるからです。

これだけでも、5万や10万の価値はあ
ると思うんだけど、どうでしょう。






おまけの写真は、993にサブウーファ
ーを取り付けるためのボルトを固定す
るトランク床の金具、ボルトが直に床
にあたって傷がついたりすることのな
いように、スポンジパッドで養生しま
した、的な記録。クルマという機械を
熟知した気遣いが備わる取り付けの濃
さも、品質だと思います。


というわけで、今日もてっぺんを越え
ました。そろそろ寝ます。





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なので、スピーカーシステムの話、ク
ルマの話、はるかにたくさんの発信を
しています。簡単な動画ですが、スピ
ーカーシステムの音を車内で録音した
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