肉体改造手術の影響 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 「最近、医療分野における人工知能の貢献のおかげで需要が少ない種類の手術さえも短期間で方法論が確立して実施できるようになっていますが、その影響で類例が少ない肉体改造がたくさん行われるようになっているそうですね」

   

    「ええ。今後は多種多様な肉体改造を受けた人間達が現れるのでしょうね。おそらく数年後には一目では人類とは思えないような人間達が街の中を闊歩するようになっているでしょう。人工知能と機械による手術は失敗確率が低いですし、比較的手軽に受けられますからね」 


  「しかし、そうして肉体を改造すれば感覚だって現状とは大きく違ってくるはずでしょう?ほとんど別種の生き物のように感覚が異なっている相手と言葉が通じますかね?私はそこに不安を感じているのですけどね」 


  「人類はこの地上で数十億人も同時に暮らしているそうですよ。あなたはその事実を信じられますか?私は信じていません。実感できないのです。本当に数十億人も同時に暮らしているのなら世界はもっと多種多様な発想と主義主張で溢れ返っているはずだと思います。肉体改造手術による感覚の多様化はようやく私達に数十億という途方もない人数を実感させてくれるかもしれません」 


  「つまり、あなたは人類の感覚や言葉がもっと多様になるべきだと思っているのですか?互いに意思の疎通をできなくなっても構わないと考えているのですか?」 


  「全人類が同じような言葉を話し、同じような意見しか持たないのであれば数十億という人数の価値はあまりにも低いだろうと考えています。だから、もっと多様な発想を持つ人類が出現するべきだと思っています」