医療技術の発展の影響 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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短い物語ばかりですので、よろしくお願いします。

 「最近、医療分野における人工知能の貢献のおかげで需要が少ない種類の手術さえも短期間で方法論が確立して実施できるようになっていますが、その影響でほとんど類例がないような肉体改造がたくさん行われるようになっているそうですね」


  「数年前に人類が病原菌の影響を受けない肉体を手に入れてから不潔な身なりで出歩いている人間の割合が明らかに増えましたよね?どれだけ汚れていても健康を損ねないので人々は身体や衣服を洗う習慣を持たなくなったようですが、医療技術の発展は必ずしも好ましい変化を社会に与えていないような気がしますね。それで、今度は肉体改造手術の自由度が飛躍的に広がったようですが、また世間に何らかの悪影響が及ぶのではないかと考えて私は今から戦々恐々としていますよ」


  「確かに、数年前よりも不潔な身なりの人間の姿が目に付くようにはなりましたが、それが世間に病気を蔓延させる原因にはならなくなったのですから他者が咎められる問題ではなくなりましたね。肉体改造手術についても他者からは何も強制できません。あなたは気に入らないかもしれませんが、社会の変化は止められませんよ」 


  「きっと数年後には肉体改造手術を受けて化物のような身体になった人間達が街を闊歩しているのでしょう。まるでサファリパークのような有様になっているでしょうね。彼等は人間を辞めて言葉を話せなくなっているかもしれませんよ」


  「現在でも人工知能を搭載した翻訳機によってペットの動物との対話が可能ですよね。ですから、化物のような身体になった人類とも翻訳機を使えば意志の疎通はできると思いますよ」