額に悪 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 休日の朝、洗面所で鏡を覗くと額に悪という文字が書かれていた。タオルで額を擦ってみたが、消せなかった。薄くもならなかった。

 そういえば、夢の中で裁判長がその文字を書いたのだったと私は思い出した。「あなたを悪であると断定します」と裁判長は言っていた。刑期についても言及していたような気がしたが、その期間については思い出せなかった。

 朝食を取ろうかと思ったが、自分が悪であると自覚すると気持ちが塞ぎ込んで食欲が湧かなくなった。何をしても悪事にしかならなさそうだと思い、無気力感に襲われた。洗面所の外に出たくないという気がした。それで、私はしばらく茫然としながら鏡の前で突っ立っていた。


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