スパイとの対話 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 真夜中に目が醒めた。夢の中でスパイと対話をしていたという記憶が意識内に残っていた。外見上はどこにでもいるような子供の姿をしているのだが、どういうわけか、私はその相手をスパイだと認識していたのだった。

 ただ、相手の方では私に正体を勘付かれているとは思っていない様子だった。スパイはあくまでも子供らしい態度のまま学校での日々について話していた。スパイは算数と体育が得意科目であると言っていた。それに、自分にはたくさんの友人がいると言っていた。

 まったく他愛もない話題なのだが、それでも私は片時も気を抜けないと感じていた。できるだけ自分の個人情報を与えたくないので相手からの質問にはほとんど答えていなかった。ひたすら相手を質問攻めにしていた。スパイははにかんだような笑みを浮かべながら丁寧に答え続けていた。


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