真夜中に目が醒めた。夢の中で医師と対話をしていたという記憶が意識内に残っていた。外見上はどこにでもいるような子供の姿をしているのだが、どういうわけか、私はその相手を医師だと認識していたのだった。
医師はカルテを見ながら淡々とした口調で私の身体の検査結果について説明していた。素質がないので永遠に生き続ける可能性は絶無であると宣告してきていた。私の身体は確実に死に至るように出来ていると医師は断言した。
それから医師は今度は自らの肉体について話し始めた。自分の身体は不老と不死の才能に満ち溢れているので永遠に生き続けていられるはずであると医師は言った。それを聞いていて私はひどく羨ましくなった。医師は得意そうな笑みを浮かべながら自慢し続けた。いずれ死んでいく存在でしかない私を見下すような言葉も吐いた。私は嫉妬のせいで顔面が熱くなるように感じたところで目が醒めた。
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