睡眠という習慣 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 「今日、学校で古文の授業があったよ。昔の人間には睡眠という習慣があったようだね」と食事中に息子が言い出した。

 「ああ。そうだったらしいね」と私は返事をした。そういえば、自分も古文の授業で睡眠という習慣を初めて聞いた時には驚いたものだと思い出した。まるで動物のようだと感じたのだった。

 「先生が夢というものについて説明してくれたけれど、僕はよく理解できなかったよ。昔の人間は頭がおかしかったのかもしれないと思ったよ」と息子は言った。

 「昔の人間は暗視能力がなくて夜の間は何もできないから退屈だったのだろうね。我々だって暇を持て余せば現実離れした妄想を弄び始めたりするだろう?きっと睡眠や夢もきっと退屈しのぎの一環だったのだろうね」と私は言った。

 「途轍もなく退屈なら僕も夢を見るのかな?」と息子が訊いてきた。

 「なんだ。夢を見たいのか?」と私は訊き返した。

 「僕の頭はおかしくないよ」と息子は憮然とした表情で言った。


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