太陽眼鏡 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 休日にふらりと立ち寄った古道具屋で太陽眼鏡という品物を見つけた。暇潰しとして使えると店主から勧められたので購入してみた。

 店を出てから河川敷の公園に行き、ベンチに腰を下ろして眼鏡を装着した。よく晴れていて風がないので冬にしては暖かくて快適な日和だった。そして、私は陽光が眩しくなくなったようだと感じた。

 太陽の方に目を向けてみると虹のような色彩の複雑な模様が太陽から噴き出てくるように見えた。その模様は絶えず変化を続けながら広がっていっていた。すぐに大空を覆い尽くしたが、それからも動き続けていた。眼鏡のせいで陽光がそのように見えているようだった。

 たちまち私はその彩り豊かな空が気に入った。かねてより青いだけの空を見る度に退屈な光景だと感じていたのだった。そもそも陽光はたくさんの色彩を表現する可能性を秘めているはずなのだった。私はすべての色彩がここに含まれているのだから他の事物を見る必要はなくなったようだと考えながら空の模様を眺め続けた。


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