伝承怪異事典 鳥人 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

アメーバブログにて超短編小説を発表しています。
「目次(超短編)」から全作品を読んでいただけます。
短い物語ばかりですので、よろしくお願いします。

 ※体長 成人男性と同じくらい。
 ※体重 不明。
 ※生息地 人里近辺。
 ※身体的特徴 身体は人間だが、頭部が鳥である。

 ※備考 頭部が鳥であるという特徴があるのにも関わらず、人間の集団の中に自然と溶け込んで自らの異質さを滅多に周りの人々に気取られない。時として家族の中にさえ紛れ込んでいる場合がある。普段は余計な波風を立てないように平穏に暮らしているが、自分の正体を見抜いた人間に対しては攻撃性を発揮する場合がある。高い知能を有していると推測されている。

 ※伝承1 昔、少年が一人で暮らしていた家で頭が鳥になっている成人男性の遺体が発見された。怪物の死骸だと村中が大騒ぎになったが、その家に住んでいる少年は生前の鳥人が村で普通に暮らしていたと証言した。少年の主張によると鳥人は畑仕事を手伝い、他の人々と共に船に乗って漁にも出掛けていたらしいのだが、村人達の記憶にはまったく残っていなかったので彼等は少年が出鱈目を言っていると判断した。ただし、その少年は大人になってからも自分は鳥人に育てられたと何度も語っていたようである。

 ※伝承2 昔、村の祭りで鳥人を発見した村人がいた。その鳥人は太鼓の拍子に合わせて皆と一緒に踊っていたのだが、他の人々はその存在にまったく気が付いていなかった。村人は家に引き返して猟銃を持ってきたらしいのだが、それを撃つ寸前で他の人々に取り押さえられた。村人は牢屋に入れられたのだが、刑期を終えて村に帰ってくると鳥人は姿を見せなくなっていたらしい。


「伝承怪異事典」関連

蘇生蛇
悲鳴猿
人語猫

目次(超短編小説)