伝承怪異事典 蘇生蛇 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 ※体長 長い。
 ※体重 不明。
 ※生息地 土の中。
 ※身体的特徴 外見は蛇に似ている。口が大きい。
 
 ※備考 蘇生蛇に呑まれた死骸は蘇って吐き出される。ただし、傷や欠損は修復しない。蘇った屍は生命を維持し続ける能力がないので死滅する運命にある。すると、蘇生蛇はその死骸をまた呑む。その行為は延々と繰り返される。蘇生蛇は一つの死骸があれば生きていける。だから、通常はずっと土の中で棲息していて地上には滅多に出てこない。

 ※伝承1 昔、村人達が森の中を歩いていると足元から呻き声が聞こえてきた。不気味に思いながらも地面を掘ってみると生きた老人が出てきた。村に連れて帰ると掘り出された老人は自分が巨大な蘇生蛇の食料として延々と土の中で生き続けていたと語った。さらに話を聞いてみると老人は百年前に死んでいたはずの人間であるらしいと判明したが、数日後に肉体が腐って死亡した。

 ※伝承2 昔、村の一角に作物が実らない土地があった。そこには草木さえも生えなかった。ある村人がそこに家を建てて住み始めたのだが、その村人も一年以内に死んだ。人々は気味悪がってその土地に近付かなくなった。家は荒れ果てたが、そのまま放置された。ある日、一人の村人がたまたま家の中を覗き込むと人間の胴に巻き付いている大きな蛇のような生き物を発見した。その人間は下半身が欠落していたが、確かに生きているように見えたらしい。村人は気味が悪くなって逃げ出し、他の村人達と共に再び訪れると既に蛇も人間も姿がなかった。


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