+1と×1 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 +1「なあ。俺は+1やから数字としては要するに1なんやけど、お前って要するに何なん?×1って数字なんか?1か?それともゼロか?なんか、はっきりせんよな」

 ×1「はっきりしてるやろ。+1が1とはいえ結局は-1でもなく、÷1でもなく、+1でしかないんやから、×1は×1でしかないやろ。つまり、お前は何かに1を足そうと目論んでいるわけやけど、俺は何かが1ありますよって主張してるわけや。簡単な話やないか」

 +1「そんな説明では納得できんよ。例えば俺は2と接触すれば3にさせる能力があるわけやけど、お前は2と接触したところで変化を与えられんやろ?それって無力過ぎるやろ。しかも、自立できてないみたいやし。情けなくないの?」

 ×1「ああ。そうかもな。まったくの無力やから数式に登場させる阿呆も滅多におらんしな。でもな、よく考えてみ。俺は表には出んだけで、実はどこにでも内在してるんやで。2の中にも、0.3の中にも、もちろん、お前の中にも、な。しかも、幾らでも重複できるんやからな。どうや、凄くないか?お前にはできんやろ?特に小数点が絡むとお手上げちゃうか?これはな、俺と÷1だけが持ってる特技や。だからな、少しも惨めやないねん。俺を馬鹿にするのは結局のところ自分をも辱める行為になるわけやからな」

 +1「なんか、ちょっとずつ、わかってきた気もするけど、それで、お前って結局は何なん?」

 ×1「胸に手を当てて自問自答しとけって話や」


「数字」関連

ゼロの存在
ゼロの表記
ゼロの孤独
数字と共に
十進法の世界で
+1と×1
数値頭
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ゼロを巡る歴史
1+1=?

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