行政書士試験・平成25年度・問題4・解説⑦ | 山田優の★行政書士試験憲法の分析★

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行政書士試験の憲法の過去問について分析するブログです。
分析の手がかりは芦部信喜著『憲法』(岩波書店)のみです。
「芦部憲法」があれば行政書士試験の憲法の問題は解ける!
ということを示したいと思っています。

こんにちは、行政書士の山田優です。

 下記の説明が少し難しいと感じる人はコチラの
「山田優の☆ちゃんテキ合格☆行政書士試験」
の補足説明を読んでみてください。



 私法上の法律関係における憲法の効力に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、正しいものはどれか。

4 自衛隊基地建設に関連して、国が私人と対等な立場で締結する私法上の契約は、実質的に公権力の発動と同視できるような特段の事情がない限り、憲法9条の直接適用を受けない。

 これは「百里基地訴訟」に関する記述である。「百里基地訴訟」については、芦部憲法は、かなり詳細にコメントしている(芦部6-3-2注*)。このコメントを正確に把握していれば、選択肢の記述がコメントの要約であることがわかるであろう。

 判例は、まず、①憲法9条の直接適用を受けないこと、②私法の適用を受けるにすぎないことを指摘している。しかし、私法の適用を受けるにすぎないとはいうが、全く無関係かというと、そうではなく、憲法9条は私法上の規範によって相対化され、民法90条にいう「公ノ秩序」の内容の一部を形成すると述べる。

 既に何度も確認してきたように、私人間効力に関する間接適用説は、法律の概括的条項、とくに、民法90条のような私法の一般条項を、憲法の趣旨をとり込んで解釈・適用することによって、間接的に私人間の行為を規律しようとする見解である(芦部6-3-2)。

 したがって、上記の「憲法9条は私法上の規範によって相対化され、民法90条にいう『公ノ秩序』の内容の一部を形成する」という構成は、だいたいにおいて、間接適用説の立場といってよいであろう。ただ、芦部憲法は「間接適用説のような立場に立って」と述べている。

 判例によれば、国が私人と対等な立場で締結する私法上の契約は、その成立の経緯及び内容において実質的にみて公権力の発動たる行為となんら変わりがないといえるような特段の事情のない限り、憲法9条の直接適用を受けないことになる。つまり、
憲法9条の直接適用を受けるのは例外的な場合だけであることになる。

 たしかに、間接適用説の立場をとれば、人権規定の効力は、私人相互間の場合には、それが国家権力との関係で問題となる場合と異なり、当該関係のもつ性質の違いに応じて相対化される(芦部6-3-2)。
しかし、「国が私法上の行為の当事者である場合は、通常の私人間効力の問題とは異なると考えるべきである」とする指摘(芦部6-3-2*注4)に十分に留意すべきであろう。



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