(前記事からのつづき)


大聖(だいじょう・諸仏)の神力(じんりき)は思いはかれず、土石を金銀に変じます。

垂迹(すいじゃく)の神々の誓願は堅固で貧乏を転じて富貴にさせます。

一つの句、一つの偈(げ)の教えの施しは十方の真理の世界に遍じて、虚空と同じく際限がありません。

一粒、一滴の供えものは、山川や谿谷(けいこく)に充満して、普ねきことは雲海のようです。

どうぞ有縁(うえん)の菩薩大士・無縁の霊神、哀れみて加護を垂れたまえ。

願わくは私たちは未来に諸の仏や菩薩のように神の身を現して仏法を守護いたします。

願わくは私たちは未来に大小の神々のように神の威力を施して、生きとし生けるものを利益いたします。

この強い帰依の心底に、惑障(わくしょう)の煩悩の塵を砕き、恭しく仏の御足を戴き礼拝(らいはい)することによって無明黒暗(むみょうこくあん)の罪業を消します。

権現の神力によって、この世の寿命の終わりを知り、この社の神の護りによって来世の生まれるところを識(し)りますように。

安らかで満足の出来る諸仏の浄土に、願うとおり往き詣りますように、霊鷲山(りょうじゅせん)や補陀落(ほだらく)の浄土に志の通りに生まれますように。

殊には、金輪聖王(きんりんじょうおう・仏法に帰依し、仏法を守護する王)の寿命が延長し、文武の百僚は栄えが続きますよう。

魔王と魔の民は邪道を止め、正道に帰し、悪神や悪鬼は妄想の見解を改め正しい見解を生じますように。

四つの誕生の形をするあらゆる生類が、すべて仏に成れるという教えの門に入り、六つの迷いの世界の生類が共に無上正等覚(むじょうしょうとうがく)、この上ない覚りという結果を証し得ますように。

広大の慈悲によって廻向の伽陀を唱えます。

「願わくはこの功徳をもって普く一切に及ぼし、

私たちと生きとし生けるものたちが皆、

共に覚りを完成しますように。

諸社の神々に帰依いたします。

(おし)えの楽しみが増大し、

すべての生きとし生けるものが

等しく利益を得られますよう。」


(おわり)