(前記事からのつづき)


第三に廻向発願(えこうほつがん)というのは、香、華、灯明、力に応じた供具、紙銭(しせん)、幣帛(へいはく)を献じ、祈りまつり、疑いなき信心をもって廻向することは広大です。

まず功徳(くどく)を諸(もろもろ)の社(やしろ)の御本地、法身(ほっしん)・報身(ほうじん)・応身(おうじん)という三身(さんじん)、如来が御一代に説かれた、権(かり)と真実の八万にも及ぶ聖なる教え、声聞(しょうもん)と縁覚(えんがく)と菩薩(ぼさつ)たち、住持等の各種三宝の誓願の海に献じます。

次に天神七代(あまつかみしちだい)、地神五代(くにつかみごだい)、ことわけて申しあげるに、王城の鎭守(ちんじゅ)、天照(あまてらす)、豐受兩太神宮(とよけりょうだいじんぐう)、八幡三所(はちまんさんじょ)、下加茂社(しもかもしゃ)、上加茂社(かみかもしゃ)、松尾社(まつのをしゃ)、平野社(ひらのしゃ)、稻荷社(いなりしゃ)、春日社(かすがしゃ)、大原野社(おうはらのしゃ)、大神社(おうみわしゃ)、 石上社(いそがみしゃ)、大和の廣瀬社(ひろせしゃ)、龍田社(たったしゃ)、住吉社(すみよししゃ)、梅宮社(うめのみやしゃ)、 吉田社(よしだしゃ)、廣田社(ひろたしゃ)、祇園社(ぎおんしゃ)、北野社(きたのしゃ)、丹生社(にぶしゃ)、貴布禰社(きふねしゃ)

(こと)には関東の鎭守(ちんじゅ)二所權現(にしょごんげん)、三嶋大明神(みしまだいみょうじん)、総じては、金峰(きんぷ)、熊野(ゆや)、白山(はくさん)、新羅(しらぎ)等、天が下の、勢いのあるまた勢いのない大小の神祇、また殊には當社(とうしゃ)の権現(ごんげん)に献じます。

次に梵天(ぼんてん)、帝釋(たいしゃく)、世界を護る四天王、四空四禪定(しくうしぜんじょう)、六種の欲界の諸天、 辨財天(べんざいてん)、吉祥天(きっしょうてん)、訶利帝母(かりていも・鬼子母神)、歡喜天(かんぎてん)、 陀枳尼天(だきにてん)、宇賀神將(うがじんしょう)、十五童子(じゅうごどうじ)、大黒天神(だいこくてんじん)、荒神(こうじん)、麁亂神(そらんじん)に献じます。

また北斗七星(ほくとしっしょう)、諸(もろもろ)の宿曜(しゅくよう)等、當年行疫神(とうねんぎょうえきじん)、流行神(るぎょうじん)等、堅牢地神(けんろうぢじん)、 閻魔法王(えんまほうおう)、五道冥官(ごどうみょうかん)、泰山府君(たいせんぶくん)、司命司禄(しみょうしろく)、倶生神(くしょうじん)、薬師如来の眷属(けんぞく)十二神將(じゅうにじんしょう)、法華守護(ほっけしゅご)の十羅刹女(じゅうらせつにょ)、大般若(だいはんにゃ)守護の十六善神(じゅうろくぜんじん)、観音の眷属二十八部衆(にじゅうはちぶしゅう)、すべての善神、悪神、龍神等に献じます。

(ことごと)く印度・支那・日本の三国に法を伝えられた諸大師等、天地開闢(てんちかいびゃく)以来の貴賤霊等(きせんりょうとう・すべての霊)、過去七代にわたる父母、六親眷属(りくしんけんぞく)、師長や同輩、胎生(たいしょう)・卵生(らんしょう)・湿生(しっしょう)・化生(けしょう)という四つの誕生のしかたをする六道の諸の霊たちに廻向します。


(つづく)