浅草の「仲見世商店街」浅草寺が「家賃16倍」要求で消滅の危機 | 山岸久朗オフィシャルブログ「正義は我にあり!!」Powered by Ameba

借家関係は、借地関係と同様に長期に渡って継続することが予定されるものであることから、借家契約の当初に当事者が合意した賃料が、その後の経済情勢の変化などにより不相当になることがあり得るため、借地借家法は、借地関係と同様に、借家関係についても、当事者に賃料の増減額請求権を認めています(借地借家法32条)。

 

借地借家法32条1項は、「建物の借賃が、①土地もしくは建物に対する租税その他の負担の増減により、②土地もしくは建物の価格の上昇もしくは低下その他の経済事情の変動により、または③近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減の請求をすることができる」と規定しています。

 

したがって本件でもこれら3つのうちどれかに該当する事情がなければ、裁判所は賃料の16倍もの増額は認めないでしょう。家主が一方的に増額を告げても、それが易々と認められるわけではないのです。その場合、後に裁判等で額が確定するまで、借り主は、従前どおりの賃料を払い続けていればそれでよいのです。

 

<以下、デイリー新潮から抜粋>

 

雷門から浅草寺までを結ぶ仲見世通りは、日本最古の商店街の一つ。外国人観光客からも人気の観光地だが、今、存亡の機にあるという。

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「9月ごろ、仲見世通りの各店に2枚の紙が配られて、そこには、来年1月からの家賃が、いきなり16倍になると書かれていました。私の店は戦後ずっとここで商いをしてきましたが、今の16倍の家賃なんて、とても払えない。ほとんどの店が払えないと思います」

 と嘆くのは、通りに店を構える店主の一人である。

「仲見世通りの土地は浅草寺の所有ですが、上物は東京都のものだった。だから我々は家賃を東京都に払ってきましたが、7月に浅草寺が上物を都から買い取った。で、安かった家賃を周辺並みにするというのです」

 

仲見世通りにある89店の家賃の平均は月2万3000円と、たしかに破格ではある。とはいえいきなり16倍の約37万円となれば、さすがに経営できないだろう。

浅草寺の守山雄順執事長によると、きっかけは2011年に東京都から“仲見世通りは収益事業を行っているのだから固定資産税を払え”と言われたことだったという。

「同時に家賃も見直そうと相場を調べ、弁護士が9月半ば、数字を組合にお伝えしたのですが……」

 騒動が丸く収まらなければ、仲見世通りにはスタバのような大資本が並ぶ事態に。10月25日発売の「週刊新潮」では浅草寺の“守銭奴”ぶりと共に、本件を詳しく報じる。

 

「週刊新潮」2017年11月2日号 掲載