ASKA被告逮捕を受けて、覚せい剤事犯の特殊性について。 | 山岸久朗オフィシャルブログ「正義は我にあり!!」Powered by Ameba

ASKA被疑者が全面否認しているということは、このまま公判を迎えれば、多数の証人を呼ぶなどして公判は相当長期化するでしょう。

 

覚せい剤使用の事件には特質があります。

行為の相手方や被害者がおらず、目撃者も存在しないことが多く、立証の決め手になるのは、被疑者の尿中から覚せい剤が検出されたことを示す鑑定結果ですが、そのような鑑定結果があっても、使用の具体的な日時、場所及び方法については、被疑者や被告人の自白に頼らざるを得ません。

 

そこで、以下の問題点が発生します。

 

被疑者が捜査段階で黙秘しまたは否認した場合、訴因の日時、場所及び方法について一定程度の幅のある抽象的、包括的な表示をせざるを得ませんが、このような表示をした訴因は、訴因を特定して明示するという刑訴法256条3項の要請に反しないかという問題です。

 

この点については、覚せい剤の尿への排出期間(最長でも2週間と言われている)を根拠に、尿の採取や身柄拘束から遡って2週間程度の幅のある表示をし、場所や方法についても、「○○市内及びその周辺」、「若干量を自己の身体に注射または服用し」などと抽象的・包括的な表示をするのが通常です。最高裁も、検察官において起訴当時の証拠に基づきできる限り特定したものである以上、覚せい剤使用罪の訴因の特定に欠けるところはない、として適法としています。

 

<以下「毎日新聞」>

 

覚醒剤を使用した疑いが強まったとして警視庁組織犯罪対策5課は28日、覚せい剤取締法違反(使用)容疑で歌手のASKA(本名・宮崎重明)容疑者(58)=東京都目黒区東が丘1=を逮捕した。尿鑑定で覚醒剤の陽性反応が出た。ASKA容疑者は2014年に同法違反などの罪で有罪判決が確定し、執行猶予中だった。
 

逮捕容疑は今月中旬~同25日ごろ、東京都内やその周辺で、覚醒剤を使用したとしている。調べに対し「私が提出した尿から覚醒剤が検出されたとのことで逮捕されましたが、事実に反します」と容疑を否認しているという。

同課は今後、自宅など関係先を家宅捜索するなどして裏付けを進めるとともに、覚醒剤の入手ルートについても調べる。

同課によると、ASKA容疑者は25日午後7時ごろ、「盗撮されているので確認してほしい」と自ら110番した。警視庁の捜査員が自宅に駆けつけたところ、言動に不自然な点があったため、尿の任意提出を要請。ASKA容疑者は素直に応じたという。当時は妻と2人で自宅にいた。

同課が尿を鑑定した結果、28日になって覚醒剤の陽性反応が出たため、自宅から任意同行を求めて逮捕した。

ASKA容疑者は友人だったCHAGEさんと音楽デュオ「チャゲ&飛鳥」(後に「CHAGE and ASKA」と改名)を結成し、1979年にデビュー。テレビドラマの主題歌となった「SAY YES」(91年)などがヒットしたが、09年に活動を休止。その後はソロで活動していた。

13年、「薬物使用疑惑」が週刊誌に報じられ、活動自粛を発表。14年5月、都内や周辺で覚醒剤や合成麻薬MDMAを使用したなどとして、覚せい剤取締法違反などの容疑で警視庁に逮捕された。「覚醒剤を暴力団組員などから入手し、使っていた」と容疑を認め、同年9月に東京地裁で懲役3年、執行猶予4年の有罪判決を受けた。