ASKA容疑者、車内映像提供のタクシー会社が謝罪 | 山岸久朗オフィシャルブログ「正義は我にあり!!」Powered by Ameba

京都府学連事件では、デモ行進に際して、警察官が犯罪捜査のために行った写真撮影の適法性が争われましたが、最高裁は、「個人の私生活上の自由の1つとして、何人も、その承諾なしに、みだりにその容貌・姿態を撮影されない自由を有する。これを肖像権と称するかどうかは別として、少なくとも、警察官が、正当な理由もないのに、個人の容貌等を撮影することは、憲法13条の趣旨に反し、許されない」と判示して、肖像権(プライバシー権利の一種)の具体的権利性を認めています。

 

また、速度違反車両の自動撮影を行う自動速度監視装置による運転者の容貌の写真撮影は、「現に犯罪が行われている場合になされ、緊急に証拠保全する必要性があり、その方法も一般的に許容される限度のものであるから、肖像権・プライバシー権等を侵害しない」という最高裁判例もあります。

 

さらに、「宴のあと」事件においては、プライバシー侵害の要件として、公開された内容が、①私生活上の事実または事実らしく受け取られるおそれのあることがらであること、②一般人の感受性を基準にして当該私人の立場に立った場合公開を欲しないであろうと認められることがらであること、③一般の人々にいまだ知られていないことがらであることを必要とする、という3要件を提示し、結論として、プライバシー権の侵害があった、と判示しています(東京地裁)。

 

<以下、日刊スポーツ>

 

覚醒剤を使用した疑いで歌手ASKA(本名・宮崎重明)容疑者(58)が逮捕された事件で、警視庁組織犯罪対策5課が、同容疑者が逮捕直前に滞在していた都内のホテルを家宅捜索し、パソコンやUSBメモリーなどを押収していたことが11月30日、同課への取材で分かった。また、同容疑者が逮捕直前に乗車したタクシーの社内映像がテレビで放送されたことで、タクシーグループのチェッカーキャブはこの日、「ご迷惑をおかけした」と謝罪した。
 

問題の映像は、タクシー車内に設置されたドライブレコーダーで28日の逮捕直前に記録されたもの。ASKA容疑者が東京・恵比寿でタクシーに乗り込み、運転手に自宅までの道順の説明と、降車の際のやりとりが映っている。

この映像の放送が、インターネットを中心に物議をかもし、30日放送のフジテレビ系「バイキング」では坂上忍が「あのタクシーに乗ってる映像を、使うこと自体どうなの? ああいうの流しちゃっていいのかな」と疑問を呈した。

これらを受け、都内の無線タクシーグループ「チェッカーキャブ」が公式サイトで謝罪声明を発表した。ドライブレコーダーについて防犯や事故究明に活用する目的があると説明。その上で、外部への映像提供は、刑事訴訟法の規定に基づく捜査機関からの文書による照会などといった場合だけという。しかし、今回、グループ加盟社が提供してしまったという。

レイ法律事務所の河西邦剛弁護士は、今回の問題について、「通常、タクシーの中で、録画されて公開されると想定されていませんし、事件に関係のない映像なので、報道に提供する必要性もありません」と解説。その上で、「ASKA容疑者にプライバシー権の侵害で訴えられ、損害賠償責任を負う可能性は十分にある」と話した。

一方、テレビ局関係者は「被疑者ということで、放送には問題がないという判断なのでしょう」。河西弁護士も「テレビ局には報道の自由がありますので、プライバシー侵害とは一概に言えない」としている。

また、タクシー会社を監督する国土交通省は、今回の件について「詳細は把握していない」とした上で、「道路運送法に違反しているとはいえない。ただ、情報管理という部分で指導する可能性はある」とコメントした。