仮差し押さえにおける担保権利者の権利行使 | 山岸久朗オフィシャルブログ「正義は我にあり!!」Powered by Ameba

裁判所は、仮差し押さえなどの保全命令を発令する際、もし違法・不当な保全処分が執行されたときに債務者が被る損害を担保するために、債権者に担保提供を命ずるのが原則です。


供託等がなされた担保に対し、違法・不当な保全命令の執行等がなされ、債務者に損害が生じたとき、債務者は、他の債権者に優先して弁済を受ける権利を有しています(民事保全法4条2項、民事訴訟法77条)。民訴法77条は「他の債権者に先立ち弁済を受ける権利を有する」と規定しており、その意味は、担保権利者が供託物の還付を受けて、そこから優先的に弁済を受ける権利であるとされています。


供託者が同意していないときは、債務者は、債権者に対し損害賠償請求訴訟や調停などを起こし、勝訴の確定判決またはこれと同一の効力を有する和解調書、調停調書あるいは確定した仮執行宣言付き支払督促等の損害賠償請求権の存在を証明する書面を得て、これを供託物払い渡し請求書とともに添付して供託物還付請求手続をすることになります。


(以上、青林書院「仮差し押さえ・仮処分の法律相談」より一部抜粋)