現在の地図と見比べると平地がまるでない場所だということがよくわかると思います。
しかしこの時は既に絹商人(鑓水商人)として名を馳せており商いで得た金を使い、子供達には学歴をつける為に英国人を個別に雇い英語授業や数学や化学と言った東京の金持ちと変わらぬ英才教育をしていたという事は結構な有名な話・・・
しかしそんな栄華な時代が長続きする訳もなく、最終的に鑓水地区の産業はまた農業に逆戻りし、太平洋戦争後は金持ちとなった鑓水商人宅も荒廃が進み、現在では東京都八王子市鑓水989-2にある『八王子絹の道資料館』が残るだけで
他の大きな建屋は家屋の周りに畑がある農家が殆どである。
まぁ、そんな栄華から衰退となった鑓水地区の大規模な土地を1970年初頭に購入したのが、立教大学・英米文学科の教授であった『細入藤太郎』で、そこそこ広大な土地(約2,600坪)に別荘、私設礼拝堂、テニスコートなど作り、今回の殺人事件(立教大学助教授教え子殺害事件・1973年(昭和48年))の被害者である関京子さん(殺害当時・24歳)が、
同科助教授の大場啓仁(おおばひろよし)により殺害された場所となっているのが、この事件の骨子となります。
殺害理由は言うまでもなくすでに既婚していた大場と殺害された関京子さんとの不倫関係の結果で、その不倫の事実を奥さんにまで知られていた事や、その事について奥さんが殺害された関恭子さんと諍いに及んだと言われております。
こちらは殺害当時の大場啓仁の家族の写真。
(左から大場啓仁、膝上の次女の晶さん、真ん中の長女の充さん、右に座る奥さんの大場順子さん)
結局のところ関京子さんを殺害した事も奥さんが知ることとなり、そのことを知った奥さんは以降死ぬ事しか考えないようになり、関京子殺害後の同年9月4日に奥さんの大場順子の強い願いにより、大場家一家4人が伊豆半島石廊崎で入水自殺してしまい
被害者である関京子さんの遺体が発見される前に一家心中となったのであります。
一家心中する前まで大場啓仁による殺害欺瞞工作は続けられていたのも事実で、このように新聞の通知欄にすでに亡くなっている関京子さんへの呼び掛け等などを行ったいたのですが、
既に色々と他方面へのすでに死亡している大場啓仁の関係が暴露され始めていて、
最終的には1974年2月28日に前述した立教大学・英米文学科『細入藤太郎』教授宅敷地内で、一部白骨化した関京子さんの遺体が発見されるのであります。
当時の新聞に掲載された死体遺棄現場の図がこれで、今の新聞と違いかなり詳細に死体遺棄地点が分かるのは時代のおかげであります。
因みに上記の地図は1974年(昭和49年)の地形なので現在とはmatchingせずわからないと思うので、Google mapsの航空写真を用いて死体遺棄現場を表現するとこんな感じとなります。
因みに上部航空写真の緑色の旗の部分が当時はこんな感じの教会で
ADV君と昨年寄った時の教会がこんな感じ・・・
基本的にはまるで変わっていないのですが、犯行当時の教会名が不明なのでその点が問題ですが、地理的には問題ないと思います。
そしてこちらが死体遺棄現場となります。
現在は何も建ってない丘陵部となっていますが、実はこの部分ので前までは
このように宅地化されているのですが、さすがに死体遺棄現場は誰も手をつけずにそのままの状態・・・
何故これ以上家を造らなかったのかは当然ながら死体遺棄現場となるからだと思うわけですし
当該箇所をストリートビューで確認すると、上記のような木から首吊りの縄とそれを見つめる人間がいるという面妖なシーンが挙げられるくらい、この場所が手付かずだという事になる訳で、1963年に同じ鑓水地区で発生した『道了堂』での堂守『浅井シズ(ヲ)』殺傷事件を踏まえ、こんな小さな集落で昭和ミドルに発生した殺人事件は偶然とは言えかなり面妖感が否めないのは事実・・・
また、今回の殺害現場となった立教大学の教授である『細入藤太郎』の苗字である『細入』姓すら私の使う地図から苗字が分かるアプリでも
この部分の『細入』記載は一切なく、このマップのデータである電話帳に『細入姓』がかなり昔から載せてていないことが分かります(付近の家に細入姓の家がありますが、関係の有無は不明でございます)。
モノの怪より怖いのはまさに人間であり、その事がよくわかる面妖な土地なのが今回訪れた『鑓水地区』・・・
てな感じで、こんな小さな地区で10年間に殺人事件が二件も起こっているというお話でございましたm(_ _)m