2024/07/29 映画「お隣さんはヒトラー?」シネスイッチ | つっちーの日々

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映画「お隣さんはヒトラー?」

シネスイッチ 


もしも見たい人は、ネタバレ多いので

覚悟して読んでください。


  真正面からホロコーストやヒトラーやナチスを描いた映画ではなくて、

むしろ それらは全く出てこなくて、

淡々とした老人二人の物語とも言える。 


 それなのに、サスペンスドラマでもあり、心理ドラマでもあり、とても味わい深い良い映画だった。 


 茶化しているのだが笑えず、
ブラックユーモアなのにそんなに深刻でもなく、

隠れた名画と言いたい。 


 始まりは 豊かに幸せに暮らすユダヤ人の大家族…

そこで妻に黒い薔薇を贈るのだが、
その黒い薔薇が一貫して 最後まで登場する

第二の主人公とも言える。 


 しかしユダヤ人であるがために全員収容所で殺された。
(私の推測)


 それを思わせるのは、数回カメラが捉えた囚人番号の腕の入れ墨。 

こんなふうに映像で象徴することが多い映画だ。 


 今は老いて一人であばら家に住んでいるが、隣の家を借りたいが持ち主を知らないかと尋ねられる。 知らないと答える。


 そこに越してきたのがもう一人の孤独に暮らす老人…


こちらは品格があり 中々のイケメン。

常にサングラスを掛け
ふさふさのヒゲを蓄えている。 


 彼を若い時に1度チェスの大会で見たことがある。

どんどん隣人を
「ヒトラー」だと妄信するようになる。 


トラーの本を買い込み、習慣や特徴を研究する。すると
ますますヒトラーだと言う思い込みに陥っていく。


 観客は、ヒトラーは自殺しているから

生きているはずがないとわかっていながら
「もしかしたら…」という思考に落ちていく。


違うなら彼は誰だ?


ヒトラーは絵を描く。 画風もタッチもヒトラーそっくり。 


 隣人の愛犬が重要な役割をなしている。証拠を手に入れるために忍び込んだところを吠えられて追い詰められ 、防御のためにスコップで殴り殺してしまう。 


 それはかろうじてバレないが 、

あまりの悲しみ、嘆き様に
良心も痛む。 


 2人共チェスが大好きでかなりの腕前。

私はこのまま、仲良しになって、

老後 仲良く暮らしましたとさ…

とくるのかなあと思ったが、

さすがにそんな単純 低俗な終わり方はしなかった。 


 ヒトラーではなかったが
十分追われる身であり、
彼もまたナチスの被害者だった。 


老後を癒し合う友達にはなれずに

新しい犬を譲って去っていく・・・・


 ネタバレいっぱいしてしまったけど、

それでも観て損のない映画です。