日本経済 国全体の正味資金(国富)3999.1兆円 石原慎太郎氏氏の遺言から見える日本の姿 | 『日本史編纂所』・学校では教えてくれない、古代から現代までの日本史を見直します。

『日本史編纂所』・学校では教えてくれない、古代から現代までの日本史を見直します。

従来の俗説になじまれている向きには、このブログに書かれている様々な歴史上の記事を珍しがり、読んで驚かれるだろう。



日本経済 国全体の正味資金(国富)3999.1兆円

石原慎太郎氏氏の遺言から見える日本の姿



  内閣府が19日発表した統計によると、官民合わせた国全体の正味資産、即ち国富は2022年末に3999兆1000億円となり、前の年末に比べ3.3%増加したことが分かった。
比較可能な1994年以降、最高となったもので、資材価格の高騰で住宅や機械など生産資産の価格が上昇したことなどが要因と見られる。
正味資産、国富が4000兆円とは、驚くべきことです。

果たして国民はこの現象を素直に喜んでいいものなのかは疑問符が付く。

何故なら常識的に考えれば、日本の国富が増加しているというこの事実は、日本の経済が健康であることを示しています。金融資産については、日本は他の多くの国々とは異なり、負債が少ないという特徴があります。
これは、日本の財政状況が比較的安定していることを示しています。そして、日本の正味資産、つまり国富が4000兆円に達しているという事実は、日本の経済力の大きさを示しています。
これは、日本が世界の経済大国であることを再確認するものです。しかし、これらの数字は、経済の健全性だけでなく、国民一人一人がどれだけの富を享受しているか、または享受できるかを示すものではないのである。
それぞれの国民がどれだけの富を持っているか、または享受できるかは、所得分配、貧富の差、生活水準など、さまざまな要素によって決まります。
したがって、国富の増加は必ずしも全ての国民が豊かになっているわけではないということを理解することが重要です。それでも、国富が増加しているという事実は、国全体としての経済力が増していることを示しており、
それは間違いなくポジティブな兆候です。
 

しかし、国富の増加は一方では日本という国家が「水膨れ」しているという見方ができる。
この「水ぶくれ」、とは経済の文脈で使われる隠喩(いんゆ)であり、物事が表面的には膨張しているように見えるが、その内部は空洞である、または本質的な価値がないという状態を指すことが多い。
したがって、国富の増加が「日本がどんどん水膨れをしている」と表現する場合、それは経済が表面的には成長しているように見えるが、その成長が持続可能な基盤に基づいていない、
または本質的な価値が伴っていない可能性を示唆しているということにもなるのである。この表現は、経済の健全性や持続可能性についての懸念を示していると解釈できます。

日本の抱える不安材料


◎先ず一つめの不安材料は自然災害である。
 2024年元旦を襲った能登半島地震のように、日本中が地震、水害、津波などの自然災害の危機に晒され、近年はその間隔がタイトな傾向がみられる。
 世界的にも豪雪、豪雨、爆風、高温、異常乾燥等々が今や「通常気候」になりつつある。
 災害は人心も、国土も疲弊し国富はどんどん減少してしまう。

◎普通国債残高は、累増の一途をたどり、2023年度末には1,068兆円に上ると見込まれている。
 また、財政の持続可能性を見る上では、税収を生み出す元となる国の経済規模(GDP)に対して、総額でどのぐらいの借金をしているかが重要です。
 日本の債務残高はGDPの2倍を超えており、主要先進国の中で最も高い水準にあります。
 政府は「財政健全化」とは言うが、債務返済の長期的計画は示さず、日銀も金融緩和政策を続けると云っている。
 これでは世界の国々の信用は得られず、何時国債の暴落が起きるかもしれない危険を抱えての「綱渡り」状態である。


◎さらに政府は人口減少に歯止めができず、とうとう「人口八千万人のコンパクトな国家を目指す」と飛んでもないことを言い出した。 これは「安心して出産、育児のできる政策」も「移民政策」も施策できなかった政府の恐ろしく重大な失政に他ならない。これではこれから戦争を始めようとする時、戦略も戦術も立てず負けた時の対策を取っているに等しい「負け犬思想」にすぎない。


 従って日本が直面している不安要素に対処するための政策は以下のようになる。

1. 自然災害対策の強化
災害予知技術の向上: 地震や津波などの自然災害を早期に検知する技術の強化を図り、住民に的確な避難情報を提供する体制を整える。
耐震基準の見直し: 新たな建築物やインフラの設計基準を見直し、より耐震性の高いものを構築する。
リーダーシップと協力: 国と地方自治体、民間企業、市民社会が緊密に協力して、災害時の対応を迅速かつ効果的に進めるためのリーダーシップを確立する。

2. 財政健全化と債務対策
財政改革の実施: 政府は財政健全化を進め、将来的な債務返済の長期計画を策定する。税制改革や支出の見直しにより、収支を改善する。
経済成長の促進: GDPの増加を図り、国の経済基盤を強化することで、債務とのバランスを取る。
金融政策の見直し: 日銀は金融緩和政策を続ける一方で、適切な金融政策を採用し、国債市場の安定を図る。

3. 人口減少対策
働き方改革: 効果的な働き方改革を進め、女性や高齢者の社会進出を促進する。柔軟で働きやすい環境を整え、仕事と家庭の両立を支援する。
教育と労働市場の整備: 就業力向上のための教育制度の見直しや、働き手の能力開発を支援する施策を実施する。
移民政策の検討: 適切な枠組みのもとで、外国人労働者の受け入れを検討し、効果的な移民政策を導入する。
これらの政策を実施することで、自然災害や財政、人口減少といった課題への対処が可能となり、国の安定的な発展が期待できる。

最後に1995年当時と驚くほど重なる現状の日本政治を俯瞰し、同年4月14日、故石原慎太郎氏が衆議院本会議での名演説を借りて終わる。

「(前略)政治の対立軸が喪失されて、私たちは新しい軽薄な混乱の中におります。新しい文明秩序の造形の為に、多くの可能性に満ちているはずの、この日本の将来を毀損しかねないような問題が、
 いくつも露呈してきているのに、現行の政治は殆ど手を付けられないままに、全ての政党、殆どの政治家は、ただ今はいかに自らの身を保つかという最も利己的で卑しい保身の目的のためにしか、
 働いていない。こうした政治の現状に、国民はもはや軽蔑を通り越して、期待し裏切られることにも倦んでただ無関心に過ぎているという状況は政治の本質的危機としか言いようがない(中略)
 
 世界の新しい歴史創造への作業への参加資格のあるこの日本は、いまだに国家としての明確な意思表示さえできぬ、男の姿をしながら実は男としての能力を欠いた、さながら去勢された宦官のような国家になり果てている(後略)」

 
この演説は凛として毅然。理路整然として断固。誇りと名誉そして日本国民の歩むべき姿を示唆してはいまいか。こういう政治家の出現はもはや望むべくもない。
この演説の三十年前より日本は一歩も前進しておらず、いやむしろ後退と失墜状態である。
現在自民党の裏金問題に見えるように、鵺(ヌエ)のような捉えどころのない岸田首相は大胆な政治改革もできず、与野党ともに迷走し、その乱反射は絶望的である。
国際的には、罪なき民衆の虐殺、凄惨なイスラエル戦争、ウクライナ戦争を目の当たりにして、我々は白人社会の残虐性を嫌というほど知らされた。
こうした事象に思いを馳せる時、人々の心はいつになったら光風霽月(こうふうせいげつ)の心境になれるのだろうか。