皆さん、こんにちは。
歯科医師の坂上です。
今回は親知らずについてご説明していきます。
親知らずとは・・・
なんとなく、一番奥の歯ということはご存知だと思います。
親知らずは、前歯から数えて8番目の歯であり、「第三大臼歯」といいます。
他の永久歯は6~12歳ごろに生え変わりますが、親知らずは10代後半から生えてくることが多く、「智歯」とも呼ばれます。
なぜ『親知らず』と呼ぶようになったのか、いくつか由来があるようなのでご紹介します。
1、昔の日本人の寿命が短く、親知らずが生えてくるころには親はすでに亡くなっているから、
2、多くの場合親元を離れてから生え始めるため、親が歯の生え始めを知ることがないから、
3、親知らずは乳歯から生えかわることがないため、乳歯を永久歯の親に見立てて対応する乳歯がないことから、「親知らず」と呼ぶようになったといわれています。
ちなみに、英語では『wisdom tooth(知恵の歯)』と言います。
これは、『物事の分別がつくようになった年頃に生えてくる歯』という意味のようです。
親知らずはそもそも人間に生えてくる歯の1つであり、決して無駄な歯ではありません。
もし、まっすぐに親知らずが生えていて、ちゃんと上下でかみ合い、しっかりと磨けてあげれば、親知らずを抜く必要はございません。
しかし、食生活の影響などもあり、顎の骨のサイズがどんどん人類は小さくなってきているため、親知らずは生えてこなかったり、横に向いて生えてきます。
横に向いていたり、中途半端な生え方をしてしまうといろいろな問題が起きてきます。
例えば、歯ブラシが届きにくく、汚れがたまり、親知らずやその手前の歯がむし歯になったり、体が疲れて抵抗力がない時に周りの歯肉に腫れや痛みなどの炎症(智歯周囲炎)が生じたりします。
このように、むし歯や智歯周囲炎などにより、親知らずを抜歯する必要性があるケースが出てきます。
親知らずを抜歯した方が良い場合を下記に示します。
(1) 手前の歯と同じように生えてきているが、歯磨きが上手にできない場合。
(2) 横向きなど中途半端に生えていて、歯の一部だけが見えている場合。
(3) 親知らずや手前の歯がむし歯になっている場合。
(4) 骨の中に完全に埋まっているが、レントゲン写真上問題がある場合。
(5) 歯並びを悪くする恐れがある場合(矯正治療前後など)。
しかし、お身体の病気の状態によっては容易に抜歯を行うことができない方もいらっしゃいます。
重度の糖尿病・リウマチで加療中の方や、心疾患などで血が止まりにくいお薬を飲まれている方、抗がん剤治療を行っている方、骨粗鬆症で使用される骨吸収抑制剤を服用されている方などは主治医の先生と相談後、全身状態を考慮しながら無理のない処置を行うよう努めています。
もちろん親知らずの抜歯は、術後に痛みや腫れ、出血などの合併症を伴います。
痛みや腫れの出方は個人差がありますが、術中・術後の合併症やリスクに関しては、術前に丁寧にご説明いたします。
当院は、術前のレントゲンで細かく治療計画を立て、困難な親知らずの抜歯も傷口を最小限にとどめ、なるべく短い時間で行っています。
また症例によっては、難抜歯といわれる神経に近接した親知らずに対してCT撮影を行い、顎の中にある神経や血管との位置関係などを確認した上で、血管や神経などを傷つけないように考慮しながら手術を行います。
親知らずの抜歯をはじめとした口腔外科領域は当院の専門分野であり、柱の1つです。
院長と私は、大学卒業後に口腔外科に在籍していたため、親知らずの抜歯も多数の症例を経験しております。
幸いなことに、他院からも多くの親知らずの抜歯依頼のご紹介を頂いております。
コロナ渦のなか、患者様の安全安心のため、当院ではより一層感染予防対策に取り組んでおります。
親知らずのことでお悩みを抱えておられる方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にご連絡ご予約いただき、ご来院ください。