意外と知らない「定期検診」と「メインテナンス」の違い | 第二薮本歯科医院のブログ

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東広島市の歯科医院 第二薮本歯科医院 のブログです。
お口や体の健康情報から、医院の日常まで、幅広く情報発信をしていきたいと考えております。

皆さん、こんにちは。

歯科医師の坂上です。

 

広島県内も新型コロナウイルスのワクチン接種が開始されましたが、県内の新規感染者の累計も1万人を超えてしまい、ご不安な日々をお過ごしの方もいらっしゃるのではと思います。

 

当院でも、オゾン発生装置3台、コロナウイルスに有効性のある空気清浄機4台を設置して院内全体の空気洗浄を行うなど、より一層感染予防対策を講じながら日々安心・安全の医療提供に努めております。

 

コロナウイルスなどのウイルスは、正しいうがい・歯磨きによって、感染のリスクを下げることができます。

 

口の中が不衛生だと、誤嚥性肺炎や細菌性・ウイルス性肺炎のリスクが上がり、重症化しやすいことも知られています。

 

健康・命を守るためにも、お口の衛生管理、すなわち、歯科医院での専門的なクリーニングを受け、定期的な「メインテナンス」を継続していくことがとても大切です。

 

定期検診とメインテナンスの違いはご存知でしょうか。

 

定期検診とは早期発見・早期治療、つまり、むし歯の有無や歯周病の進行を調べることです。

一方、「メインテナンス」は、歯周病やむし歯の発症・再発を防止し、口腔の健康を維持していくことを目的とし、歯科医院で計画的に維持管理するプログラムです。

定期検診とは目的・内容が異なります。

 

定期検診とメインテナンスを6年間比較したAxelssonらの研究(J Clin Periodontal, 1981)では、プラーク(歯垢)の付着状態が定期検診群では60~70%であるのに対して、メインテナンス群では20%以下を維持し、メインテナンス群は定期検診群に比べて、歯周病の進行は約30分の1、むし歯の発生は約70分の1と口腔内環境を有意に改善し、良好な結果を示しました。

 

図:メインテナンス群と定期検診群の6年後の結果比較(Axelsson P, Lindhe J., J Clin Periodontal, 1981)

 

 

「むし歯の治療を受けて、毎日歯磨きしていれば、むし歯や歯周病を防げる」と思われていませんか?

 

歯磨きは口の中の健康維持に不可欠だということに間違いはございませんが、口腔に常在する原因菌をなくすことも、先天的免疫力を変えることもできません。

 

むし歯や歯周病の発生や進行には口の中の細菌数や種類、唾液の質・量、歯の生え方、年齢、ブラッシングの仕方、食生活、全身疾患…など多くの要因が関わっています。

 

すなわち、歯周病は多くの因子が組み合わさった多因子疾患であり、むし歯や歯周治療後に何もしなければ容易に再発する疾患といえます。

 

したがって、お家でのセルフケアだけでなく、歯科医院での適切な治療後に注意深い「メインテナンス」をうけることによってはじめて歯周病の再発を抑制でき、進行を遅延させることができます。

 

日本とは異なり、アメリカやスウェーデンなどの歯科先進諸国は歯を失わないために歯科医院に行き、定期的な「メインテナンス」を行うことが社会に浸透しており、80歳になっても自分の歯で食事を楽しめています。

 

よって、歯周病の治療で最も重要であるのが「メインテナンス」といえます。

 

「メインテナンス」は、計画的な治療の一環であるため、継続していただくようお願いいたします。

 

病気のリスクや原因は、患者さん一人一人によって違うので、「メインテナンス」の間隔は一律に決められず、患者さんそれぞれの歯周病の進行状況やリスクに応じて決定するものです。

 

そのため、メインテナンスを含む治療の継続・延期は、ご自身で判断なさらずに必ず当院にご相談ください。

 

今後とも当院をよろしくお願いいたします。