こんにちは、歯科衛生士の向井です。
暦の上では秋でも残暑が厳しいこの頃、
コロナ予防でマスクをつけての生活は心底疲れますね。
そんな疲れた時、
ブレイクタイムに冷んやり美味しいドリンクやスイーツをお口にいれた瞬間、
『キーン、痛いーっ!! しみる~』
という経験をされたことはありませんか?
このしみるという痛み、
知覚過敏かもしれません。
虫歯の痛みにも似ていますし、
歯の中の神経で起きている炎症の初期症状とも似ています。
歯の中には神経を覆っている象牙質があり、
その象牙質を更に覆っているのが、
歯の表面ではエナメル質で、歯の根っこの部分では歯肉です。
この象牙質が何らかの原因で外にむき出しになると、
象牙質にはポツポツと穴が開いているので、
冷たい物、甘い物などの刺激が穴の中の水に伝わって、
神経や細胞を刺激して、キーンという痛みがでるようです。
これとは逆に象牙質がむき出しになっていても、
表面にスメア層と再石灰化層というものが沈着していると、
象牙質の穴を塞いでしみなくなるようです。
知覚過敏で歯ブラシがあたるとしみるからと心配して、
歯磨きを避けるかたもいますが、
歯磨きが足りないと細菌が酸を出して、
象牙質を覆ってくれるスメア層などを溶かしてしまい、
知覚過敏の悪化や再発の原因になるので、
優しく丁寧にお手入れしていきましょう。
そして原因にあった改善策や治療を選ぶことがとても重要です。
歯磨きの習慣を変えてみる
・ゴシゴシ磨きをやめる
・一時的にソフトタイプの歯ブラシを使用する、
歯間ブラシやフロスも使用
・広範囲で歯がしみる場合は、低研磨性や研磨剤無配合や、
しみ止め効果のある歯磨剤を選ぶ
・歯肉を下げない磨きかたをする
処置としては、
・しみ止めコート剤を塗る
・欠けた部位に歯と同じ色のレジン剤を覆う
・詰め物を外してやりかえる
・嚙み合わせの調整、歯ぎしりなどから歯を守るマウスピースを入れる
食事療法や、生活習慣の見直しでは
・酸っぱい飲食物、スポーツドリンクなどの過剰摂取を控える
・胃食道逆流症や、持病の薬の影響で唾液が減少してスメア層が減り、
しみる症状が悪化する時は内科医への相談も必要
⁑様々な治療をしても改善しないときは残念ながら神経を抜くこともあります。
【治療が終わったはずなのにしみる!これって何故?】
ということはありませんか?
これは虫歯の炎症や、削った時の刺激で神経が敏感になっていて、
クールダウンするには、ある程度の時間が必要の為、
歯の自然な生体反応なんです。
神経や象牙質は自分を守る為に、数か月かけて二次象牙質を作り、
しみる症状は徐々に減っていきます。
知覚過敏は軽い病気と思われがちですが、
歯の別の病気の可能性もあり、見逃してはならない歯からの警報です。
定期的なクリーニング時の検診で早期発見、早期治療により、
最小限の痛みでおさめることも期待できます。
歯科医院の歯面清掃は知覚過敏の治療に効果的ですよ。
しみない歯で、美味しいお食事を楽しんでくださいね~
(nico 2018・7より出典)