ガッキーのブログ -7ページ目

光の騎士後に幻想入り

「ぅ~…なんとか逃げ切れた…」

あの後 俺はフラン様に何度もお酒を注がれて全て飲み干した


「けど…あんな笑顔をしながら注がれたら呑むしかないよなぁ…」

取り合えず…酔い覚ましにテラスに…


エ「あら、オオガキさん」


「あ…エーリンさん」

声がした方を見ると エーリンさんが座っていた


エ「すっかり出来上がってるわねー」


「はい、フラン様にお酌してもらって…断れずに 沢山呑んでしまって…」

チルノさんが来たお陰で何とか抜け出せたけど・・・


エ「ふふっ、愛されてるわねぇ」


「あ、愛って…フラン様は主として私を大事にして下さってるだけですよ」


エ「あら、案外鈍いのね」


「え?」


エ「そうそうオオガキさんに昨日のお詫びとして プレゼントを持ってきたのだったわ」


「プレゼント、ですか?」


エ「えぇ、貴方もきっと喜ぶと思うわよ」

そういって クスクスと笑うエーリンさん 何かを企んでそうで怖い…


「その……プレゼントって一体…?」

ポンッ

突然、後ろから肩を叩かれ 後ろを振り向いた


エ「ほら、来たわよ」


「え――?」

振り向いてみるとそこには…―


フ「オオガキィィィっ!」

幽「キィ~君っ~!」

紫「キィー君っ!」

チ「オオガキッ!」

…目が据わったフラン様達が立っていた


「…へ?」

な…何かやばそう・・・


フ「えへへっ…オオガキ、大好きだよっ!」


「!?」

なっッ!?


幽「あらぁ~私のが大好きよ?キィ~君 だから一緒にデートに行きましょうよ~」


紫「あら 幽々子 それはダメよ~♪ キィー君は私と大人のデートをするんだから」


チ「オオガキっ!アタイと二人だけで遊ぶよっ!」


「…えぇーと・・・」

状況が飲み込めず エーリンさんの方をみた


エ「あら、効き過ぎたかしら…ゴメンなさいねオオガキさん 惚れ薬入れすぎてしまったみたいだわ」


「え!?…惚れ薬ッ!!!?」


エ「惚れ薬といっても、呑んだ人が一番好きだと思ってる人に積極的アプローチするだけよ」


ちょ…何で一体惚れ薬なんて… ってそんな事考えてる暇じゃない!! 逃げなくてはッ!!

バッ!


フ「あ! オオガキまってよー!!」

幽「あぁん…キィ~君ッ!」

紫「逃げちゃダメよ♪」

チ「鬼ごっこかっー!よーし、最強のアタイが捕まえてやるぞっ!」

タッタッタッタ…


エ「…まぁ、 何とかなるわよね」


う「師匠…オオガキさん可哀想に・・・」


て「…ふんっ」


う「 てゐ、どうしたの?」


て「…何でもないウサ」


う「?…それにしても大丈夫何ですか? 師匠 惚れ薬なんて」


エ「効果は1日だし大丈夫よー…    タブンね」


輝「エーリン…まったく それにしてもいつのまに薬何て入れたの?」


エ「簡単よ、このビンに入った薬を―あら…?無いわね」


う「…師匠 その薬って もしかして、赤いビンでした?」


エ「えぇ そうよ 知ってるの?」


う「…さっきルーミアさんが…あのデカイ酒樽に流し込んでました…」


エ「…え!?」


輝「あれって…皆が飲むために入れた酒樽よね…?」


エ「…帰りましょうか」


輝「そうね…」


う「…オオガキさんご無事で…」


レ「…何やってるのかしら、オオガキとフラン達は」


ケ「…聴こえた内容からして お酒に惚れ薬を混ぜたようですね」


レ「惚れ薬?」


ケ「えぇ、何でも 呑んだ人が一番思ってる人にアタックするとか…」


レ「…へぇ、 ……ケ、ケイゴ」


ケ「はい?」


レ「ちょっと…呑んでみなさい」


ケ「…え?」


レ「に、二度は言わないわ…///」


ケ「…」

ゴクッ


レ「ッ!」


ケ「…」


レ「ケ…ケイゴ?」


ケ「…特に変化はありませんね」


レ「…そう、なら…いいわ」


ケ「レ、レミリア様? 何か怒ってます…?」


レ「お、怒って何かないわよ!!あぁ!喉が渇いたわねっ!」

コクッコクッ…


ケ「あぁ、レミリア様…そんな一気に飲んでわ…」


レ「…」


ケ「レ、レミリア様?どうしたんですか…?」


レ「ケイゴ…」


ケ「は、はい…?」


レ「私の事…好き?」


ケ「え…!?」

な・・・!?


レ「私の事…好きかきいてるのよ…」


ケ「え、えぇと…と、取り合えずレミリア様おちつい…―」


レ「落ち着いてるわよぉッ! それよりもちゃんと答えなさいよぉーっ!」

目を潤ませて腕に抱きついてくるレミリア様


ケ「そ、それは…」

ま、まさか…さっきのお酒に入っていたのか…と、というか…顔が近いッ!


レ「それは…?」


ケ「う…うあぁぁぁぁぁッ!」

バッ!


レ「あ、ちょっと!?ケイゴ待ちなさいーっ!!!」


ケ「待てませんッッ!」


「うおぉぉぉぉぉッッ!!!」


フ「まってよーっ!オオガキぃぃッ!」


「それは無理ですーッ!!」


紫「キィーくぅーん! 悪いようにはしないからぁッ!」


「信じられません!」


幽「キィ~君~ 楽しいことしましょうよ~」


「何か分かりませんけど丁重にお断りしますっ!!」


チ「オオガキッ! アタイの氷で氷付けにしてやるよっ!」


「もう理由が分からないよッ!!」

あぁ…どうしょうこれぇぇぇッ…逃げ続けてもいずれ掴まってしまう…一体どうすれば…!


霊「夢想封印!」

ドンドンドンッ!!


全「きゃあぁぁぁぁぁッ!」


「えッ!?」

突然 後ろから 爆発音と フラン様達の声がした


霊「今のうちよ、こっち」


「れ、霊夢さん!?」


霊「早く逃げないとすぐ回復してくるわよ」


「は、はい!」

フラン様…ごめんなさいっ!! 霊夢さんに導かれるまま 俺はその場を後にした



「はぁ…はぁ…こ、ここまでくれば大丈夫ですかね」


霊「絶対とは言えないけどね」


「あはは…霊夢さんありがとうございます、あのまま追いかけられたら俺どうなってたか…」


霊「お礼何ていいわよ 私はアンタに用があって助けただけだから」


「御用ですか… 俺に出来ることなら何でもしますよ!」


霊「…」


「…ん? 霊夢さん…?」


霊「私が言いたい事は、もう分かってる…わよね?」


「…」


霊「私は、妖怪から助けてくれたときに貴方を好きになったわ 貴方は、私の事をどう思ってるかしら」


「俺は…霊夢さんの事を…」                          ガサッ―

おや…


霊「私の事を?」


「…大切な仲間だと思っています」


霊「…」


「霊夢さんの気持ちは確かに嬉しいです… こんな俺に気を持ってもらって、けど俺は霊夢さんには不釣合いですっ」


霊「どうして?」


「俺は、確かに霊夢さんを助けるために今回 異変解決に向かいました」


霊「そうね、それでちゃんと助けに来たじゃない」


「はい、確かに辿りつきました ですが…結果的に俺は霊夢さんを救えていません」


霊「あっ…」


「霊夢さん、分かっているのでしょう 想いを伝える相手が誰なのかっ」


霊「…」


「さて、そろそろ隠れてないで 出てきて下さい 魔理沙さんっ」


霊「えッ!?」


魔「…バレてたのかだぜ」


「はいっ」


霊「魔…魔理沙」


魔「霊夢…あの…その、な」


霊「まったく…隠れて様子覗ってるなんてね」


魔「うっ…うぅっ」


霊「何泣いてるのよ…」


魔「だ、だって…霊夢とオオガキが二人でどこか行くから…それでッ…!」


霊「はぁ…まったく」


魔「レ…霊夢っ…」

霊「はぁ……返事、返してなかったわね」


魔「ふぇ…」


霊「…私も大好きよ 魔理沙 私と付き合いなさい」


魔「えっ?…えぇ!?」


霊「な…何よ そんなに驚いて」


魔「だ、だって! いきなりそんなッ!?」


霊「いきなりって…あんな時に告白してきた 魔理沙がよく言うわね…」


魔「あ、あの時はッ! つい勢いで…!」


霊「…やれやれ ふふっ、 まったく 魔理沙らしいわね」


魔「わ、笑うなよっ!」

…さっきから 物凄く二人の世界だなぁ 空気化してる…


「…」

何と言うか、俺はお邪魔みたいだから 移動するとしますかねっ お二人ともおめでとうっ



「ふぅ、何処に行くかなぁ――ん?」

霊夢さん、魔理沙さんの所から移動した俺は特にすることも無く中庭をぶらついていた


「あれは…影治さんとアリスさん…?」


影「――う」


ア「えぇ――」


「…さて、何も見なかった っと」

二人だけの時間を邪魔しちゃ悪いねっ



「よし…邪魔しないように静かに…――」


フ「オオガキ みつけたっ!!」


「!? フラン様ッ!!」


フ「うふふっ…今度は逃がさないよっ♪」


「うわぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」

全速力でその場からダッシュして 何とか影治さん達の傍からはなれる事は出来た…が


フ「逃がさないって言ってるでしょっ!」

ガシッ!


「うおッ!」

ドサッ


フ「掴まえたっ♪」


「うぅ…」

終わった…


フ「さっ♪観念してよオオガキっ」


「くぅ…」

あぁ…俺はどうなるのか…


フ「さぁ 宴会場に戻ろうっ」


「はい…」

何を言われても、もう拒否する事も出来ないよな…


フ「戻ったら 一緒に…」


「はい…」

さぁ…来い!


フ「踊ろうっ!」


「…え?」


フ「お姉様が宴会の他に ダンスパーティーの用意をしてたみたい」


「ダンス…」

これまた…


フ「それでね…オオガキと一緒に・・・踊りたいなって///」


「私と…ですか?」


フ「うん……ダメ・・・?」

頬を赤くして小さい声で言う フラン様


「…いいえ、フラン様 私でよければ踊りましょうっ」


フ「うっ うん!!」

そして俺はフラン様の手を取り 宴会場までエスコートしながら向かった


その後 俺はフラン様と沢山踊った レミリアお嬢様も恥ずかしがるケイゴの手を取り 美しく踊っていた…気のせいかな、ケイゴ物凄く疲れた顔してね…?


俺とフラン様 レミリアお嬢様とケイゴのペアのダンスを見てる内に 宴会に来た人達も次々とペアと組み 踊り始めていた その中には霊夢さんと魔理沙さん 影治さんとアリスさんも居た


何時間か踊りが続いた後 ほとんどの皆は 疲れて紅魔館に泊まっていった 俺もフラン様を寝室にお連れした後に自室に戻り眠りに付いた





?「もうそろそろだ… もうすぐ 再び幻想郷に戻ることが出来るな」


?「えぇ、ルシフェンの傷も回復してきたしねぇ」


ル「ご迷惑を掛けてしまいましたねぇ」


?「気にするな、少し計画が遅れた程度だ」


?「そうね、私は洩矢諏訪子を 亡き者に出来れば良いだけだからね」


ル「ふふっ 私達全員の 思惑…必ず達成させてみせましょう」



















別の幻想郷ケイゴ視点

「…」

ケ「…」



「…ケイゴ、把握出来てる…?」

オオガキが俺に問いかけてきたが答えは決まってる

ケ「…分からん」

何故いきなりこんな所に着たのか分かるはずもねぇ…

「俺達…村里から買出しの帰りだったはずだよね」


ケ「あぁ…村里出て森の中通ってた所までは覚えてる」

確か、帰ってから一緒に酒を呑もうとか話してたのは覚えてるがその後の記憶が曖昧だな


「…周りの景色からして 幻想郷だね」

冷静に分析をするオオガキ


ケ「あぁ…けど俺達の世界ではないな、俺達の居た幻想郷と違って此処は…」

俺達の世界ではないが 此処は幻想郷だが此処には一秒でもいたくないな


「…」

俺の心を読み取ったのか黙って聞いているオオガキ


ケ「精気を感じられない」

そう生きた物の気配をまったく感じられない 微かにはいるんだがどれも元気がない


「うん、私達の幻想郷と違う所は主にそこだね」


ケ「あぁ…オオガキ いつまでこうしてても何も怒らないんだ 取り合えず俺達を送ったであろう 紫さんを呼ぼうぜ」

取り合えず 俺達を飛ばしたであろう犯人を呼ぶようにオオガキに言った


「あぁ、うん やっぱり紫さんの仕業なのかなぁ」

疑問系で返してくる


ケ「それ以外 こんな事出来そうなのいないだろー」

あの人はオオガキが大好きでよく悪戯してるが今回は少し異常だな


「確かに…よし 紫さーん!」
シーン―…


オオガキが呼びかけてみたが反応は無かった


「おかしいなぁ…紫さーん!」

再度呼びかけてみるオオガキ


シーン

やっぱり反応はないな

ケ「反応ないな…」


「うん…やっぱり紫さんは関係ないのかも」


ケ「そうだな…関係あるのなら 呼び掛けに答えて 説明するだろうしな」


「うん…取り合えず、ケイゴ 紅魔館行ってみよう 止まっててもしょうがないし」

ケ「あぁ、そうだな 行くか」

そういって俺とオオガキは紅魔館へと歩きだした


「な…」
オオガキが口を開け驚いた声を上げた それもそうだ…


ケ「は?…」

俺自身も驚いてる…紅魔館が・・・

ケ「こ・・・紅魔館だよなこれ…」

俺達が驚いている理由は 3つ…一つは紅魔館が真っ黒になっている事…そして―


「う…うん、その筈だよ」


ケ「…メイリンさんや咲夜さんの気配を感じない・・・」

二つ目は…そう俺達の居る世界で居る筈の住人達の気配を…この紅魔館から感じられないのだ・・・

「パチュリー様やこぁさんも…だね」

ケ「何でだ…?どの世界でも基本は 紅魔館には咲夜さんとか妖精メイドやらが居るはず何だろう!?」

そうあの八雲紫から聞いた他の幻想郷は俺達が居ないだけで何も変わらないという事だったのだ…

「うん…住人が居ないのなんてありえないよ…」


ケ「あぁ…しかし、オオガキ…紅魔館に住民が居ないのも驚きだが…」
口に力が入らない…これは・・・


「…分かってるよ、紅魔館の中から 禍々しいものを感じてるよ」

俺の意図を指しってくれたのかオオガキが答えてくれた


ケ「…入るか、確かめてみねーと…嫌な予感がするけどな」

奥から発せられてる気配…いや殺気は 一度体感した人のものとよく似ている…


「…行こう」

進んでいくにつれて俺もオオガキもどんどん足取りが重くなっていった

「…咲夜さんも居ない メイリンさんも居ない…そして妖精メイドさん達も居ない…どういう事何だろう」

疑問系の言葉を返してくるオオガキだが 本当は分かっているのだろうそれでも信じたくないと思っている


ケ「…この世界のあの方は 安らぎを手に入れず力に溺れたって事だろうな」

俺も信じられねーよオオガキ…

「そうだね…」


ケ「取り合えず 会ってみよう」

話し合えばきっと変にはならないはずだ…


「…けど、ケイゴ この世界は本来俺達が居ない世界だ」


ケ「? あぁ、そうだな」

いきなりどうしたんだ…?


「…干渉して良いのだろうかね この世界の人と会って何か変化が起きてしまったら…」


ケ「…その時はその時だろう それにこの世界は十分おかしいんだ 俺達が何か起した所で今更な感じだろう」

そうこの世界は絶対壊れているんだ 今更干渉してもおかしくはならない


「うむぅ…」

ケ「話してる間に着いたぞ やはり此処に居るみたいだな」

オオガキと話してる間に目的の場所に辿り着いた


「あぁ…確かに感じるな 気配の変化が無いって事は中に入る前から 俺達に殺気をずっと飛ばしてたみたいだね」


ケ「あぁ、心して行くぞ」


ギィッ…


静かに俺は殺気を放っている部屋のドアを開けた 部屋の奥には俺達のよく知る人物が王座に座りこちらを睨んでいた


「…やっぱり当然ですね」


ケ「あぁ…レミリアお嬢様だ」


レ「下等な人間と混血の忌まわしい吸血鬼が私の屋敷に何しにきたのかしら」

明らかに歓迎しているふうには見えなかった


「・・・えっと…私達、違う世界から迷い込んでしまったみたいで…それで人を探して帰る方法を探して此処にきたんです…」


レ「へぇ、別の世界から来たの それで?」


「え?」


レ「何故、私の所に来たのかしら? 私の事を知ってて来たのなら相当な愚か者共ね」

明らかに俺達を貶した喋り方だった


ケ「…俺達は違う世界の貴方…レミリアお嬢様に仕える執事です」


レ「はっ?!お前達が? 違う世界の私の執事?フフフッ…アハハハハハハッ!!!」

壊れたように笑うレミリア様

「…」

ケ「…」


レ「ハハハハッ…笑えない冗談ねッ!!!」

ゾクッ!


「ッ!」


ケ「…」

純粋に殺意だけが篭った殺気だな…


レ「百歩譲って仮に…」

力を込めるように一言置いた


レ「お前達みたいな下等な人間と、薄汚い混血を執事として仕えさせている何て 貴方達の世界の私はさぞかし弱いのね 気高き吸血鬼の風上にもおけないわねッ!!」


「なッ…!」

ケ「!…俺達がレミリアお嬢様に仕えている事が そんなにありえない事だと言うのですか?」


レ「えぇ、ありえないわね!! 弱い者を従者にして 護って貰ってるだなんて自分が弱いと他の奴等に言っている様なものじゃない」


「そ、そんな…事」

レ「何がそんな事ないのかしら? もしかしてお前達の世界の私は何も出来ない臆病者の屑って事なのかしら!」


ケ「!―」

その時俺の何かが緩んだ気がした

ケ「ッ!いくら…同じレミリアお嬢様でも その言葉は許せません…撤回して下さい」

俺は怒りに任せて つい言ってしまった


レ「はッ! 撤回する必要があるのかしら?事実でしょうが それとも力ずくで私に撤回させてみる?」


「ッ…」


ケ「…」

レミリア様に歯向かう…か試したことは無かったな しかし―


レ「怖気づいたのかしら? まぁ無理もないわよねぇ お前達下等な奴等が気高き吸血鬼の私に歯向かうなんて無謀だものね!!」


「…その通りかもですね―」


ケ「怖気づきませんよ 貴方にはね」

負ける気はしないな―!


レ「あ?」


「え?」

オオガキが驚きの声を上げていたがスルーしておこう


ケ「貴方は力だけを求めて今まで生きて来たのでしょうね 誰かを護るためではなく 全ての生きる物をただ倒す者としか見ずに」

孤独で戦ってきたから強いってわけではない むしろ誰かを護る為に戦ってきた俺のレミリアお嬢様の方が何倍も強い!


レ「そうよ? 私より弱い奴等なんて要らないじゃない!私は強いわッ!! この世界に居た楽園の巫女も!冥界の亡霊姫もッ!幻想郷最強と言われた 八雲紫でさへもッッ!!私を恐れ逃げたわッ!!私が強いからねぇッ!!アハハハハハッ!!!」


「…」

オオガキは何かを考え 下を向いている


ケ「…悲しいですね」

この世界のレミリア様は…寂しかったんだろうな


レ「…何が悲しいって?」


ケ「貴方がです、誰も信じれなくてなってしまって…何が貴方を追い詰めたんですか?」

答えは分かってる…この世界のレミリア様は、吸血鬼達の虐めに耐え切れなかったんだろう…


「ケイゴ…」


レ「私が…悲しい奴だと・・・?」


ケ「えぇ、貴方は 一人でしか戦う事を知らない可哀想な人です」

誰も信じず自分を護る殻を作って閉じこもっているだけ・・・


レ「…ふッ!! 混血如きが言ってくれるじゃないッッ!!!その言葉 地獄に行って後悔しろッッッ!!!」

ドゴッ!!!

怒りからか 地面を殴る レミリア様 その拳で床が壊れていった


ケ「ッ!?」

バサッ

間一髪、俺は羽を広げ 床の切れ目に落ちずに済んだ しかし―


「っ!」



ケ「オ!オオガキッ!!」

オオガキは反応が送れ 裂け目に落ちてしまった 俺はそれを追いかけたが 掴む前に見えなくなってしまった


ケ「くっ…!」


レ「助けられなかったわねぇ、仲間なんて作るからそんな事になるのよ ハハハッ」

高らかにあざ笑う レミリア様


ケ「ッ…貴方は、大事な…護りたい人は居ないんですか!!」

レミリア様にだって居るはずだ! フランお嬢様という大事な妹がッ!


レ「大事な人? 護りたいぃ?…そんな物居るわけないでしょッ? 私に護られて生きる奴なんて必要ないわッ!!」


ケ「!?…そう、ですか」

そうか…フランお嬢様も不要として排除したのか…なら…もう―


ケ「…お相手致します」

ゾクッ

レ「ッ!へぇ、思ったより強いのかしら 楽しめそうね…


ケ「幻想―紅―」

俺はレミリアお嬢様から頂いた紅い槍を召還した


レ「へぇ…お前も槍を使うのか グングニル―」

レミリア様も対して最強の槍 グングニルを出した 俺の槍より数段上の何でも貫く槍だ


ケ「行きます…お覚悟をッ!」


レ「その減らず口を喋れなくしてやるッッ!!」

ガギィッ!!

ほぼ同時に二つの槍が動きぶつかり合った


ケ「くっ!」


レ「はぁッ!」

ガギッ! ブンッ


ケ「ぐぁッ!」

っ…こ、これは…!


レ「その程度なのかしらぁッ! 混血!!」


ケ「なんのッ…!スカーレット・ロード!」


ズバッ!

一旦後ろに下がり 急スピードでレミリア様の方へ飛び 通り抜けた


レ「ッ!へぇ…面白い技ね」

グングニルを持った片腕を切り落としたが レミリア様はすぐさま回復していく 俺の槍もボロボロに崩れさっていた


ケ「やっぱり…そう簡単にはダメージをくらいませんか…」


レ「貴方如きでダメージを負わせるなんて無理に決まってるじゃない さっさと血祭りにしてやるわ」


ケ「申し訳ないですが…やられるわけにはいかないんですよ… 元の世界でレミリア様が待っているのでッ!」


レ「ふふっ 安心しなさい 貴方を殺したら 今度はその世界に行って 私を殺して上げるわッ!!」


ケ「!…させませんよッ!」

今度は素手での戦いになり 俺はレミリア様に突進した


レ「槍ならもしかしたら勝てたかもしれないのにねぇッ!! 拳の戦いならお前に勝ち目は皆無だよッ!!」

ガシッ! ベキッ!

レミリア様は俺の拳を掴み反対側の拳で俺を殴りつけた


ケ「ぐはッ…!」

俺は壁にまで殴り飛ばされた


レ「どうだ私の力はッ!!力の差は歴然だろうッ!!!」


ケ「…っう!」

あれ…何だこれ…思っていた程…


レ「さぁ、たっぷり甚振ってから殺して上げるわよ―」


ケ「まだまだッ!!」

すぐさま壁から離れ レミリア様に飛び掛った


レ「ぐッ!離せッ!」

バキッ ゴスッ!!


ケ「くっ…うおぉぉぉぉッ!!」

殴られながらもレミリア様を両腕で掴み 天井に突っ込んだ

バーンッ!!


レ「かはッ…!?」

天井をぶち破り 俺とレミリア様は 紅魔館の屋上 時計塔がある所まで出た


ケ「はぁッ…はぁッ…」


レ「…やってくれるじゃない、私にダメージを負わせるなんて…けどその程度で私を倒せないわよッ!」


ケ「…もう、止めましょう レミリア様」

やっぱり…


レ「はぁッ? 何言ってんのかしら 怖気づいたのかしら」


ケ「戦ってて分かりました レミリア様は…俺より弱いです」


レ「ッハ! 笑えるわね!お前如きが私より強いッ?」


ケ「はい…貴方は自分の快楽の為に拳を振るっています だから重さがないんです」


レ「私の力に重さが無い? 全ての妖怪がひれ伏す私がかッ? 付け上がるなよッ小僧ッ!!」

怒りをあらわにし 殺気を更に出す レミリア様


ケ「…貴方は自分一人の為だけに戦っている だから拳が空っぽなんです…」

俺の世界のレミリア様はこんな…軽いパンチじゃない…!


レ「戯言をッ…!なら証明してみろッ!!!このレミリア・スカーレットにッ!!!」

怒りに身を任せ 力任せに突っ込んできた


ケ「スカーレット…ロード!」

ズバッッッ!!!

今度は手加減をせず 真っ向からレミリア様とぶつかり合った


ケ「…」


レ「…ごふッ!?」

今度は全体に攻撃を叩き込んだ


ケ「…俺の勝ちです」


レ「くッ…この私がッ…ッ―」

レミリア様はよろめき落ちていった


ケ「ッ!レミリア様!!」

俺はすぐさまレミリア様の所に追いつき しっかりと抱かかえゆっくりと地面に下りた


レ「…何のつもり」


ケ「レミリア様の執事として 主をお助けしたまでです」

意外と軽いな…


レ「私はお前の主じゃない…助ける義理何てないだろう…ッ」


ケ「ありますよ、俺はレミリア様に命を助けて貰いました そのご恩は一生忘れません どの世界のレミリア様でも俺の大事な人何です」

私はレミリア様のお陰で一人前になれましたしね


レ「ふん…私をこんなにしたくせによく言うわね…」


ケ「主が間違った道を歩んだら 直すのも執事の役目ですし」


レ「お節介や奴ね…」


ケ「褒め言葉として受け取っておきます」


?「お姉様!―」


レ「ッ!?その声は…フラン!?」



フ「お姉様…!?その怪我は…?」



「ケイゴ…勝ったのか」



ケ「あぁ…一応な」

ギリギリだったけどな…



レ「…この混血に負けたのよ…」



ケ「俺の名前はケイゴですよ…」

悲しいな名前で呼ばれないの…



レ「そんな事より、何でフラン出てきてるよッ!!」



フ「ッ!ご…ゴメンなさい・・・けどお姉さまが心配で私…ッ」



レ「…私を心配して…?嘘付かないでよッ!! 貴方が私を心配するわけないじゃない!! 私は495年間も理不尽な理由で貴方を閉じ込めたのよッ!!」



「…」


ケ「…」



フ「…お姉様は理不尽に閉じ込めたんじゃないって分かってるよ」



レ「ハッ!何を言うのかしらッ! 私はお前の力が怖いから―」



フ「嘘!お姉様は私の為に私を地下に閉じ込めたんでしょ…!お姉様が私を傷つけないように…」



レ「!…」



フ「お姉様…私は495年間一度も…恨んだりしなかったよ お姉様が気が済むまでずっと待ってるつもりだった」



レ「貴方何をいって…」



フ「だけどもう…一人で抱え込まないでッ…!私も一緒に…お姉様の心の傷を治すからッ…!」



レ「!…フラン…こんな姉を許してくれるの・・・?」



フ「許すも何も…恨んでないって言ってるじゃん…」



レ「フ…フランッ!!」

お互いに抱きつき涙を流した



「…どうやら、うまく解決したみたいだね」



ケ「あぁ…やっと姉妹が分かり合ったんだな」

悲しい結末は避けられたな



「あぁ…本当に良かっ―」



ピシッ…ピシッ


ケ「な…なんだ!?」

音のした方を見ると 空に亀裂が入り どんどんと広がっていた


「こ…これは…」


レ「…ははっ、犯した罪の代償が着てしまったようね」


ケ「レミリア様?…」


レ「この世界は直に壊れるわ まぁ当然の結果ね」


ケ「何故…突然こんな…!」

こんな事が…


レ「突然じゃないわよ 当然よ、博麗の巫女や八雲紫が居ない幻想郷はいずれこうなる運命だったのよ」


ケ「そんな…運命なんてレミリア様の能力でッ!」


レ「無理言うんじゃないわよ 私の能力でも幻想郷の運命を変えるなんて出来ないわ 私達は消える運命なのよ」


ケ「そんな…せっかくフランお嬢様と再び仲良くなられたのにッ!」

こんなの…酷過ぎるだろうッ!!!


レ「しょうがない事なのよ、私は大きな罪を犯した その報いが来たのよ そうそう」


ケ「ッ!!では…レミリア様も一緒にッ!!」


レ「馬鹿かお前は、私は罪を犯したんだ 此処で償うしかないのよ それに私が行ってもまた同じことを繰り返すだけ」


ケ「そんな事ありませんッ!! ですからッ―」


レ「落ち着きなさい ケイゴ


ケ「ッ!?な…名前を」


レ「私は戦う事しか 楽しみが無かった 誰かと話して楽しい何て思ったことはなかった…けどケイゴと会ったおかげで 最後に誰かと話す大切さを知ったわ」


ケ「最後だなんて…言わないで下さいッ!レミリアも一緒に―」


レ「愚か者がッ!」


ケ「ッ!」


レ「お前の主は…元の世界のレミリア・スカーレットでしょうッ!違う世界の私に執着するんじゃない!!」


ケ「…」


レ「…そろそろ壊れ始める時間ね 私の力で送るわ」


ケ「…レミリア様」


レ「だから私は貴方の主じゃないからその呼び方は―」


ケ「いいえッ!! どの世界のレミリア様でも 俺にとっては大事な人です!」


レ「ッ…アンタねぇ、はぁ…」


ケ「レミリア様もご一緒に行きましょう そしてまたフラン様と一からやり直せばッ!」


レ「ふんッ!」

ゴスッ


ケ「かはッ!?」

な…レミリア様…


レ「…ありがとう ケイゴ…貴方に会えて嬉しかったわ 貴方にもっと早く出会えてれば 違う運命も歩めたかもね…―」

微かにレミリア様の声を聞きながら 俺の意識は途絶えた




?「…ゴ」


ケ「…」


レ「ケイゴ!!」

ドスッ!


ケ「ぐおッ!?」


レ「やっと起きたわね…」


ケ「レ…レミリアお嬢様…?此処は…?」


レ「貴方の寝室よ… まったく門の前でオオガキと倒れてるから驚いたわよ…」


ケ「門の前で…」

そうか…俺はレミリア様に気絶させられて…


レ「えぇ…何があったか分からないけど 取り合えず無事で安心したわ」


ケ「はい…」

ダメだ…レミリア様をちゃんと見れない…


レ「…」

ぎゅッ


ケ「っ!?レミリア様…!?」


レ「今日くらいは…私に泣き言を言ってもいいわよ、溜め込まないではいちゃいなさい」


ケ「…すいません、レミリア様ッ…俺…俺」


レ「はいはい…分かってるわよ」




紫「レミリア、運命を読んでいたようね 全部知った上でケイゴ君の心配をしてるわね」


藍「良い主じゃないですか、ケイゴ君の心の傷も癒えるでしょう」


紫「えぇ…ケイゴ君の記憶も次の日には消しておくわ…」

ケイゴ君も…辛いものを見せてゴメンなさいね…




あくまでオリジナルの設定の話なので 本編とも本作共関係ありません






別の幻想郷オオガキ視点

「…」

ケ「…」

何故こんな事になったのだろうか


「…ケイゴ、把握出来てる…?」

俺達は今確かに幻想郷に居る しかし

ケ「…分からん」



「俺達…村里から買出しの帰りだったはずだよね」

ケ「あぁ…村里出て森の中通ってた所までは覚えてる」


「…周りの景色からして 幻想郷だね」

何が起きたかまったく分からないが とにかく俺とケイゴは 違う世界に来ていた

ケ「あぁ…けど俺達の世界ではないな、俺達の居た幻想郷と違って此処は…」


「…」

俺も薄々感じていた

ケ「精気を感じられない」


「うん、私達の幻想郷と違う所は主にそこだね」

ケ「あぁ…オオガキ いつまでこうしてても何も怒らないんだ 取り合えず俺達を送ったであろう 紫さんを呼ぼうぜ」


「あぁ、うん やっぱり紫さんの仕業なのかなぁ」

紫さんだとして何故俺達を飛ばしたのかな…


ケ「それ以外 こんな事出来そうなのいないだろー」


「確かに…よし 紫さーん!」


シーン―…


「おかしいなぁ…紫さーん!」



ケ「反応ないな…」


「うん…やっぱり紫さんは関係ないのかも」


ケ「そうだな…関係あるのなら 呼び掛けに答えて 説明するだろうしな」


「確かに…取り合えず、ケイゴ 紅魔館行ってみよう 止まっててもしょうがないし」


ケ「あぁ、そうだな 行くか」

私とケイゴは紅魔館へと歩き出した




「な…」

これは…


ケ「は?…」

私達は目に映る光景を見て 驚きを隠せなかった


ケ「こ・・・紅魔館だよなこれ…」


「う…うん、その筈だぜ」

私達が驚いている理由は 3つ…一つは紅魔館が真っ黒になっている事…そして―


ケ「…メイリンさんや咲夜さんの気配を感じない・・・」


「パチュリー様やこぁさんも…だね」

二つ目は…そう俺達の居る世界で居る筈の住人達の気配を…この紅魔館から感じられないのだ・・・


ケ「何でだ…?どの世界でも基本は 紅魔館には咲夜さんとか妖精メイドやらが居るはず何だろう!?」


「うん…住人が居ないのなんてありえないよ…」


ケ「あぁ…しかし、オオガキ…紅魔館に住民が居ないのも驚きだが…」

何かを言い掛け 口ごもるケイゴ 俺も理解は出来ていた


「…分かってるよ、紅魔館の中から 禍々しいものを感じてるよ」

最後の驚きは…紅魔館の中に 禍々しい何かを感じる事 しかもよく知った人の気配もあった あれ…けどこれは…


ケ「…入るか、確かめてみねーと…嫌な予感がするけどな」


「…行こう」


中に入り進んで行く度ケイゴと私は、どんどん嫌な予感が募っていった その理由は…廊下や部屋が一切 掃除などの手をつけられていない事だ


「…咲夜さんも居ない メイリンさんも居ない…そして妖精メイドさん達も居ない…どういう事何だろう」

と、言っても…何となく分かってるんだけどね

ケ「…この世界のあの方は 安らぎを手に入れず力に溺れたって事だろうな」


「そうだね…」

認めたくないけど やっぱりそうなんだな…


ケ「取り合えず 会ってみよう」


「…けど、ケイゴ この世界は本来俺達が居ない世界だ」


ケ「? あぁ、そうだな」


「…干渉して良いのだろうか この世界の人と会って何か変化が起きてしまったら…」


ケ「…その時はその時だろう それにこの世界は十分おかしいんだ 俺達が何か起した所で今更な感じだろう」


「うむぅ…」

確かに…この世界は紫さんに教えて貰った他の世界とは何もかもが違いすぎる…それに、あの方の気配もしない…


ケ「話してる間に着いたぞ やはり此処に居るみたいだな」


「あぁ…確かに感じるな 気配の変化が無いって事は中に入る前から 俺達に殺気をずっと飛ばしてたみたいだね」


ケ「あぁ、心して行くぞ」


ギィッ…


静かにケイゴは殺気を放っている部屋のドアを開けた 部屋の奥には俺達のよく知る人物が王座に座りこちらを睨んでいた


「…やっぱり当然ですね」


ケ「あぁ…レミリアお嬢様だ」


レ「下等な人間と混血の忌まわしい吸血鬼が私の屋敷に何しにきたのかしら」

明らかに歓迎しているふうには見えなかった


「えっと…私達、違う世界から迷い込んでしまったみたいで…それで人を探して帰る方法を探して此処にきたんです…」


レ「へぇ、別の世界から来たの それで?」


「え?」


レ「何故、私の所に来たのかしら? 私の事を知ってて来たのなら相当な愚か者共ね」


ケ「…俺達は違う世界の貴方…レミリアお嬢様に仕える執事です」


レ「はっ?!お前達が? 違う世界の私の執事?フフフッ…アハハハハハハッ!!!」


「…」

ケ「…」


レ「ハハハハッ…笑えない冗談ねッ!!!」

ゾクッ!


「ッ!」

何て殺気だ…

ケ「…」


レ「百歩譲って仮に…」

力を込めるように一言置いた


レ「お前達みたいな下等な人間と、薄汚い混血を執事として仕えさせている何て 貴方達の世界の私はさぞかし弱いのね 気高き吸血鬼の風上にもおけないわねッ!!」


「なッ…!」

ケ「!…俺達がレミリアお嬢様に仕えている事が そんなにありえない事だと言うのですか?」


レ「えぇ、ありえないわね!! 弱い者を従者にして 護って貰ってるだなんて自分が弱いと他の奴等に言っている様なものじゃない」


「そ、そんな…事」

そうか…だからこのレミリアお嬢様の周りには 誰も…居ないのか


レ「何がそんな事ないのかしら? もしかしてお前達の世界の私は何も出来ない臆病者の屑って事なのかしら!」


ケ「ッ!いくら…同じレミリアお嬢様でも その言葉は許せません…撤回して下さい」


レ「はッ! 撤回する必要があるのかしら?事実でしょうが それとも力ずくで私に撤回させてみる?」


「ッ…」

無理だ…いくら俺とケイゴ二人でかかっても…相手はレミリアお嬢様だ…


ケ「…」


レ「怖気づいたのかしら? まぁ無理もないわよねぇ お前達下等な奴等が気高き吸血鬼の私に歯向かうなんて無謀だものね!!」


「…その通りか―」


ケ「怖気づきませんよ 貴方にはね」


レ「あ?」

「え?」

ケ、ケイゴ?


ケ「貴方は力だけを求めて今まで生きて来たのでしょうね 誰かを護るためではなく 全ての生きる物をただ倒す者としか見ずに」


レ「そうよ? 私より弱い奴等なんて要らないじゃない!私は強いわッ!! この世界に居た楽園の巫女も!冥界の亡霊姫もッ!幻想郷最強と言われた 八雲紫でさへもッッ!!私を恐れ逃げたわッ!!私が強いからねぇッ!!アハハハハハッ!!!」


「…」

この世界のレミリアお嬢様は誰も信じようとしていない…自分以外の全ても敵と思っている…ッ!じゃあ…フラン様は…?」


ケ「…悲しいですね」


レ「…何が悲しいって?」


ケ「貴方がです、誰も信じれなくてなってしまって…何が貴方を追い詰めたんですか?」


「ケイゴ…」


レ「私が…悲しい奴だと・・・?」


ケ「えぇ、貴方は 一人でしか戦う事を知らない可哀想な人です」


レ「…ふッ!! 混血如きが言ってくれるじゃないッッ!!!その言葉 地獄に行って後悔しろッッッ!!!」

ドゴッ!!!

怒りからか 地面を殴る レミリアお嬢様 その拳で床が壊れていった


ケ「ッ!?」

バサッ

間一髪、ケイゴは羽を広げ落ちることはなかった しかし―


「っ!」

しまっ!!


ケ「オ!オオガキッ!!」

ケイゴが俺に手を伸ばしてきたが ケイゴが来るスピードより 俺の落ちるスピードが速く 俺は下に落ちて行った――






「…うぅッ…こ、ここは・・・?」

…たしか・・・レミリアお嬢様の拳で割れた床から俺は落ちて…ハッ!ケイゴ!!


上を見たが俺が落ちてきたと思われる穴が見えないほど落ちてきたみたいだ


「っ…此処は大図書館があった地下…だよな それにしては何か雰囲気が違うけど・・・」

俺達の世界ならこの辺はもう少し明るくなっていた しかし此処は…


「ボロボロだな…何年も手を付けられていないみたいだ」

やっぱり…紅魔館の人達はレミリア様以外居ないのか この世界は…


?「そこに居るのは・・・誰?」


「!」

こ、この声は!?まさか…!

タッタッタ…―


「ッ!…フ、フラン様…」

声のする方に向かっていくと そこには俺の仕える とても大事な人が居た


フ「貴方は…誰? 何で私の名前を知ってるの?」


「っと…失礼しました 俺はオオガキと言います 信じていただけるか分かりませんが 別の世界でフラン様の執事をやらせてもらっています」


フ「別の世界の…私の執事・・・」


「はい、執事ですっ」


フ「何で別の世界の人…えっとオオガキさんが」


「呼び捨てで良いですよっ フラン様」

フラン様にさん付けされるのはちょっと…ね それにしても私の世界の方と違ってこっちのフラン様は大人びているな


フ「…オオガキは何でこの世界に来たの?」

少し照れながらフラン様は俺を呼んだ


「そうですねぇ…理由が分かればお話したのですけど…いつの間にかこちらに来ていたんですよ」


フ「いつの間にか…?」


「はい、それで動かないでいてもしょうがないので 紅魔館に来たというわけです」


フ「…お姉様には会ったの…?」


「はい、会って話して 戦闘になりました… 今は友達がお相手をしています」


フ「ッ…今すぐ止めないとッ!!」


「え、フラン様一体どうしたんですか―」


フ「お姉様は…怒らせてはいけないのッ…昔あった事件で…心を壊してしまってるのッ!!」


「こ、心を…?」

確かに…先程の会話でレミリアお嬢様が色々変だとは思っていたけど…心が壊れている…!?


フ「私が止めないと…ッ!」

グラッ


「あ、フラン様ッ!!」

トッ―

倒れそうになったフラン様を後ろから支える


フ「ふわっ…!?」


「っ!す、すいません!」

しかし…これは―


フ「い、いえ…私こそゴメンなさい… もう大丈夫ですから…行かせて下さい」


「だ、ダメですよ!フラン様…495年間 ずっと此処に閉じ込められていたんですね しかも…まったく動く事も許されずに…」


フ「!何故それを…」


「元の世界のフラン様に聞きました… そんな体で行ったら危ないです!」


フ「け…けど、私が行かないと・・・お姉様を止められないのよッ!!」


「…分かりました 私が連れて行きます」

そういってフラン様を抱える


フ「えっ…そ、そんなッ 他の世界の貴方を巻き込むわけには―」


「何を行ってるんですか… 俺はフラン様の執事です 主を護るのが執事の役目ですよ!」


フ「わ、私は…貴方の世界の フランドールとは違う―」


「違いません どの世界でもフラン様はフラン様ですっ」


フ「っ!…」


「さ、行きますよ 掴まっててください」


フ「は…はいッ…//」

抱えられているフラン様は少し顔が赤くなっているような気がしていたが あえて触れないことにした




「よし…着きました!」

地下から元の階に戻り レミリアお嬢様の居た部屋に戻った


フ「あ、ありがとう…」


「いえいえっ さて…戻ってきたのは良いですけど…居ない・・・?」


フ「屋上に居るみたいね…」


「あ、成る程壁に穴が空いてますね では階段で―ッ!?」

階段に向かおうとした瞬間 突然俺の体が宙に浮いた


フ「こっちのが早いですよ」


「あ、ありがとうございます…」

フラン様につかまれ屋上にまで来た


「よいしょっと…」


フ「あ―」

突然フラン様が声を上げる


「?フラン様どうしましたか」


フ「お姉様!」


レ「ッ!?その声は…フラン!?」



フ「お姉様…!?その怪我は…?」




「ケイゴ…勝ったのか」




ケ「あぁ…一応な」




レ「…この混血に負けたのよ…」




ケ「俺の名前はケイゴですよ…」

かわいそうに名前で呼ばれないのか…



レ「そんな事より、何でフラン出てきてるよッ!!」




フ「ッ!ご…ゴメンなさい・・・けどお姉さまが心配で私…ッ」


レ「ハッ!何を言うのかしらッ! 私はお前の力が怖いから―」



フ「嘘!お姉様は私の為に私を地下に閉じ込めたんでしょ…!お姉様が私を傷つけないように…」



レ「!…」



フ「お姉様…私は495年間一度も…恨んだりしなかったよ お姉様が気が済むまでずっと待ってるつもり

だった」



レ「貴方何をいって…」



フ「だけどもう…一人で抱え込まないでッ…!私も一緒に…お姉様の心の傷を治すからッ…!」



レ「フラン…こんな姉を許してくれるの・・・?」



フ「許すも何も…恨んでないって言ってるじゃん…」



レ「フ…フランッ!!」

お互いに抱きつき涙を流した



「…どうやら、うまく解決したみたいだね」

良かった…すれ違ったままにならなくて…



ケ「あぁ…やっと姉妹が分かり合ったんだな」



「あぁ…本当に良かっ―」



ピシッ…ピシッ 



「ッ!?」

な…何だ!?



フ「あはは…やっぱり 壊れ始めちゃったか」



「フラン様…?一体これは…」



フ「あれは次元の裂け目…世界が終わる時にああいう風になるんだって」



「な…幻想郷が消えるって事ですか…!?」

何で…



フ「うん…博麗の巫女も八雲紫さんも…皆居なくなっちゃったからね 世界が保てなくなったのよ」



「そ…そんな、せっかく二人が分かり合えたのに…!」



フ「しょうがないよっ 私達は罪を犯したんだから 罰を受けるだけなんだよ オオガキとケイゴさんは大丈夫ですよ この世界が消える前にお姉様の力で元の世界に戻せるみたいだから…」



「フラン様!…俺達と一緒に行きましょう!それなら―」



フ「ダメだよ 私はそっちにいけない…私はこの世界の住人だからそれに…貴方には護るべきフランドールはもう居るんだから 私なんかが居ても邪魔になるだけです」


「そんな事ないですッ!!俺はッ!!」




フ「しーッ」

俺が言葉を言い切る前にフラン様が遮った



フ「…オオガキ、少しの間だったけど 貴方に出会えて良かった…ありがとう・・・」

フラン様の顔は笑っていた 瞳には涙を浮かべていたが 良い笑みをしていた…



「フ…フラン様ぁぁぁぁぁぁッ!!!」


俺が呼ぶ声と共に世界は壊れ始め 俺の意思はそこで途絶えた




フ「…キ!」



「…」



フ「オオガキッ!!」



「う…フ…フラン様…?」



フ「よ…良かった! 門の前でケイゴと一緒に倒れたから心配したよ!」



「フ・・・フラン様ッ!」

ガバッ!



フ「っ!? オ、オオガキッ!? ど、どうしたの…」



「何でもないです…ただ…少しだけこのままで良いですか…?」



フ「う…うん」



「有難う…ございます」

俺は結局…護れなかった フラン様を…俺は…



フ「…」

フワッ



「ッ!?フラン様…?」



フ「よしよし…」



「うっ…す、すいません…」



フ「何があったかは分からないけど 落ち着くまで泣いてもいいんだよっ」



「!…っうあぁぁぁぁッ―」








紫「キィー君には悲しい世界を見せてしまったわね…」



藍「紫様…何故あの世界を見せたんですか?」



紫「キィー君に…しって欲しかったのよ 幻想郷の色々な世界をね…」



藍「…オオガキさんの心に深い悲しみを植えつけても・・・ですか?」



紫「…分かっているわ、キィー君には物凄く悪いと思っているわ…明日にはあの世界の記憶は消しておく…」



藍「損な役回りですね…紫様はいつも」



紫「まぁ…ね けどキィー君がずっと悲しむよりはマシだわ」



あくまでオリジナルの設定の話なので 本編とも本作共関係ありません