ニューウェーブとは?(髪の毛立ててゴス・ネオサイケ編) | マノンのMUSIC LIFE

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さて、前回はニューウェーブの代表選手として、その後のロックシーンへの影響力という観点から3バンドを挙げたわけですが、存在感が大きいが故にその言葉のイメージは薄いメンツだったのは否めません。

「ニューウェーブ」と聞いて思い浮かぶバンドって何なのか?

年末に中古屋でこんな3枚組のコンピレーションを買ったのですが、ここに入っている、短期間で消えて行ったアーティストの方が、むしろそういうイメージは強いのでしょう。
Punk & New Wave/Punk & New Wave


なぜかネーナの「ロックバルーンは99」まで入ってますけどwww
ほぼ一発屋なバンドも多くて、こういう時代の仇花的な存在を笑い物にするのは簡単ですが、逆に時勢というものを感じるし、ダイナミックに動いていったこの時代の変遷を楽しむこともできようというもの。

たとえば、あたしがパンクを聴けるきっかけとなったこの人、ニナ・ハーゲン。
ゴツゴツしたドイツ語でわめきまくる1stアルバムの中に1曲、こんなオペラティックなのが入っていて耳をひいたのです。

Nina Hagen - Naturtrane



というわけで、今回はゴス~ネオサイケ系のバンドから、も少しNW的な色のあるバンドを挙げてみます。

さて、この時期ヘアデザインの世界でもニューウェーブが起こり、スプレーやデップ(ジェル状整髪剤の元祖)などで髪を逆立てる技術が大きく進歩して、こんな髪型も実現可能になりました。
ブル中野

まぁ、ここまで垂直におっ立てる必要は全くないんですが、鋭角的な髪形と頬のシェーディングなどのメイク技術はゴス系の人達の精神性に合致したのでしょう、バウハウスBAUHAUSなどそもそも痩せてるのによりガリガリに見えて、バンドイメージの構築に資しています。
BAUHAUS

前髪を部分的に垂らすってのも、80年代前半の流行のひとつでしたね。(チェッカーズを見よ)
ピーター・マーフィーさんは見るからにデヴィッド・ボウイ大好き人間ですが、実際「Ziggy Stardust」やT・レックスの「Telegram Sam」をカバーするなど、グラムロックがパンク~NWの先駆的な試みであったことを暗示してくれたのかもしれません。
歌い方も、低音を強調していないグラム期のボウイですね。

BAUHAUS - She's In Parties


さて、髪を立てるテクといえば、ザ・キュアーTHE CUREのロバート・スミスROBERT SMITHもその恩恵にあずかったひとりですが、この人に限ってはどんどん「鈍角」的なイメージに変貌。
ついには開き直ってPVでもこんな姿を披露www


当時から熊みたいなイメージではあったけど、今のレベルからすればまだまだ細いですね。
こちらが去年のロバート。もはやアンドレ・ザ・ジャイアント級www
RS2013

最初期からゴスというには曲調は明るいものも多かったキュアーですが、その奥に潜む暗い影は隠しようもないもの。
逆に言えばメロディが親しみやすいものだったことが、バウハウスなどよりもメジャーな人気を得ていた理由でしょうし、それが後のUSオルタナ勢に与えた影響も大です。

あたしが新譜購入をLPからCDに切り替えた初めてのアルバムからイチ推しの曲。こういうギター、大好き!

THE CURE - All I Want


そのロバート・スミスが一時ツアーメンバーとしても参加していたスージー&ザ・バンシーズSIOUXSIE & THE BANSHEES。
スージー・スーSIOUXSIE SIOUXはなにせピストルズの親衛隊上がりですから気合いが入っています。
Siouxie
アイメイクも口紅の山の作り方もあくまで直線が基本!
90年代に入ると曲調も見た目もフェミニンなイメージになりましたが、パンクスにならなければフツーにきれいなお姉さんだったはず。
それでもこうなってしまったのは、内的必然性があったからこそなのですよ。

視覚的なインパクトもともかく、一番の魅力はスージーの声。
かなりポップに振れた'85年のこの一曲があたしのイチ推しです。

SIOUXSIE & THE BANSHEES - Cities In Dust


最後は日本でも米国でも人気の高かったエコー&ザ・バニーメンECHO AND THE BUNNYMEN。
リヴァプールの田舎者でも、当時この程度は髪立ててたという好例。
エコバニ
イアン・マッカロクは、口は悪いがクリクリのつぶらな瞳で、日本の女子の間でも人気がありました。こんな写真も。
マックちゃん

「エコー」というのは結成時ドラマーが見つからずに使っていたリズムマシンのメーカー名EKOの名残というところも、安価な電子楽器が出現し始めたこの時代を象徴していますが、出してる音とピッタリくる秀逸なバンド名!
EKO

アルバムジャケットの北部イングランド秘境探訪シリーズも、その奥行のある音像とあいまってネオサイケな雰囲気を醸し出していましたが、このPVにも寒々しい景色が挿入されています。

ECHO AND THE BUNNYMEN -The Cutter


80年代後半にはイアンの脱退、ドラマーの事故死などで解散、90年代に再結成して今も継続していますが、ゆったりした曲ばかりになって、往時の勢いを取り戻すことはできませんでした。
イアンの声とウィル・サージェントのサイケなギターワークが特徴的なバンドでしたが、キモはピート・デ・フレイタスのドラムだったのかも。
1stアルバムのタイトル曲に、バンドのコアは集約されているような気がします。
あたしの一番好きな曲。

ECHO AND THE BUNNYMEN - Crocodiles


こうして聴いてくると「ゴスといえば暗黒、サイケといえば極彩色」という一般的な感覚も、この時代はかなり折衷的なもので、ひとつのイメージに収束するものではないことがわかるのではないかと思います。


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