赤盤・青盤・海賊盤 | マノンのMUSIC LIFE

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50年前の春、ビートルズのキャリアを総括した赤盤・青盤が発売されたわけですが、その前に「アルファ・オメガ」という4枚組の海賊盤ベストがヒットしてしまったことへの対策の意味があったようなんです。14$程度だったらしいから当時のレートでは5000円位だけど日本に入ってきたのかどうか。ちなみに赤・青盤の日本盤の定価はそれぞれ3,500円。


リンゴの歌う「Act Naturally」に始まり、タイトルに即したい気持ちもあったのか、途中まではアルファベット順?だったのが挫折した感アリアリなのがまたブートっぽい。最後の曲はなんと「みんないい娘 Everybody's Trying To My Baby」ですぜw

よく見ると「Imagine」やポールの「Uncle Albert」が入ってたりするのもオフィシャルではありえないし、この微妙な選曲はむしろ個人のミックステープじゃん!

海賊盤市場というものが確立していったのもビートルズがきっかけなのかもしれませんが、この当時はゲットバック・セッションの大量の音源が出回っていたのでしょう。

部屋の中でラジオにかじりついていたあたしですが、たぶんその’73年4月に「ミュージック・ノバ」という、ビートルズの曲をディスクジョッキーなし(番組のジングルがはさまるのみでCMもなし)ノンストップでかけまくるというラジオ番組が始まったのです。RKB毎日放送かKBC朝日放送のどちらかで間違いないはずですが、ネットを探ってもなにもひっかかってこないので、福岡の地方局独自の制作だったのかも。

現在はそんなことがまかり通るのかどうかわかりませんが、その番組の中でブート音源と思われる曲がしょっちゅう流されていて「LET IT BE」アルバムの曲はまずそこで憶えたので「Dig A Pony」などは「♪All I want is you~」から始まるほうがいまだにしっくりくるんですよねぇ。
Dig A Pony (Take 14)



そして幻の未発表曲!「The L.S. Bumble Beeまでもが流されていました。ご存じの方いらっしゃるでしょうか? イヤイヤ知らなくていいんです。だってビートルズでもなんでもないんだもんw

Peter Cook & Dudley Moore - The L.S. Bumble Bee - (1967)



ブート業者は、シロートは何もわからへん「未発表曲!」と謳えば売れると思って作ったんでしょうが、これビートルズに聴こえますか?
当時のあたしはもちろん聴こえましたwww
だって、毎日新聞のラテ欄で「ビートルズの未発表曲」を放送!って書いてるんだから、素直なあたしは何でも受け入れますとも。

当時はラジカセもまだモノラルが主流だし、地方のAM放送も盛り上がりまくっていました。内容的にも豊かで、たぶんRKBのアナウンサーだったんだと思うんですが「ひねもすゆたか」と名乗って、ビートルズの曲をピアノソロのような形式で奏でていくというユニークな番組もありましたよ。

全国ネットでも「オールナイト・ニッポン」の特別番組として、あの糸井五郎さんが出てきて、深夜にリスナーをスタジオに入れてビートルズのデビュー前の音源で盛り上がろう!ってやったのを記憶しています。
トニー・シェリダンのバックバンドとして録音したオフィシャルの音源は1973年から何度かタイトルとジャケットを変えてポリドールが売っています。


そんなアフターのみならずビフォア・ビートルズ発掘の流れもあったのか、その特番で流されたのはバディ・ホリーやら手に馴染んだカバー曲満載で、若いバンドの勢いが感じられる曲群。私の手元にも似たような音源集「HISTORIC FIRST LIVE RECORDINGS」という2枚組がありますが、どうやら’77年あたりから日本でも公式に発売されていたSTAR CLUBのライブと元は同じ音源みたい。


ラジオ局はこういうのどこから入手するんでしょうかね?BBCで流れたものだったりすれば正規の放送局ルートでしょうが、非正規のものは普通にブート専門店で買って経費で落としてレコード室に埋もれているのかも。

ChatGPTさんによると赤盤青盤の日本での発売は1973年6月25日らしいんですが、英国では4月19日発売なので、春先からもう盛り上がってたんでしょう。あたしが買ったのは12月1日、お小遣貯めに貯めて半年以上ぶりに買ったLP。赤・青合わせて7,000円ですからねぇ。もちろん'74年のカレンダーももらったはず。

なにせこの年は4月から11月まで「RED ROSE SPEEDWAY」「LIVING IN THE MATERIAL WORLD」「RINGO」「MIND GAMES」と4人全員それぞれの新作までが出そろうというお祭り状態で東芝EMIもホクホクだったのです。

中でも「RINGO」では、ポールだけは別の曲でリンダと参加していますが、他の3人が顔をそろえた曲もあって、まだまだ「リンゴはかすがい」状態は健在。
RINGO STARR - I'm The Greatest


解散の一因となっていたアラン・クラインと手が切れる流れに向っていたこともあり、再結成の実現性が高まっていました。

この時期のシングル・ヒットも聴いてもらいましょう。全部シングル持ってるな。
PAUL McCARTNEY & WINGS - My Love


GEORGE HARRISON - Give Me Love (Give Me Peace On Earth)


JOHN LENNON & THE PLASTIC U.F.ONO BAND - Mind Games


あ、「マインド・ゲームス」は持ってなかった。あの曲の良さがわかるのに1年はかかった気がする。

なんだかんだでシングルで一番売れたのはリンゴだったりするのです。発売は12月なので74年のヒットソングって感じですが、チャートではこういうカバー曲は強い。
RINGO STARR - You're Sixteen


そんな実り多い時期ですが、半面各メンバーのプライベートはなかなかに波乱含みで、ジョンはご存じのとおりヨーコと揉めてLAで別居、ニルソンとかとつるんで酒びたり、ミュージックライフに載ったこのただれた写真がいまも印象深い。


ポールは麻薬で逮捕(当時のコメントからすると特に反省はしてないようで、この態度が80年の来日即逮捕につながる予兆だったか)。ジョージはリンゴの妻モーリンとW不倫して、パティはロン・ウッドやクラプトンの元へ走ることに。
まぁフリーセックス礼賛時代のロックスターの下半身事情なんて、今の基準で考えるのもアホらしい話だけど。

さて赤盤は約60分なのですが、青盤は曲数はそんなに違わないのに105分程度。通して聴くと約3時間ビートルズの世界に耽溺できるのでした。ターンテーブルに乗せた回数は一番多いだろうと思います。

とはいえ、時代はロックの青春期、停滞は死を意味するような時代。私も自分はビートルズ関係やDEEP PURPLEを中心に買っていましたが、友達に「狂気/ピンク・フロイド」や「アメリカン・バンド/グランド・ファンク」T.REXやELTON JOHNのGREAT HITSを買わせて長期間借りていました。

彼とは当然のように「バンドやろうぜ!」ってことになったのですが、ベースをやらせようという私の策略には乗らず、GRECOのレスポールを買っちまいやがった。もうひとり自動車修理工場の息子にはドラムを買わせて、あわよくば工場をスタジオ代わりにできないかというもくろみも成就しませんでした。当時は今みたいにリハスタなんてないし、洋楽に興味があるヤツすらロクにいなかった。フォークギターで陽水とか歌ってるヤツがいた程度。
結局バンドには絶望して、ひとり多重録音で60分の「解散記念テープ」(オリジナル1曲含む)を完成させて、記念ライブも自分の部屋でお客0人でやり遂げたのでした。

なんか、同じことを何度も繰り返してるようなわがMUSIC LIFEですな。