シルバー民主主義とブルー民主主義 | 北さんのブログ

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 兵庫県民にとってもあながち他人ごとではなかった大阪都構想の嵐が終わって早3ヶ月が経ちました。成果を出すのではなく改革をし続けることが橋下市長の政治活動の本質であり、改革や変化を嫌った高齢者の投票行動が否決の大きな要因で、「シルバー民主主義」が改革への弊害になった、と一部のメディアは大きく取り上げました。実のところ、大阪市の有権者に占める年代別人口の割合では、70歳以上の高齢者人口に比べ20~40歳代の人口は2倍以上多いのですが。
 この「シルバー民主主義」とは若者に比べ投票率の高い高齢者が多数派になるため、民意の代表として高齢者の意志が過剰に政策に反映されることであります。最近の例では、昨年11月の医療保険制度改革案草案の公表中止が挙げられます。後期高齢者医療制度の保険料軽減の特例措置を段階的に廃止し高齢者の保険料負担を増やす内容で、閣議決定された骨太の方針「経済財政運営と改革の基本方針2014について」の中で、安倍総理自らがその必要性を強く訴えていました。しかしながら選挙で投票率の高い高齢者、「シルバー民主主義」に配慮して、総選挙の直前に高齢者の反発を招く草案発表の中止を官邸が指示し、先送りとしたのです。このように、昔から選挙での集票のために「シルバー民主主義」に医療や介護政策が翻弄され続けており、高齢者に媚びる政治を解決しなければ、今後更に進む少子高齢化社会での民主主義の意思決定は機能不全に陥ってしまいます。最近では「選挙で選ばれた代表者がすべての世代の代表者」となるために、世代別に代表を選ぶ「年齢別選挙区制度」や子供の投票権を親が代行する「ドメイン投票法」、中には倫理的に問題のある「余命別選挙制度」などの選挙制度改革が議論されてきています。
 そのような状況下で、来年から選挙年齢を18歳以上に引き下げる改正公職選挙法が成立しました。現在、約190カ国の約9割が18歳以上、中には16歳から選挙権を与えている国があるのに対して、我が国では1945年に25歳以上から20歳以上に引き下げて以来、70年ぶりの改正です。ただし、成年民法による成年年齢、20歳はそのままで、明治9年の太政官布告41号による課税、兵役の基準年齢である20歳が成人の始まりとして平成の現在まで延々と続いています。若者に社会的責任を持たせ、若者の政治への参加を促し、政治離れに歯止めをかけることに異論を挟む気はさらさらありませんが不安もあります。学生運動の沈静化を目した1969年の「政学分離令」以後、高校生に対して現実の政治に則した政治教育、主権者教育がほとんど行われていないことです。「政治的中立」を重視しすぎるがため、彼らはある意味、無菌室に入れられているのです。学校で色々な菌やウイルスに暴露させることで政治への免疫をつけさせないと簡単にポピュリズムの餌食になってしまいます。問題を先送りせず、現在と将来の日本のあるべき姿をしっかりと見据えさせるためにも学校での政治教育は非常に重要であります。
 蛇足ですが私は「シルバー民主主義」に対抗して若者の政治参加を「ブルー民主主義」と名付けました。これは「若年者」→「尻が青い」→「蒙古斑(モンゴリアン ブルー スポット)」→「ブルー民主主義」の連想からです。