Strategy and Competition Part A (S&C A)
Strategy and Competition Part AはAlliance Manchester Business SchoolのGlobal MBAの1ターム目に受講が想定されている、言わばベーシックな授業の1つです。
慣れない英語の勉強を始めたばかりということもあり、当時はなかなかつかみきれない印象で苦労しました。今回、あらためてシラバスや授業内容、参考図書を見返してみているのですが残念ながらやはりまだ、すんなり理解できずにいます。
このコース全体の振り返りはじっくり腰を据えて取り組んだ方が良さそうなので、この記事では
- コースの概要、ターゲット
- 参考図書
- ワークショップ概要
- 個人アサインメント
コース概要
企業の存在意義は利益、もしくは企業価値の最大化と言えます。そしてその目的達成のために数多の「選択」を繰り返します。例えば製造業であれば、「誰をターゲットにどのような製品を開発するか」、「どこで製造するか」、「どうやって顧客に届けるか」、「いくらで販売するか」などです。その選択には予算など内部的な制約もあれば、競合の選択や競合との関係など外部的要因により一定の制限も受けることになります。自社で製造するには初期投資が大きすぎるとなれば社外に生産委託することになるかもしれませんし、競合が先行して同じセグメントの顧客向けに製品を販売していれば、販売価格決定は他社製品を踏まえて決定しなければいけません。
このStrategy and Competition Part Aは、その名前が示すとおり企業の戦略について特に競合関係という観点からアプローチするコースでした。
そして、MBAですのでもちろん実際のビジネス環境に役立てることが大前提として置かれています。つまり、自分が会社(組織)において、会社(組織)の目的達成のためにどのように戦略立案し実務に落とし込むか、どうすれば最善の意思決定ができるか、がコースの最終目標ではあります。
具体的なテーマとしては
- 企業の境界(The boundaries of firms)
- 取引コスト(Transaction cost economics)
- 競合と協調(Competition and Cooperation)※
- 競争環境における価格戦略(Pricing in competitive environments)
- 競合分析(Competitor analysis)
- ポジショニング戦略(Strategic Positioning)
- ゲーム理論(Game theoretic reasoning)
などです。
※Adam M. Brandenburger氏とBarry J. Nalebuff氏はその共著書で "Co-opetition"と名付けています
T/3理論
S&C Aでは担当教授、Patrick A. McNutt氏のT/3理論(Framework T/3)が、競合関係のある環境下での戦略分析ツールとして紹介されました。いまだきちんと理解できていませんが、大雑把には以下の3つの視点で企業(競合)の戦略を検証するためのフレームワークのようです。
Type:経営(者)の「タイプ」を
- Boumoul model(ボーモル・モデル)
- Marris model(マリス・モデル)
- Cost leadership model(コストリーダーシップ・モデル)に
の3つに分類
Technology:企業の持つ「技術」やキャパシティ ← 企業の意思決定に重要な影響を与える
Time:各企業には競合のアクションを観察する「時間」がある ← それを理解した上で過去の戦略を分析する
Patrick A. McNutt氏の著書(DECODING STRATEGY:コースの参考文献にも指定)にはいくつかの具体例が示されており、Coca ColaとPepsiなどは分かりやすい例でした。
かなりマニアックな本ですがAmazonで入手は可能なようですので興味がある(物好きな)方は以下をご参考ください。
他に指定図書となっていたのは以下の書籍でした。
ワークショップ(40%)
OCVに続いて実質2つ目のワークショップでした。(SimPは、いわゆるワークショップはありませんでした)
3日連続、終日授業で3日目の午後は評価対象のグループでの発表です。授業時間内も少し、プレゼンテーション準備の時間はありますが基本的には授業後に作業しました。
メンバーは全員シンガポール在住で、
- イギリス人男性(苗字と見た目から、インド系?)/ 人材会社創業者
- フィリピン人女性/ 多国籍企業勤務
- 中国人女性/ 多国籍企業勤務
- シンガポール人女性(マレー系?)/ 家族経営の石油関係会社勤務、SimPでも同じチーム
と私というチームでした。
見てのとおりの多国籍グループで、今風に言えばかなりダイバシティに富んでいました。
めちゃくちゃ仲が良いというわけではなかったものの皆んな協力的、かつ明るくてメンバー面では楽しいワークショップでした。あと別コース(SimP)で同じチームで知っていた(と言ってもオンラインのみでしたが)人がいることでだいぶ気分的には楽でした。
課題は、各グループに割り当てられた企業についての企業分析と主要競合とのゲームについてT/3理論を使いながら検証し、戦略的ゲームとして次に起こるであろう事象を検討、評価するという内容です。
私たちのグループの対象企業は「Shangri-La Hotels and Resorts」でした。高級ホテルチェーン(実際にはセカンドラインのホテル群も展開しているのですが)のシャングリラです。競合比較(The Ritz Cartron, Marriot, Hyatt, and The Fullerton Hotels and Resorts)の結果、The Fullerton Hotels and Resortsを主要競合と選定し、分析を行いました。
※The Fullerton Hotels and Resortsはシンガポールに2ヶ所、シドニー、香港にホテルを展開するシンガポール企業
プレゼンは発表:20分、Q&A:10分の構成で、プレゼンテーション用スライドは表紙、付録を除いて13ページになりました。
個人エッセー(60%)
個人エッセーは、本コースで学んだミクロ経済学、ゲーム理論などを基にcritical essayを書くもので文字数規定は3,000文字でした。この"critical"という単語はMBA履修中に度々出てきた単語で、日本語では「批判的な」といった印象をもっていましたが、それはちょっとニュアンスが違うように思います。あるテーマについて分析、評価(批判)するという意味合いで理解していました。
コース評価の割合は個人エッセーが60%、グループワークのプレゼンテーション(とスライド、Q&A )が40%です。
個人エッセーで取り上げる企業は各人が自由に選択できるのですが、実在する企業を取り上げないといけないという制限はあり、グループワークで割り振られた企業でも構わないという条件でした。
私が知る限り、ほとんどの人がグループワークで調べた企業を対象にしていました。プレゼンテーション用に他のメンバーが調べてくれたことも含めて、情報面でかなり有利(調べる手間と時間を省くことができる)ので当然と言えば当然かなと思います。
フィードバックには良く書けてはいるがワークショップの内容をなぞっているだけで分析に深みがない、という指摘がありました。ただ授業で取り上げられたフレームワークなどはきちんと当てはめられていて、学んだ内容が反映されてはいるとのことで100点満点中65点の評価でした。
余談
どうでも良いことなのですが、このコースでShangri-Laを調べていたらとても興味&好意的な印象を持って、新型コロナ禍のステイケーションプランを利用して何度か宿泊してみたのですが、実際に泊まってみてさらにファンになりました。
今はとても気軽に宿泊できるような金額ではなくなってしまいましたが、また行きたいなと思うホテルです。
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